Nikonからクラシックな意匠をまとった新しいフルサイズボディが出ると聞き、順次公開されていったティーザー広告を見つつ期待を膨らませていた方も多いのではないだろうか。『Nikon Df』、Nikon FMやFEで写真を撮られていた御仁であれば一目でとても懐かしいデザインと思ったのではないだろうか。マニュアル操作に配慮した各種の単独操作ダイヤルもクラシックな印象で、これまでのNikonデジタルボディとは想像以上に”違い”のある仕上がりだ。それでいて内部のセンサー等は現行フラッグシップであるD4と同等な物が搭載されているというのだから素晴らしい。
最新のレンズと組み合わせた作例は選考の1stリポートで掲載済みなので、こちらではオールド・ニッコールの雄、初代『Noct Nikkor 58mm/f1.2』を使用しての作例をご覧頂ければと思う。ボディと組み合わせてもやはりというべきか、マッチングはすこぶる良く、本当にフィルム時代を彷彿とさせるその外観は撮影意欲も否応無く高めてくれる。”撮る愉しみ”に拘った一台だ。
オールド・ニッコールレンズのキレも冴え渡る描写である。ダイナミックレンジも幅広く捉え、説得力のある美しい描写はフラッグシップ機譲りの完成度の高いものだ。
そして、シャッターフィーリングやレスポンスの良さもお伝えしたいポイントだ。とっさのシャッターチャンスにもしっかりと対応するキレの良い動作は、ボディ自体への信頼感へと繋がる大きなポイントである。
ガシッと剛性感のあるボディに、時代の銘レンズを着けて。大きく鮮烈なファインダーでピントを追い込んでいくその快感が、『Nikon Df』の最大の魅力であろう。
ボディ側のポテンシャルが安定しているお陰で、各レンズの個性がしっかりと出る。開放ではふわりと、絞り込めばぐぐっと鮮明さを増す『Noct Nikkor』の変化もそれぞれ楽しめる撮影であった。
中距離でもF1.2ともなれば被写体の浮き上がりはしっかりとしている。フルサイズセンサーに大口径レンズを装着すると、こうした描写も楽しめる。
高感度耐性も『Nikon D4』譲りの立派なもの、外観はしっかりと拘った仕上げだが、内面の完成度も高い所は魅力的だ。
モードダイヤルやシャッタースピード、ISO感度等のダイヤルがそれぞれ単独に配置されているので、よりマニュアルに近い撮影が可能だ。ダイヤルや操作部の仕上げもしっかりしたもので、クオリティはとても高い。しかし『Noct-Nikkor』とのマッチングの良い事と言ったら無いだろう。この状態ではぱっと見フィルムボディと勘違いをしてしまう仕上がりだ。
撮影していて楽しい、気分が盛り上がる。そうしたフィーリングは、実は写真に撮って想像以上に大きなファクターである。そんな”撮る愉しみ”を盛り上げる1台。新しいNikonの登場だ。
Photo by MAP CAMERA Staff