今年発売されるカメラの中でも最も注目されている一台と言っても過言ではないでしょう、今回のKasyapaは驚異の高画素モデル『Canon EOS 5Ds』の登場です。 近年高画素化が進むデジタルカメラですが、『Canon EOS 5Ds』は35mm判フルサイズ初となる5000万画素オーバーのセンサーを搭載したモデルです。 ボディベースは『5D MarkIII』なので、パッと見は今までの機種と変わらない印象ですが、その中には高画素センサー以外にも映像処理エンジン・デュアルDIGIC6、ミラー振動制御システム、三脚座部の高剛性化など特別な使用になっています。昔『羊の皮を被ったオオカミ』と呼ばれた車がありましたが、今までの『5D MarkIII』が一般市販車モデルとすれば、『Canon EOS 5Ds』はそれをベースに高出力エンジン搭載とボディ・足回りを強化したナンバー付きレーシングカーのようなものかもしれません。その解像性能はいかなるものなのか、早速試写へ出かけてみました。
まず下から見上げたレインボーブリッジから。鉄骨や配管など細い線が見事に解像されています。しかし驚くのはまだ早いです。橋の中央部に四角い穴が空いていますよね、その“中”をよく見てみて下さい。もの凄く細いネットの格子が写っているのが見えますでしょうか?私は視力が2.0あるのですが、この部分は会社のPCで写真を確認して初めて気づきました。そしてこの線の光を捉えた『EF24-70mm F2.8L II USM』もスゴいですね。この一枚で『Canon EOS 5Ds』は今までのCanon機とは一線を画す解像力と表現力を持っていると証明してくれました。
撮影日はあいにくの天気だったので、『Canon EOS 5Ds』の性能が分かる写真が撮れるか少し不安でした。 ですが、この写真も確認してみて驚きました。そんなに明るくない状況だったのですがボルトや鉄の網など、被写体の細部までしっかりと写し出しています。
続いては晴れた日の公園での一枚。池の周りを囲む樹木の葉の描写はさすが超高画素機という印象ですが、今回はこの写真で現れた『Canon EOS 5Ds』の弱みについて少し話しましょう。白鳥のボート、色々試してみてもかなり白トビが顕著に現れました。これはメーカーの方も『5D MarkIII』に比べ『Canon EOS 5Ds』は白トビにシビアな機種だと話しています。本機はそのまま撮ってももちろんキレイに撮影はできますが、性能をフルに生かすにはカメラの設定や露出等の工夫がいるカメラだと感じました。
林の中で上を見上げたカット。このときは三脚を使用しました。高画素機は手ぶれが目立つのと同時に拡大してよく見えてしまうんですよね。やはり本機の持つ解像力の高い写真を撮影するなら三脚と高性能なレンズは必須かもしれません。
さて、続いては『Canon EOS 5Ds』の高感度性能についてです。本機の常用ISO感度は100〜6400までとなっています。『5D MarkIII』の常用ISO感度は100~25600でしたから、この点も超高画素機が故の苦手と言えるでしょう。とはいえ、プロのように撮影状況に合わせ何台もボディを持ち歩く方も少ないと思います。きっと撮影状況によっては本機で高感度撮影をする場合もあるでしょう。そこで本カットはISO3200に設定し撮影してみました。私個人の感想なのですが、高感度に弱いという印象はそれほど受けない写真です。他の機種と拡大して並べて比べれば違うのかもしれませんが、5060万画素という事を考えれば優秀な高感度性能だと感じました。
コチラは拡張無しの最高常用ISO感度6400でのカットです。これも一枚の写真として見れば十分使用可能な感度だと感じます。 そしてミラー振動制御システムのおかげかもしれません、IS無しのレンズで1/15シャッターを切って撮ったのですが、ほとんどブレずに撮影する事が出来ました。さすが最新の『Canon EOS 5Ds』、手持ちでもミラーショックの少なさを感じられる機能です。
『5D MarkIII』は何度も使用してきたのですが、『Canon EOS 5Ds』は今までの機種では写らなかった物が写っているという事を体感できました。非常に細い線まで解像してくれる印象です。『Canon EOS 5Ds』を使用してみて解像力は写真にとって見るものを引きつける力だと改めて感じることができました。この解像力はCanonユーザーのみならず、多くのカメラファンの方に一度感じていただきたいものです。 そしてセンサー以外にも専用に仕様変更・チューニングされたソフト面も素晴らしい完成度です。今回動体撮影は試みませんでしたが、5060万画素で5コマ/秒の連射性能を実現しています。本機を使ってでの動体撮影はクロップやトリミングをする時、画像サイズを大きいまま保てるという大きなアドバンテージとなる事でしょう。 『Canon EOS 5Ds』のコピーに「使いこなせる50.6M」という言葉がありましたが、実際に使用してみても超高画素機とは思えないほど使いやすい仕様になっています。是非このカメラで新しい高解像度の世界を表現してください。
Photo by MAP CAMERA Staff