今回のKasyapaでは、ソニーG Masterレンズシリーズに新たに加わった『SONY FE 16-35mm F2.8 GM』をご紹介いたします。
同じ焦点距離である『Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS』の評判が良かったこともあり本レンズは使う前から期待値がかなり高かったのですが、実際に使用してみると期待を遥かに上回る描写性能に驚かされました。
少し撮影をしただけですっかりこのレンズの虜になってしまい、最初は「このレンズ、凄い!」と思っていたのですが、撮影が終わるころには「このレンズ、欲しい!」という気持ちにすり替わっていました。それほどまでにあらゆるシーンで期待値以上の画を叩き出してくれるレンズなのです。
冒頭の写真からも分かるように、コントラストのはっきりとした発色の良い写りが印象的な本レンズ。こちらの写真はほとんど現像調整をしていませんが、真っ青な空の色と木々の緑が綺麗にビルに写りこんでいる様子を鮮明に捉えてくれました。
また、本レンズではフローティング機構が採用されているため、こういった遠景のカットだけでなく近接での撮影でも優れた描写能力を発揮。広角レンズにありがちな周辺の光量落ちもほとんど見られず、隅々まですっきりとした写りが魅力的です。
天窓から差し込む日差しによって出来た細かい陰影のひとつひとつ、そして影となっている建物の奥の部分まで余すことなくしっかりと写し出してくれました。やっぱり建造物は広角レンズで撮ると映えますね。拡大をして見てみると、床のタイルの質感をはじめ、細かいところまで逃さず捉えているのがよく分かります。
明るいF値を誇る本レンズは、本来広角ズームが不得手とする奥行きのある表現もばっちりこなします。
最短撮影距離は28cm。テレ端でぎりぎりまで寄って開放で撮影をしたところ、単焦点レンズと見紛うほどの美しいボケ味を魅せてくれました。
それもそのはず、超高度非球面XAレンズが2枚も採用されているため、非球面レンズで発生しやすい輪線ボケを低減してくれるのです。G Masterの象徴ともいえる特殊レンズのおかげで、この美しいボケ味が得られるのですね。
ちなみに、本レンズの前玉に使われているXAレンズはαレンズ史上最大径とのこと。XAレンズが2枚使われているだけでも十分贅沢なのに、更に新開発のXAレンズが前玉に採用されているともなれば、その描写性能に期待するなというのが無理な話というもの。まさにソニーの最先端技術の賜物だと言えるでしょう。
もはや言うまでも無いかもしれませんが、AFの精度・スピード共に文句のつけようがありません。
フォーカスレンズの駆動には無駄な動きの少ないダイレクトドライブSSMが使われているので、駆動の速さはもちろんのこと、静粛性にも優れています。静止画のみならず、動画での撮影でも活躍してくれること間違いなしの1本です。
連なる傘のオーナメント。関東は梅雨も明けてすっかり夏本番といった様子ですが、ゲリラ豪雨に遭遇することもしばしば。
でもご安心を。さすがのG Masterレンズ、防塵・防滴に配慮された設計をしているので、雨の日でも臆することなく撮影を楽しむことが可能です。
また、レンズ前面にはフッ素コーティングが施されているため、レンズのお手入れが容易なのも嬉しいですね。
ずらりと並ぶウィスキーの瓶。後ろからライトで照らされていたおかげで陰影が強調され、シャドウ部が引き締まった1枚に仕上がりました。
すっかり表参道の顔となった、交差点前にそびえ立つこちらのビル。
鏡がいくつも合わさっているため照明が反射してフレアやゴーストが起こりやすいのですが、ナノARコーティングのおかげでゴーストばかりでなくフレアも一切起こらず、隅々までクリアに描写されています。
お気に入りのカフェで小休憩。11枚羽根の円形絞りにより、ボケの形が綺麗な正円を描いています。
先ほどの紫陽花の写真を撮影していても感じましたが、1本のレンズの中に何本もレンズが入っているのではないかと錯覚するくらい、焦点距離やF値の組み合わせによってがらっと表情を変えるレンズだなと感じました。
こちらは原宿に古くからある有名なヴィンテージマンション。原宿に訪れたことのある方は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
ドラマやPVのロケ地としてもよく使用されていますが、扇型に広がる特徴的なその形状は広角レンズで収めるとさすがの迫力です。
本レンズを手にした時の最初の感想は、「本当に680gもあるの?」でした。というのも、レンズ本体が小型であることと、α7シリーズとの絶妙なバランスのおかげか680gも重量があるようには思えなかったのです。
そして、小型・軽量なため機動力も抜群。それに加えて広角~標準域をカバーしていて、更にここまで美しいボケが得られるのであれば、風景・スナップはもちろん、ポートレート撮影も難なくこなしてくれることでしょう。まさに一石二鳥どころか、一石三鳥にもなる汎用性の高いレンズであると感じました。
プロフェッショナルの方には欠かせないレンズであることはもちろん、アマチュアの方もこのレンズを手にすることでより一層写真の楽しさが増すこと間違いなしの1本です。
本レンズの登場により、いよいよソニーも大三元レンズが出そろいました。ソニーはレンズが少ない、と数年前に思っていたことが嘘のように、ここ1,2年でソニー純正レンズはどんどんと数を増やし、今では20本以上ものレンズがそろっています。
今回ご紹介したG Masterレンズシリーズを筆頭に、頼もしいラインナップが名を連ねるソニーの純正レンズ。
α9が発売されてからというものの動体撮影にも強くなり、ますます隙の無くなってきたソニーFEマウントですが、今後はいったいどんなレンズが出てくるのでしょうか。期待は膨らむばかりです。
Photo by MAP CAMERA Staff