Canon PowerShot G1X Mark III
今回のKasyapaでは、11月30日に発売された新製品『Canon PowerShot G1X Mark III』をご紹介いたします。
本機が発表された時にまず驚いたのが、そのセンサーサイズの大きさでした。前モデルである『Canon PowerShot G1X Mark II』が1.5型だったのに対し、本機は一回り大きいAPS-Cサイズのセンサーを搭載。しかも、センサーサイズが大きくなっているのにも関わらず約150gほどの小型・軽量化を果たしているのです。4年近い歳月が経っているとは言え、ここまでの大幅進化には大変驚かされました。
また、エンジンやAF性能もパワーアップしており、特にAFはキヤノンのコンパクト機では初めて「デュアルピクセルCMOS AF」を採用。撮影条件に左右されずに位相差AFを行うことを可能としています。
冒頭の写真は、西日をバックに撮影をした1枚。ちょうど日の当たっている部分だけ葉っぱが光に縁どられ、よりメインの被写体が強調されました。
このようにAFの合いづらい逆光での撮影でもストレス無く撮影が出来るだけでなく、タッチパネルで直感的にフォーカスポイントを変更することも出来るので機動力は抜群。日々のスナップ撮影に持って来いの1台だと言えるでしょう。
撮影した日はとても天気が良く、コントラストのはっきりとした写真を撮ることが出来ました。あまりにも天気が良いとフレアやゴーストの影響が気になるところですが、そこはご安心を。レンズフード無しでも十分の描写力です。
別売でアルミニウム製の堅牢なレンズフード『LH-DC110』の販売もございますので、少しのフレアもカットしたい方や、レンズの保護のためにフードを付けたいという方は要チェックです。
搭載されているレンズは35mm換算で24-72mm相当の光学3倍ズーム。一番使いやすい標準ズーム域をコンパクトなボディで楽しむことが出来るのは嬉しい限りです。
前モデルと比べて様々な進化を遂げている本機ですが、中でも電子ビューファインダーが搭載されたことはかなり嬉しいポイントなのではないでしょうか。
また、ちょうどグリップを握って親指が来る部分にAFフレーム選択ボタンがあるのが個人的にとても便利だと感じました。ファインダーを覗きながらタッチでフォーカスポイントを移動することも可能なので、お好みに合わせて使用してみて下さい。
鼻がかゆいのか、フェンスに一生懸命鼻をこすりつけていた猫。なんとも言えない表情が愛らしいです。
このように動物に警戒されずにシャッターが切れるのもコンパクトカメラの醍醐味。特に合焦音とシャッター音を「切」にするとほとんど音がしないので、自分自身の物音にさえ気遣っていれば気付かれることもありません。動物はもちろん、小さいお子さんの撮影や室内の撮影でも活躍しそうです。
最短撮影距離は10cmと、被写体にぐっと寄った撮影も可能としています。
バリアングルモニターが搭載されているので、ローアングルでの撮影もお手の物。うまく活用することでより印象的な1枚を生み出すことが出来ます。
…それにしても、この写真を拡大してみてあまりのシャープさに驚きました。描写力は一眼カメラに勝るとも劣りません。素晴らしいの一言に尽きます。
広角端での撮影ですが、画面の隅々までしっかりと描写されているのが良く分かります。
東京タワーからほど近い場所にあるこちらの公園では、たくさんの外国人観光客の方々が楽しそうに写真を撮っていました。
本機を使用していて一番に感じたことは、「光の表現が秀逸である」ということ。
こちらの写真はまるでクロスフィルターを通したかのように綺麗に光芒が伸び、水面の輝きがより強調された1枚となりました。きらきらと輝く水面から広がる青のグラデーションもとても美しいです。
一日中ずっとカメラを片手にスタンバイした状態で使っていたのにも関わらず、意外にも疲れはほぼ皆無。しっかりとラバーで覆われた安定したグリップのおかげでしょうか。足の疲れとバッテリー残量が許す限り、ずっと撮っていられそうな気さえしました。
カメラが傍にある「楽しさ」をもたらしてくれる1台。
『Canon PowerShot G1X Mark III』をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
前面のダイヤルにキラリと輝くワインレッドのラインが、Lレンズの赤いリングを彷彿とさせます。中身はもちろんのこと、デザイン面でも前モデルと比べてかなり高級感のある作りとなっていることが良く分かります。高級コンパクトカメラは数多くのメーカーから出ていますが、中でも操作性の面においては頭一つ飛び出ている印象です。
惜しむらくは、バッテリーの持ちがあまり良くないこと。USB給電も可能なので、モバイルバッテリーもしくは予備バッテリーを常備しておくことをおすすめいたします。
写真を撮ることにおいて実際に見たままの感動を写真に表すことはとても難しいですが、本機はその難しさを可能なものへと一歩近づけてくれる1台であると感じました。高級コンパクトは中級者~上級者の方がサブ機として持たれるイメージがありますが、高性能ながらも難しい操作を必要としない本機はぜひカメラ初心者の方にもおすすめしたい1台です。
Photo by MAP CAMERA Staff