待望のEマウントフルサイズ機、『SONY α7R』。その発表を聞いて自前のオールドレンズ資産を生かせるとときめいた方も多かったのではないだろうか?特にレンジファインダー系のLEICA Mマウントや京セラContaxのGマウント等はフランジバックが短く、フルサイズで楽しめるボディが長く限られていた。そんな中で登場したフルサイズ・ミラーレス機はマウントアダプターを介しての撮影にも大いに期待したいボディではないだろうか。
先日のファーストリポートでも”Summilux 35mm/f1.4″を使用したカットを掲載したが、今回は他にも数本のレンズを使用している。 参考にして頂ければ幸いだ。
まずは前回同様、ライカのクセ玉の中でも1番人気の球面ズミルックスの2ndモデル。強烈な逆光でフレアも強烈だが、そんな中でも想像以上に被写体のラインをシャープに捉える。収差が生み出す柔らかな描写はSONYの純正レンズの対極にあるものだが、そんなレンズの描写でも、3600万画素フルサイズセンサーは見事に描ききっている。アダプターで楽しむにも十分な器を持ったセンサーと言えるだろう。
斜陽に滲む洋館の、その雰囲気は柔らかく情緒にあふれるものだ。解像感はありながら、滲む。現代レンズには見られないこういった描写が得られるのがオールドレンズの魅力であろう。
全体としても、とてもバランスが良く格好が良い。これで35mm/f1.4のスペックのままで使えるのだから嬉しい!
希少なブラック鏡筒のモデルと合わせたが…これも格好が良い。直線的でソリッドなデザインと前玉の大きさがあいまって、素晴らしくまとまったデザインとなる。アダプターも数種出ているが、中にはAFが動くものもあるので用途に合わせてチョイスしたい。
うってかわってこちらは現代レンズ、Voigtlanderの『ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6』での撮影だ。12mmという驚くほどのパースペクティブを、掛け値無しのそのままの広さで使える爽快感は何物にも代え難い楽しさである。さすがに超広角なので周辺にシアンドリフトと減光が見られるが、それを補って余り有るコンパクトさと使い勝手の良さだ。クセになる撮影スタイルとなる事請け合いである。
ここまでの広角となると、日常的な風景も一変して不可思議な世界へ迷い込む様だ。新しい視覚が開けるのは、間違いの無い1本だろう。
ソリッドでモダンなデザイン、大型のくびれのあるレンズ前玉。一見して「撮ってみたい!」と思わせるスタイリングが魅力的だ。
最後はヴィンテージ・レンズの代表として『Leitz Summar 50mm/f2.0』のレポートを掲載する。ライカ初期の大口径レンズとして発売された『Summar』はその柔らかさと精緻さがあいまう美しい描写で人気のレンズだ。優しいその描写はとても魅力的である。
特に植物等の柔らかな被写体を捉えるのに絶好のレンズでは無いだろうか。後ろボケも特徴的だが、そんな特徴も『SONY α7R』は見事に捉えている。
いかにもオールドレンズらしい描写である。最新式ボディの使い勝手の良さに、こんな味わいあるレンズをつけて、気ままに撮影に臨めるのだから本当に良い時代になったと感じる。
当初は3600万画素のローパスレス・ボディで、手振れ補正も無い状態でオールドレンズを撮影して歩くのはあまりにハードルが高いのではないかと思っていたが、実際に撮影に出てみると想像以上に快適に、ピントピーキングや高精細のEVFのおかげで楽しく撮影をしていく事が出来た。高感度耐性も良いおかげでシャッタースピードも稼げ、手ぶれのカットも数えるほどしか無い。この安定感には手放しで拍手を送りたい所だ。
MやLマウントレンズの使用時に1点思った事が有るとすれば、”近接撮影が出来ない”というポイントにつきるだろう。レンジファインダーではなく一眼スタイルで撮影していると、思わず接写をしたくなってしまうもの。ただヘリコイド付きのアダプター等もぞくぞくとラインナップされているので、この点も早晩解決する事では有るだろうが。
総じて、マウントアダプターのボディとしても素晴らしい仕上がりであり、手放しでお勧め出来る1台だ。広角域での周辺減光などが気にならなければ、フルサイズである事のアドバンテージは計り知れない。ぜひ、様々な楽しみ方をして頂ければと思う。
Photo by MAP CAMERA Staff