ペンタックス「HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limited」は、35mm判換算約105mm相当の中望遠レンズとなる。全長約26mmという薄さで35mm判換算105mmという焦点距離を実現している。さらに、ただ小さいだけではなく開放F値がF2.4と、F2.8通しの大口径ズームレンズより半段ほど明るいのだ。
レンズ鏡筒はこだわりの感じられるアルミ削り出しのしっかりとしたもので、Limitedレンズらしい素晴らしい作りをしている。ピントリングに記された距離指標と鏡筒部分の被写界深度目盛がこのレンズのアクセントとなっているように感じた。
こだわりは外観だけではなく、反射が少なく透過率の高いHDコーティングと円形絞りを採用しおり実用性が高い。
さて、画質の方はどうだろうか?
HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limitedは、絞り開放からシャープでコントラストが高く、且つ独特のボケ方をしていく。乱暴な言い方だがLimitedレンズは高画質を追求したレンズとは別のベクトルにある。各種収差を過度に補正せずに味として残しつつ、とは言え収差に埋もれて画質が低下することがないようストイックに理詰めの光学設計を行う技術者の魂がこもっているようにも感じる。それが独特の写りをするLimitedレンズの世界観だと思う。
70mm F2.4と言うこともあり、絞り開放では大きなボケを得ることができる。そのボケはどことなくオールドレンズのような味があり、独特の立体感を得ることができる。
絞るとシャープさがさらに増し木々の葉一枚一枚、壁面の細かい凹凸など驚くほどの詳細な情報量が記録される。この絞りをコントロールすることで自分の思い描く世界に近づけていける。風景写真においてもHD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limitedがあれば、このようなメリハリをつけて表現することができる。
とろけるような美しいボケは写真ならではの表現だが、収差によって滲んでいくようなボケもアナログ的な写真ならではの表現であると思う。とはいえ収差の残るレンズが全て味として許容できるかどうかは別物だ。HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limitedは、ちょうど良い塩梅に収差が補正されており絶妙な温もりがあるレンズに仕上がっている。PENTAX HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limitedの独特の立体感は感じて頂けているだろうか。
開放F値F2.4という事で暗所での撮影でも安定した撮影が可能で実用性が高い。いやそれ以上に、35mm判換算105mmのレンズが手のひらにのるほど小さく、携帯性に優れている点こそ実用性が高いと感じる。出かける際にもとりあえず押さえで中望遠レンズとして持って行こうという気にさせてくれるサイズだ。
HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limitedは、その焦点距離から敬遠してしまうかも知れないがこのレンズならではの独特の空気感が心地よい。Limitedレンズならではの作りの良さと携帯性に優れたサイズは、唯一無二の存在であると思う。
Photo by MAP CAMERA Staff