2月に行われたカメラと写真映像の展示会「CP+(シーピープラス)2015」で、SONYブースに開発中のFEレンズ4本が先行展示されていたのは皆さんの記憶にも新しいと思います。 そして1ヶ月後の3月13日、早くもその中の1本が発売となりました。今回ご紹介するのは『SONY FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS』、フルサイズEマウント初となる高倍率ズームレンズです。
注目ポイントは広角側が24mmから使えるということ。フルサイズの高倍率ズームは28mmからというのが一般的ですが、「もうちょっと広角が欲しい」と思う方は多かったと思います。そしてズームは最大で240mmまで伸びますので、望遠側も不足を感じる事はないレンズです。
しかし高倍率ズームは便利が故にその写りはどうなのか気になるところ。私もそう思っていた一人だったのですが、その心配は良い意味で裏切られました。早速その描写を見ていきましょう。
春の訪れを感じさせてくれる満開の河津桜。鮮やかなピンク色はこの季節の景色を明るくしてくれます。
撮影時の絞りはF6.3。決して明るい数値ではありませんが背景を滑らかにぼかし、フォーカスを合わせた花々に立体感を与えてくれます。
参道を手を引いて歩く親子。12群17枚という構成のレンズですがヌケも良く、高コントラストで鮮やかな発色が印象的です。自然なボケ味が遠近感を上手に表現してくれています。
竹林を見上げての一枚。広角側28mmでF4開放の写真ですが笹の葉が一枚一枚しっかりと描写されているのに驚きました。とても高倍率ズームで撮ったとは思えない高い描写性能です。
向かい合う2羽のフラミンゴ。フォーカスを合わせた目のリアルな描写をご覧ください。そしてくちばしにかけては微妙な凹凸や硬い質感も見事に表現しています。
望遠側へズームするとレンズの明るさは下がるものの、昼間の屋外撮影でシャッタースピードが気になるような状況はありませんでした。フォーカス面のシャープさと前後のボケ味のメリハリが利いた描写を楽しむ事が出来ます。
河津桜の下には満開の菜の花が咲いていました。色表現の豊かさと繊細な描写力は花びらの一枚一枚を捉え、生き生きと表現してくれました。
日陰での撮影でシャッタースピードは1/60秒。レンズ内手ブレ補正とα7IIのボディ内手ブレ補正が生み出す5軸手ブレ補正は撮影時にも体感できるほど強力なもので、安心してシャッターを切る事が出来ます。高倍率ズームは様々なシーンで撮影するレンズだと思います。この手ブレ補正機能は薄暗いシーンや屋内撮影など、多くの場面で助けられると思いました。
屋根の影になっている部分の階調表現も素晴らしいの一言。細部まで立体感を感じる表現力はまるで単焦点レンズで撮影したかのようです。
軒先でこちらを見ていた猫を撮影。艶やかな瞳と毛の一本一本まで写す本レンズの描写は高倍率ズームの枠を超えているように思えます。
町を照らす夕日を望遠端である240mmで撮影しました。澄み切っているとは言えない天候でしたが、遠くの山並みまで捉えています。そして影になっている建物を拡大すると各階層や窓などしっかりと写し出しているのが分かります。改めてその描写性能に驚かされます。
『SONY FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS』は高倍率ズームのイメージを変えてくれるほど素晴らしい性能を持った一本でした。重量780gという少し重さを感じるレンズではありますが、24mmという広角端から使用でき、全域でシャープな写真が撮れる事を思えばその大きさにも納得してしまいます。そして防塵防滴に配慮した設計も外で使用していて安心感に繋がりました。最初ズームリングが少し硬いかなと感じましたが、それはレンズが気密性の高い作りになっている為です。それ故に高倍率ズームの悩みでもある“気づいたら移動中にズームが伸びていた”というトラブルの心配をしなくて大丈夫。ズームロックのスイッチが付いていない分、移動中に突然の被写体に出会ったときでも瞬時に撮影する事が出来ました。
旅行や外出のときに荷物は増やしたくないが写真はしっかり撮りたい。単焦点派だが作品作りも出来るズームレンズも1本欲しい。『SONY FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS』はそんな方達に是非オススメしたい素晴らしい1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff