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467:『FUJIFILM X-H1』

2018年03月01日

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 / フィルムシミュレーション:Velvia使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro

FUJIFILM X-H1

クラシカルなデザインとアナログな操作系にこだわったフジフイルムのXシリーズ。色表現や画質に関してはユーザーから絶大な支持を得ているものの、ミラーレス機で多く採用されている“ボディ内手ブレ補正”は今までの機種には搭載されていませんでした。そんな中、ずっとネット上で噂されていたボディ内手ブレ補正を内蔵したXシリーズが遂に登場します。今回ご紹介するのはXシリーズの新たなフラッグシップ機『FUJIFILM X-H1』をご紹介いたします。

すでに2本の柱として存在している『X-Pro2』『X-T2』の2機種に加え、第三のフラッグシップ機として追加された『FUJIFILM X-H1』。噂ではX-Tシリーズの派生モデルと考えられていましたが、実際にカメラを手にすると全く別物の印象を受けました。簡単に表現するのなら『GFX 50SのAPS-Cバージョン』と言えばいいでしょうか。ホールド性の高い深いグリップ。右肩にあるスクエアの液晶。露出補正はダイヤルからボタン式となり、より現代の一眼レフスタイルになっています。

また、X-T1、X-T2を使用しているユーザーなら感じているであろう、大口径レンズとカメラボディとのバランスの不釣り合いも、この『FUJIFILM X-H1』ならベストマッチ。今まで少し大柄に感じていた『XF 56mm 1.2 R』や『XF 23mm F1.4 R』は『FUJIFILM X-H1』のために作られたのでは?と思ってしまうほどバランスが良く、しっかり握れるグリップと内蔵された手ブレ補正も相まって、被写体をピタリと止めた状態で撮影が可能です。

一枚目は『XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro』を使用した近接撮影のカットですが、この大きなレンズを装着してもフロントヘビーになりすぎないバランスの良さは今までのXシリーズには無かった安定感です。レンズとボディにある手ブレ補正の効きは強力なのにナチュラルな印象。ファインダー内の揺らぎに違和感を受けるような“手ブレ補正が頑張っている感”はなく、手持ちでも被写体と構図に集中して撮影することができました。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1 焦点距離:10mm(換算15mm) /絞り:F8 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:200 / フィルムシミュレーション:Velvia使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 10-24mm F4 R OIS

画質の要とも言えるセンサーと画像処理エンジンは『X-Pro2』『X-T2』と共通のX-Trans CMOS IIIとX-Processor Proを搭載。3600万画素クラスの解像性能を誇るセンサーに、高速画像処理と繊細な色表現を可能にしたエンジンは『FUJIFILM X-H1』で熟成の域に達してきたように思えます。 私はフジフイルム機を使用する時は基本JEPG撮って出しで撮影をしているのですが、その理由として、そのままの方が色が美しく、JPEGの画質クオリティも非常に高いということが挙げられます。この写真もJPEG撮って出しで撮影したものですが、被写体を緻密に写し出し、色や影のトーンも文句の付けようがありません。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1 絞り:F3.2 / シャッタースピード:1/180秒 / ISO:800 / フィルムシミュレーション:PROVIA

使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro

『FUJIFILM X-H1』を使用して感動した一つにファインダーがあります。ミラーレス機では最高クラスの約369万ドット大型電子ビューファインダーを搭載していますので、空気感も感じ取れるような素晴らしい見え方をします。

また、操作系も必要なものだけがシンプルに配置されているのが非常に好印象です。その中でも露出補正ボタンの位置が絶妙で、ファインダーを覗きながらボタンを指で探しに行く必要がないレイアウトになっています。様々なカメラを使用する機会がありますが、これは『FUJIFILM X-H1』が一番使いやすいと感じました。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1

焦点距離:16mm(換算24mm) /絞り:F4 / シャッタースピード:1/160秒 / ISO:800 / フィルムシミュレーション:Velvia使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 10-24mm F4 R OIS

他のカメラで言う“ビビッドモード”にあたるフィルムシミュレーション“Velvia”。超高彩度と鮮鋭度を併せ持つポジフィルム“Velvia”をデジタルで再現したものですが、ここまで写真に使える“ビビッドモード”は他にないかもしれません。長年のフィルム開発や経験で培われたフジフイルムの技術は、ただ鮮やかに、コントラストを高くしたカメラとは一線を画する色彩表現です。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/120秒 / ISO:800 / フィルムシミュレーション:ETERNA

使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro

新たなフィルムシミュレーション“ETERNA”の世界。

恥ずかしながら“ETERNA”というフィルムは、この『FUJIFILM X-H1』が登場するまで知りませんでした。メーカーによると従来からの銀塩フィルムの特徴である高画質化に加え、近年のデジタル化に考慮して開発された映画用ネガフィルムとあります。つまり“ETERNA”は私たちが一般的に使用している写真用フィルムではなく、映画用に開発されたプロの向けの動画フィルムになります。

その“ETERNA”のフィルムシミュレーションが『FUJIFILM X-H1』より追加されたのですが、コントラストと彩度を抑えた落ち着いた発色と、階調表現に重きを置いた表現は、今までのフィルムシミュレーションにはない色彩表現です。また、ダイナミックレンジ400%の設定がされているフィルムシミュレーションなので、特性をフルに活かすためにはISO800以上の設定が必要になります。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1 焦点距離:21mm(換算31.5mm) /絞り:F4 / シャッタースピード:1/70秒 / ISO:800 / フィルムシミュレーション:ETERNA

使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 10-24mm F4 R OIS

フィルムシミュレーションを“ETERNA”に設定し、明るめの露出で撮影した一枚。強く差し込む斜光の中、窓枠、花、洗面台と白い被写体が多い難しいシーンでした。しかし“ETERNA”は被写体それぞれが白飛びすることなく、白の中にある質感と色の違いまでも写し出しているのがわかります。これはセンサー性能が優れていることも大いに貢献していることだと思いますが、Xシリーズにしかできない写真表現の一つだと感じました。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/220秒 / ISO:800 / フィルムシミュレーション:ETERNA

使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro

撮影した写真を見て、思わずため息が出てしまった一枚。JEPG撮って出しでこの階調表現には驚きました。動画撮影にも強化された『FUJIFILM X-H1』に合わせて“ETERNA”も追加されたのだと思いますが、スチル撮影でも十分に魅力的なフィルムシミュレーションです。そしてアスペクト比を16:9へ変更すれば、より映画のワンシーンのような写真表現が可能になるのではと思いました。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/8秒 / ISO:200 / フィルムシミュレーション:PROVIA

使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 35mm F1.4 R

X-H1が手に入れた、最高クラスの手ブレ補正。

最大5.5段分の5軸手ブレ補正をボディ内で実現した『FUJIFILM X-H1』。先にも書きましたが、その効き味はナチュラルなのに強力。同じような補正数値を謳っている他のカメラよりも体感的には本機の方がブレに強いと感じました。そして、より手ブレを起こさないように作られているのがシャッターです。ミラーレス機になり、ミラーショックからは解放されましたが、シャッターショックやボタンを押す振動もブレの大きな要因となります。『FUJIFILM X-H1』はフェザータッチシャッターとシャッター衝撃吸収構造を採用することにより、それを軽減。メカニカルシャッターを使用しても振動が伝わらない静かな作りになっています。

上の写真はトンネルの中で撮影した一枚なのですが、シャッタースピードは1/8秒、レンズには手ブレ補正が入っていません。撮影した時は“シャッター速度が遅すぎたミスショット”だと思っていたのですが、実際の写真はブレずにしっかりと撮れていました。これは手ブレ補正機構、フェザータッチシャッター、衝撃吸収構造の3つが調和し、撮影できた一枚だと思います。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1

焦点距離:14mm(換算21mm) /絞り:F11 / シャッタースピード:1/25秒 / ISO:100 / フィルムシミュレーション:ACROS使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 10-24mm F4 R OIS

1/25秒の低速シャッターで撮影した交差点のスナップ。このくらいの低速シャッターでは全くブレる気がしないと思うほどファインダー内の視界は安定していました。ボディ内5軸手ブレ補正内蔵カメラでは後発に当たる『FUJIFILM X-H1』ですが、本当に高い完成度で仕上げてきた印象です。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1

絞り:F2 / シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:200 / フィルムシミュレーション:PROVIA

使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 35mm F1.4 R

Xシリーズ初期に発売された『XF 35mm F1.4 R』はとても好きな描写をする1本です。そして『FUJIFILM X-H1』との組み合わせで5.5段分の補正効果を発揮するレンズでもあります。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1

焦点距離:140mm(換算210mm) /絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:200 / フィルムシミュレーション:PROVIA使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR

花壇で日向ぼっこをしていた猫が鳥を凝視している一枚。この時は望遠ズームである『XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR』を使用しました。本レンズのような望遠ズームとの組み合わせは『FUJIFILM X-H1』が一番相性が良いと感じます。これは重量バランスやホールド性だけでなく、ボディ自体の剛性力が高いことも理由の一つと言えるでしょう。ボディに使用しているマグネシウム合金の厚みを25%もアップさせて作られており、よりフラッグシップ機らしい堅牢性も兼ね備えています。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1 焦点距離:10mm(換算15mm) /絞り:F8 / シャッタースピード:1/950秒 / ISO:400 / フィルムシミュレーション:Velvia使用機材:FUJIFILM X-H1 + フジノン XF 10-24mm F4 R OIS

最後は夕日を浴びた大さん橋のカット。鮮明感と陰影のトーンが素晴らしい一枚です。今回様々なレンズを『FUJIFILM X-H1』で使用し、改めてXシリーズの魅力に気付かされた撮影でした。

FUJIFILM (フジフイルム) X-H1

フラッグシップに相応しい、Xシリーズの集大成。

『FUJIFILM X-H1』を使用してみて、Xシリーズの中で最もパーフェクトなカメラだと感じました。それは、大きさ、使いやすさ、ファインダー、堅牢性、画質、機能など、全てが撮影のためだけに考えられており、様々な撮影シーンにこの一台で対応できるポテンシャルがあるためです。フジフイルムが考える、写真を撮る道具として突き詰めていった形が『FUJIFILM X-H1』なのだと思います。

もし使用レンズを大口径ズームで考えているのなら、この『FUJIFILM X-H1』を強くお勧めしたいです。この安定感は他のXシリーズには無いもので、今後登場するであろう大口径レンズにも対応した高い剛性力を持つ一台でもあります。写真を真剣に撮る方の期待に応えられるカメラ、『FUJIFILM X-H1』はフラッグシップにふさわしい一台でした。

Photo by MAP CAMERA Staff

 


 

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