そんな印象を持ったまま、今回『GH5』を持ち出したのですが・・・。パナソニックさん、すみません。私が間違っていました。
コントラストAFをベースに作られた独自の“空間認識AF”は、コントラストや位相差なんて理屈は抜きに、相当速いです。それに加え、フォーカスしたいポイントまでスムーズに一発で合わせてくれる正確さを持ち合わせていますから、ピント合わせが非常に気持ちがいいんです。
そして、肝心の画質表現ですが、シャッターを切って驚きました。以前、オリンパスのE-M1 MarkIIで撮影した際に「マイクロフォーサーズもここまで来たか」と、その画質に感銘を受けたのですが、この『GH5』もスゴイ。本当にフォーサーズ・サイズのCMOSなのか?と疑うほどの解像感と階調表現です。
6Kフォトや4K/60p記録、世界初の4:2:2 10bit 4K/30p記録など最新機能のトピックはたくさんありますが、まず、『GH5』はスチールカメラとして本物の性能を持っているカメラだと私は言いたいです。
複雑に反射光と影が重なっているシーンで撮影した一枚。『GH5』はRAWで撮影するとコントラストを抑えてダイナミックレンジを優先させているような画作りをするのが特徴ですね。 撮影した画像を確認すると本当に素晴らしい階調表現をしているのがわかります。
歩道橋から見下ろしてのスナップ。解像感、立体感など申し分ありませんね。搭載されているセンサーは2033万画素ということで『GX8』とほぼ同等のはずなのですが、ローパスレスの効果もあってか、その解像力はワンランク上の印象です。
地下道の隙間からビルを見上げ、意図的にコントラストの強調を狙ったカット。ビルが細部まで解像している分、より写真にメリハリが出ました。
まるで光学ファインダーを覗いているような錯覚を覚える、368万ドットの高精細ライブビューファインダー。他のフラッグシップ機に負けない高速のAFレスポンス。進化したボディ内5軸手ブレ補正と“Dual I.S. 2”。そして2033万画素・ローパスレスセンサーから生み出される、先鋭感のある解像力。もうそれだけでデジタル一眼カメラとして十二分な実力を持っているのですが、それに加えて親指で直感的に変えられるジョイスティックの追加、AF追従連写として秒間9コマを実現しています。
正真正銘のフラッグシップ機の性能を手に入れた『GH5』ですが、本機にしかできない撮影機能である6Kフォトも忘れてはなりません。いままで4Kフォトの1.5倍ある6Kサイズ(横6000×縦3000pix)で秒間30コマという連続撮影が可能になり、より大きな写真出力にも使える機能になりました。
上の新幹線の写真は、その6Kフォトを使って撮影したものなのですが、いかがでしょう? すれ違いのタイミングで架線柱に車両の前面が隠れていない一瞬のタイミングをセレクトしました。シャッターチャンスを確実に納められる機能ながら、通常撮影とほぼ変わらない画像サイズとクオリティを実現。6Kフォトに新たな写真撮影の可能性を感じました。
蜜を集めるために菜の花畑を飛び回っているミツバチを近接撮影。この時は6Kフォトではなく、秒間9コマの高速連写で対応しました。小さく素早い被写体を捉えるために少し苦労しましたが、“空間認識AF”のおかげもあってピントがバッチリきています。そしてキットレンズである 『LUMIX G VARIO 12-60mm F3.5-5.6 ASPH.』の近接撮影能力にも驚いた一枚です。
光と影のコントラストをスナップした一枚。今回は全てカラーでの現像ですが『GH5』はモノクロでも現像してみたくなる階調の良さです。
緑の葉が茂る、大きな木を見上げてのカット。ここまで写れば文句もないでしょう。『GH5』さすがです。
しぶきを上げながら流れ落ちる水を高速シャッターで止めました。『GH5』は機械式シャッターで最大1/8000秒、電子シャッターを使用すれば1/16000秒という高速シャッターを切ることができます。また、ミラーレス機の特性を生かしてシャッターショックも軽減されています。
撮影途中の昼食休憩での一枚。実は毎回、相当な距離を歩いて撮影しています。
港に大きな帆船が停泊していました。今回はキットレンズである『LUMIX G VARIO 12-60mm F3.5-5.6 ASPH.』に加え、『LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.』も一緒に持って行ったのですが、少し大きな『GH5』とベストマッチな組み合わせでした。
サイズ的には“ハイエンドAPS-C機に70-200mmF4″くらいの感覚なのですが、換算800mm相当のズームに加え、『GH5』の高速AFと高速連写がありますから、今回のような風景だけでなく、スポーツなどの動体撮影でも実力を発揮してくれることだと思います。
「ミラーレス機はAFが弱い」は、本当に過去の事になったのかもしれません。体感的にではありますが、『GH5』のAFスピードと正確さは、今までのミラーレス機の中でも間違いなく最上位クラスです。野鳥を撮影する方にも胸を張ってオススメできる一台です。
実際に使ってみて『GH5』は、ハイアマチュアだけでなく、静止画と動画を両方撮るプロカメラマン向きの機材だと思いました。個人で活動するジャーナリストや、テーマに密着してドキュメンタリー作品を撮る際に『GH5』の持つ画質、機能、強靭性やサイズなど、とても向いているカメラと言えます。
また、優れたAF性能と連写機能、35mm判と比べて約2倍の焦点距離となるマイクロフォーサーズの特性を生かし、野生動物やスポーツなどの撮影でも力を発揮してくれることでしょう。
デジタルカメラはセンサーサイズで優劣が付けられがちですが、昨今のマイクロフォーサーズ機の進化には驚かされ続けています。少し前に「フルサイズ元年」なんて言葉が流行りましたが、『GH5』を使用して感じたのは「マイクロフォーサーズの逆襲」ですね。
GH5の発売を機にパナソニックでは専用サポートの「ルミックスプロフェッショナルサービス」を開始します。これもメーカーがプロフェッショナルを意識している現れ。『Panasonic GH5』はフラッグシップ機の名にふさわしい一台でした。
Photo by MAP CAMERA Staff
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