485:『SIGMA Art 35mm / 24 mm F1.4 DG HSM』for SONY E
2018年07月25日
SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM for SONY E
SIGMA Artレンズシリーズの記念すべき1本目としておよそ6年前に発売された『SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM』ですが、今回新たにEマウント用にチューニングされて登場することとなりました。
私自身フルサイズEマウント用シグマレンズの登場をずっと待ちわびていたこともあってか、愛機であるα7IIに本レンズを装着した時に「シグマのレンズがα7IIに着いている…」と、思わず感動してしまいました。
マウントコンバーターの導入も考えはしましたが、やはり1本で完結しているのがベスト。トータルの重量もコンバーターとレンズの組み合わせより軽いので、Eマウント用の発売を待った甲斐がありました。
冒頭の写真は、渋谷のビル群を見上げた1枚。被写体の魅力を余すことなく引き出してくれるキレの良いシャープな描写力はさすがArtレンズです。ボディとレンズの重量バランスだけが気がかりだったのですが、本レンズに関しては意外とバランスが良くストレスなく撮影を楽しむことが出来ました。
ゴーストやフレアもよく抑えられています。この日はとても風が強かったのですが、揺れ動く被写体をしっかりと捉えてくれました。
Artレンズ最大の魅力は、そのボケ味の美しさでしょう。私もその美しさに魅了された者のうちの一人です。開放でもピント面が非常にシャープなため被写体が浮き立つような写りを見せてくれるのですが、一度この写りを味わってしまったら最後、もう他のレンズには戻れません。
画質重視のArtレンズは焦点距離を考えると大柄で重量のあるレンズですが、それでもなお「このレンズで撮りたい」と思わせるだけの魅力があるのです。
マウントアダプターを介しているときには使えなかったAF-CモードもEマウント用では使えるようになりました。
動体撮影をされる方にとってはとても大きいポイントではないでしょうか。
絶えず工事が繰り返されている渋谷駅は、さながらサグラダ・ファミリアのよう。また大きなビルを建てているようで、駅の周辺にはたくさんのクレーン車が鎮座していました。
訪れるたびに表情を変える街なので、とても撮りがいがあります。
ソニー純正レンズと比べると価格差はもちろんですが、色乗りがだいぶ違うのが印象的です。あっさりとした色合いが好みの方にはシグマレンズをおすすめいたします。
SIGMA Art 24mm F1.4 DG HSM for SONY E
『SIGMA Art 24mm F1.4 DG HSM』にも触れる機会がありましたので、こちらも紹介いたします。
35mm同様、Eマウント専用になったことで、使用時の重さが約30g軽量に。たかが30gかもしれませんが、暑い日差しの下ではこの僅かな差がものを言います。
撮影に訪れたのは江ノ島。カメラを肩から下げて階段を登り下りすると、カメラが揺れますから、なお軽量の有り難みを感じます。マウントコンバーター不要の一体構造になったおかげで、マウント部の耐久性に関する不安も軽減されました。
海岸奥の岩屋の隙間から海を撮影しました。強い日差しの外光との明暗差の大きいシチュエーションですが、黒つぶれも白トビもなく、とても階調豊かな画像を描き出してくれます。
洞窟の奥から吹いてくる涼しい風に誘われて奥に進みます。暗い洞窟でも明るいF1.4の大口径のおかげで、手持ち撮影が可能です。途中で渡されたろうそくを台の上に置いて撮ってみました。和紙越しでも炎の中心部を感じられる高い解像力です。ひんやりとした洞窟の中で、かすかに感じる炎の暖かさをArtレンズは見事に表現しています。奥の照明も綺麗にボケており、大口径レンズの凄さを改めて感じることができました。
撮影を行ったのは7月上旬。島にある神社には七夕飾りが置かれていました。近接撮影も得意な広角レンズは、七夕飾りにグッと迫っても賑わう神社の様子をそのまま切りとることができます。そして、シャープな描写は数え切れないほどの願い事を鮮明に捉えます。
日陰部分にはまだ紫陽花の花が残っていました。気温の上昇と共に少しづつ元気が無くなっていく花の様子をそのままに伝えています。AFも速くフットワークよく撮れるレンズは、画角も構図も自由自在。歪みなく大きなボケ味を有する描写は、写真だけ見ていると24mmで撮影したことを忘れてしまいそうです。
水族館の丸い窓を撮影すると、魚眼レンズで撮ったかのような面白い写真になりました。でもこのレンズは魚眼レンズの様には歪みません。そして少ない光を上手に捉え、自然な色再現を披露してくれます。
ボディと比較すると少々大きめのレンズですが、ファインダー越しからでも伝わる高画質に思わず撮影に没頭し、重さも自然と気にならなくなります。
過去にCanon用とNikon用をKasyapaで取り上げた「Art 35mm F1.4 DG」と「Art 24mm F1.4 DG」。既にこのレンズの高性能ぶりは十分に理解しているつもりでしたが、高い解像力と深いボケ味の両立した画像を見て改めて本レンズの凄さを再認識させられました。
24mmも35mmも標準ズーム1本でカバーされてしまう焦点域。高性能なズームレンズが多いことを考えると、なかなか手が出しづらいレンズかもしれませんが、SIGMA Artレンズでしか撮れない画があります。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff