2017年2月、リコーイメージングから『PENTAX KP』が新たに登場しました。
防塵・防滴構造、K-1と同じ画像処理エンジン、リアル・レゾリューション・システム、ローパスセレクター、…そして、新イメージセンサーの搭載。ペンタックス最高峰の技術が詰め込まれたカメラといっても過言ではないでしょう。
更に、ここまでハイスペックなのにお値段は驚きの12万円台! (※ボディのみ・2017年3月17日時点のマップカメラ価格です)リコーさん、大丈夫?と心配になってしまうくらいお買い得なカメラです。
このカメラを見てまず目に飛び込んでくるのが、突出したペンタ部です。KPの商品企画の方のお話によると、『PENTAX KP』は1995年に発売された『PENTAX MZ-5』をはじめとする『PENTAX MZシリーズ』のように伝統的な一眼レフカメラのフォルムにこだわったとのこと。
実は外寸はK-3とほぼ同等なのですが、不思議とK-3よりスリムでコンパクトに見えます。気になったのでKPとK-3をじっと見比べてみると、随所が削ぎ落とされてよりスタイリッシュなデザインに進化していることがよくわかりました。
特にシルバーカラーはクラシカルな雰囲気が出ていてGoodです!
ペンタックスの良い所が凝縮されたカメラを携えて、早速撮影へと向かいます!
冒頭の写真は飛んできたトンビを捉えた1枚。ばっちりカメラ目線を写真に収めることが出来ました。
安心の防塵・防滴構造のおかげで、撮影環境を選びません。ペンタックスのカメラは非常にタフで、防塵・防滴構造のみならず衝撃にもとても強い作りとなっています。そう考えると、写真を撮るということにおいてこれほど頼もしいカメラは無いのではないでしょうか。
海中が見える船の展望席でじっと魚を見つめる息子を撮影。
ピントが迷いがちになるシーンでもストレスなく撮影を行うことが出来ました。
優しい静かなシャッター音が魅力のペンタックスですが「ライブビュー+電子シャッター」で撮影をすると、限りなく無音に近い状態で撮影をすることが可能です。あまり音を立てて撮影をしたくない時や、子どもに気付かれずにベストショットを収めたい時にはぜひ試してみてください。
こちらはライブビュー+チルト式液晶を使用して下から撮影した1枚です。
ペンタックスのカメラは今までライブビューボタンを押すことでライブビューに切り替わるようになっていましたが、KPはボタンではなくダイヤル下のレバーを操作することで切り替わる仕様になっています。
このおかげで、電源を入れた瞬間からすぐにライブビュー撮影を楽しめるようになりました。
さて、日をまたいで今度は地元を散策です。暖かな日差しが降り注ぐ川沿い。きらきらと輝く水面が美しいですね。
…しかし、あまりにも天気が良くてモニターが見づらくてかないません。LCD設定を変えようと設定画面を開いたところ、「アウトドアモニター」なるものを発見。この数値をプラスにすると画面がぱっと明るくなって視認性が増しました。
K-1から搭載された機能のようですが、これにはかなり助けられました…。屋外撮影には欠かせない機能ですね!
KPには「機能ダイヤル」が搭載されていて、C1、C2、C3と書かれた部分にそれぞれ機能を割り当てることが出来ます。初期設定ではカスタムイメージ、ローパスセレクター、アウトドアモニターの順番で設定がされているのですが、これがまた便利でびっくり。
自分が良く使う機能をこのボタンに割り当てておけば、いちいちメニュー画面を開いて設定をせずとも手前のダイヤルでくるくると設定を変更することが可能です。
そうそう、こんな機能が欲しかった!とついつい口元に笑みが浮かびます。
河津桜ももう見納め。だいぶ葉っぱが目立ってきました。
ですが、東京の桜の開花予想は3月22日なのでもう少ししたらまた満開の桜を臨むことが出来るでしょう。楽しみです!
ペンタックスは本当に緑の表現が素晴らしいですね。明るい所から暗い所まで、緑を鮮やかに描いてくれています。
ユーザーモード4(左ダイヤルのU4)に「MANUAL LENS」がプリセットされている等、KPはオールドレンズの撮影にも特化しています。KP自体の見た目もクラシカルなので、オールドレンズとの相性はばっちり。
実際に使用してみましたが、直感的な操作が出来るように各ダイヤルに設定が割り振られているのはもちろん、フォーカスアシストのおかげでピント合わせもらくらくでした。M42レンズ等オールドレンズをお持ちの方はぜひお試しあれ!
ここで小休憩。実はこの日はバッテリーの充電をせずに家から出てきてしまい、途中でバッテリーが切れないかとヒヤヒヤしていたのですが、それも杞憂に終わったようです。
ペンタックスを使うことのメリットの1つでもある「バッテリーの持ちの良さ」はかなりのもので、バッテリーが切れそう!と焦ったことは今まで一度たりともありません。
ちなみに、『PENTAX KP』はボディがスリムになったこともあってかバッテリーもスリム。K-70、K-Sシリーズと同じ『D-LI109』が使用されています。連写を多用したり動画撮影を長時間行ったりしないのであれば、バッテリー1つで1日たっぷり撮影を楽しむことが出来ますよ。
またもや食事処での写真ですが、ここで皆さんに注目していただきたいのが『PENTAX KP』最大の目玉である「高感度耐性」です。
ISO6400以上はノイズが気になることがわかりきっているのでそこまでの高感度なんて滅多に使わないのですが、撮影をしてみてびっくり。とてもISO12800で撮影したとは思えないこの写りには正直驚きを隠せませんでした。
拡大をして見てみても、ランプの上のコードのディティールも潰れていませんし、それどころか小さなホコリでさえもしっかりと捉えています。
思わず口から「すごい…」と声が漏れてしまうほどの高感度耐性。さすが高感度に強いと謳っているだけはあります。
ボディ内に手ブレ補正機構が搭載されているので、片手でサッと構えてシャッターを切ってもこの通り。
ここまで高感度でサクサク撮れるとなると、夜の撮影がぐっと楽しくなります!
今はまだ夜になると寒さが厳しいですが、それももうすぐ終わりを迎えます。春になったらKPを持って夜のお散歩なんていかがでしょうか。夜桜の撮影は三脚禁止のところが多々ありますので、そういったところでも大いに活躍してくれそうですね。
ISO1600だと、縮小した画像はもちろん拡大をしてみてもほとんどノイズは気になりません。
他のカメラだったらISO3200やISO6400でもこれくらいノイズが乗ってきてしまうところですが、『PENTAX KP』だったらこの通り。
ISO25600の写りだとは到底思えません…。この写真はシャッターにピントを合わせましたが、暗い中でもスッと迷わずピントが合ってくれました。
KPの外観について冒頭で触れましたが、KPにはそれ以外にもペンタックスらしい秘密が隠されています。
それは「グリップ」です。サイズはS・M・Lの3種類があり、用途に合わせて付け替えることが可能になっています。上の写真でKPに装着しているのは標準装備のSサイズなのですが、薄型ながらもホールド感があり、コンパクトな単焦点レンズやLimitedレンズでの撮影に向いています。
また、別売で標準ズームレンズにぴったりなMサイズと、望遠レンズでの撮影でも安心なしっかりと握りこめるLサイズがあります。
…このグリップを見て、最近ではあまり見かけなくなってしまいましたが、少し前まで豊富なカラーバリエーションでカメラを展開していたことを思い出します。カメラマンの細かいニーズに応えようとするその姿勢が、KPには表れているように感じました。
PENTAXブランドは、2017年5月で60周年を迎えます。60周年を迎えるプレミアムな年に発売された『PENTAX KP』は、新旧のペンタックスの良い所を凝縮した素晴らしいモデルでした。
「撮影を楽しむ領域の拡大」をコンセプトに作られたこのカメラと一緒なら、どんな撮影も楽しくなること間違いなしです!
Photo by MAP CAMERA Staff