キヤノン「PowerShot S120」は、先代の「PowerShot S110」の良さを継承しつつ、映像エンジンを「DiGiC 6」とすることで高感度・解像感の処理及び、連写性能を向上させている。PowerShot S110でも十分快適だったが、PowerShot S120はより深い領域まで快適さが増したといった印象だ。
カタログスペックでは約0.1秒の高速AF、約0.13秒の撮影タイムラグを謳っており、キビキビとした撮影が強みとなっている。
ポケットから出してサッと撮れる快適さはもちろんだが、望遠側でも手ブレ補正と高速AFですぐに撮れる。コンパクトカメラの小ささ・軽さにこの快適さが加わると満足度が違うものだと実感できる。
レンズは両面非球面UAレンズと高屈折率硝材を採用した35mm判換算24-120mmの光学5倍ズーム、開放F値はF1.8-5.7。3軸の光学式手ブレ補正「IS」を搭載し、動画撮影時には上下左右の手ブレを補正する5軸の手ブレ補正「ダイナミックIS」で歩きながらの動画撮影に効果を発揮する。
イメージセンサーは約1210万画素1/1.7型裏面照射型CMOSセンサーで、無理に解像度を上げずに写真のクオリティーを維持する方向で進化させている。ISO感度はDiGiC 6による繊細な高感度処理とあわせてISO80~12800まで設定可能だ。
画質は解像感が高く、細かい部分の描写がしっかりとしている点がうかがえる。これなら小さいセンサーサイズに起因する深い被写界深度を利用して、シーンによってデジタル一眼レフと使い分けて使用できると感じた。
レンズの根元に設けられた大きな「コントローラーリング」もPowerShot S120を面白くしている要素だ。コントローラーリングを使用しなくても撮影自体は可能だが、よく使う機能やこの操作なら便利なのでは?という機能を割り当てるとより愛着が沸いてくる。
例えば、ボタンを押して呼び出す露出補正をコントローラーリングに割り当てるだけで快適さが違ってくる。ズームリングとしてコントローラーリングを回すのも操作している実感があって良い。よく使う機能を割り当ててコントローラーリングを活用する使い方、設定から選ぶと手間になりそうな機能を割り当てて「ここぞ」と言うときに切り替えるという使い方など、コントローラリングは使い手の個性が出る部分でもあるだろう。
使い勝手の良さはボタンやダイヤル操作以外に「タッチパネル」を搭載している点も評価したい。AFが高速化したとは言え、狙ったポイントにAFフレームを手間を掛けて移動させていたのでは意味がない。PowerShot S120は液晶画面のピントを合わせたい部分にタッチするだけでAFフレームが移動する。構図を決めて画面をタッチしてタイミングをみてシャッターボタンを押す、このシンプルな操作で作品作りができるのだ。
PowerShot S120は手のひらサイズにスマートフォン連携を含む、最新のトレンドを詰め込んだキヤノンらしい良く作りこまれたコンパクトデジタルカメラだ。カジュアルなPowerShot S120は写真を愉しむにはちょうど良いサイズで、軽さと画質を含め望遠レンズを付けた一眼レフのサブ機として携行したくなる点も魅力である。
Photo by MAP CAMERA Staff