4月末に待望のフルサイズセンサー搭載の一眼レフデジタルカメラ『K-1』を発売し、勢いに乗るPENTAX。今回は待望のPENTAX K-1に先駆けて発売された星印を冠した望遠ズームレンズ『HD D FA*70-200mm F2.8 ED DC AW』をご紹介いたします。
本来であればこのレンズは2015年夏頃に発売の予定でしたが「当初予定していた性能を満たすために、さらなる時間が必要になると判断した」とのことで2回発売を延期した末に2016年3月にようやく発売しました。度重なる発売延期を経て満を持しての登場を果たしたレンズの力や如何に、膨らむ期待を胸に『K-1』と組み合わせて撮りに行ってきました。
早速ですが浅草での1枚。三脚を据えて「Real Resolution」を試してみました。
カメラ本体の機能・性能だけでなく、レンズ側の性能も相まっての相乗効果でしょう。細かな装飾はもちろん、拡大して見ると屋根の下に張り巡らされている網まで精細に描ききっているではありませんか。ピクセル単位という極僅かな移動をしながら撮影した4カットのデータを重ね合わせることで1枚の写真として仕上げる機能ですが、肉眼では気付かないような細かいところまで描き切る描写力には驚きを隠せません。
せっかく望遠レンズを持っているので背景を圧縮した写真を撮ろうと思い、考えていると着物姿の女性が通りがかりました。
これからお参りに行くというストーリーで後ろ姿をパシャリ。ボケに癖が無く発色も豊かなので使っていて気持ちのいいレンズです。
お寺の隅には色付き始めた紫陽花が咲いていました。PENTAXらしい鮮やかな発色はもちろん、花弁の皺の1本1本まで綺麗に描かれています。
初めてこのレンズを手にして感じたのは、描写力に定評のある単焦点レンズ『DA*300mm F4 ED [IF] SDM』と比べても画質に遜色がないということ。 プライベートで愛用している『DA*300mm F4』の画質には毎回大変満足しているのですが、今回の『HD D FA* 70-200mm』はズームレンズながら凄まじい描写力です。「ズームレンズは画質では単焦点レンズに劣る」と言われていた時代はもう古いのかもしれません。
露店のお面をPENTAXの十八番であるカスタムイメージ「雅」で切り取ってみました。「これぞPENTAX!」と思わせる独特の鮮やかな発色は実にお見事。
さすが星印を冠するレンズなだけあって、様々な材質でできたお面の質感の違いが手に取るように判ります。純正レンズならではの相性の良さを感じますね。
焦点距離:70mm/ 絞り:F9/ シャッタースピード:1/800秒 / ISO:800/ 使用機材:PENTAX K-1 + HD D FA*70-200mm F2.8ED DC AW
夕暮れ時の新宿をふらふら散歩していると、ビルに西日が反射していました。 通りを行く車も入れてパンフォーカスで撮るべく絞ったのですが、遠くにあるビルの看板の文字まで見える解像力には脱帽です。
焦点距離:200mm/ 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/200秒 / ISO:800/ 使用機材:PENTAX K-1 + HD D FA*70-200mm F2.8ED DC AW
舞台は変わり、私の心のふるさと江ノ島にやってまいりました。橋を渡り、江ノ島神社の横の坂を上れば猫が多くいる猫天国です。
この日も猫がいたらいいなと思いながら歩いていると草むらで佇んでいたのでほぼ最短距離で撮りました。力強い眼や、ヒゲの1本1本を緻密にしっかり描いているのがこのレンズの凄いところです。
続いては新機構が目を引く『K-1』のフレキシブル液晶モニターを起こしてのライブビュー撮影で花壇の花をパシャリ。
望遠端・最短撮影距離・絞り開放とボケが最大限に出る条件で撮ったので大きく柔らかいボケを得られました。大きいボケに満足、というだけでなくピント面のシャープさにも注目です。もしこれを「Real Resolution」で撮っていたら…と思うとちょっとゾクゾクします。
最後は望遠と言えば動体撮影でしょう、ということで飛び回るトンビを追い掛け回しました。雲行きが段々と怪しくなり、パラパラと雨が降る中で強風に煽られながらの一枚。スターレンズは全てカメラボディと同等の防塵・防滴性能を誇るタフなレンズなので今回のような悪天候になっても機材を心配することなく撮影に集中できました。先程も書きましたが『K-1』との組み合わせはホールディングが良く、強風に煽られても構え続けられたというのがとてもありがたかったです。
ついに登場したPENTAXのフルサイズ!『K-1』と『HD D FA* 70-200mm』の組み合わせは総重量約3kgほどと重量級ですが、全てはこの組み合わせで撮影した写真の画質を鑑みれば納得の重さです。
フルサイズセンサー搭載機の発売は他社に先を譲りましたが、ここからきっとPENTAXの追い上げが始まるでしょう。そう感じさせるに相応しいレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff