ペンタックスQシリーズの最新モデル「Q-S1」が登場した。イメージセンサーは「Q7」と同じ有効画素数約1,240万画素の1/1.7型裏面照射型CMOSセンサーを搭載する。このセンサーは画素数と解像感のバランスが良く、ファイルサイズが大きいRAWでの撮影も気軽にできる点が良い。今回使用したレンズ「08 WIDE ZOOM」とのマッチングも良く、1/1.7型のイメージセンサーとは思えない解像感と滑らかなグラデーションに驚かされた。
クラシックカメラ風のデザイン故にマニアックな印象を受けるが、1枚目の写真は露出モード「AUTO」で撮影したもので、ご覧のように逆光という難しい 条件でも綺麗な写真が撮れた。Q-S1はカメラに詳しくない初心者にもオススメの一台だ。また、Q-S1は豊富なカラーバリエーションも用意されているので、お気に入りの一台を見つけて写真撮影を楽しんで欲しいと思う。
Q-S1はバッグから出してすぐ撮れるので、シャッターチャンスに強い。これは小さくて軽いというコンパクトボディー故の機動性の良さによるもので、常に持ち歩けるサイズだからこそ最高のシャッターチャンスをモノにできるのではないかと思う。
コンパクトデジタルカメラと同じセンサーサイズなのでどうしても画質が気になってしまうのだが、この繊細な解像感・凝縮された情報量を見ると十分過ぎるほどの実力を持っていることがわかる。
Q-S1のスマートエフェクトには新たな「フェードカラー」と「アンティーク」が追加された。どちらも退色したような仕上がりになるものだが、重厚感のあるフェードカラーと優しい色合いのアンティークの使い分けも楽しみの一つ。
アンティークはトイカメラの光学的なシミュレーションとは違い、どちらかというとプリントした写真の質感を出すような傾向にあるように思える。比較的暗めの被写体の場合はそれが顕著で、プリントの周辺から退色して中央に色が残ったような雰囲気となるようだ。
「Q7」にあったスマートフィルター「クロスプロセス」と「水彩画」がQ-S1では上記の2つのスマートエフェクトと入れ替わってしまったが、撮影後のデジタルフィルター機能で、クロスプロセスをはじめとする効果を写真に掛けることができる。また、カメラ内RAW現像機能を利用すれば、ホワイトバランスや露出の変更と同時にデジタルフィルターを掛けてJPEG出力も可能なので、こちらも是非オススメしたい。
デジタルフィルター「ミニチュア」はジオラマ風の写真以外に、縦横斜め自由にピント位置を設定できるので限定的なぼかし機能として応用できる。
Q-S1のイメージセンサーは小さいものだが、葉の一枚一枚の形状をしっかりと再現し、さらに葉脈まで記録されていることに驚きだ。
35ミリ判換算約17-27ミリ相当の超広角ズームレンズの08 WIDE ZOOMは、広角ならではパースペクティブが楽しめるQシリーズ唯一のレンズだ。そして、天井のガラスの細かいワイヤーのようなものまでしっかりと解像しており、このレンズの性能も素晴らしいと感じた。
オートフォーカスはテンポ良く合うので撮っていて楽しい。何気なく使っている機能だが、オートフォーカスが遅いとこのような気持ちにはならない。また、暗い場所でも極端にオートフォーカスの速度は低下しないのも良い。Q-S1は新たに動画撮影時のコンティニュアスAF機能を搭載するなど、オートフォーカス機能も進化している。
Q-S1はクラシカルなデザインとコンパクトボディー故にスナップ撮影でも威圧感を与えず気楽に撮れる点が良い。初心者でも使いこなせる簡単な操作モードの他に、「P」「Tv」「Av」「M」の本格的な露出モードも用意されているので、使いながらステップアップできるのだ。本格的なRAW撮影も可能なので、中上級者のサブカメラとしてもオススメしたい。
Photo by MAP CAMERA Staff
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