使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM
赤いラインを基調とした意匠と優れた描写性で知られるキヤノンのLレンズ。その中でも望遠レンズは存在感のある白い塗装で鏡筒が塗られており、カメラを詳しく知らない方にも“白いレンズ”として周知されるほど有名です。 今回はその“白レンズ”の中でもマスターピースと言えるF2.8通しの一本、『Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM』をご紹介いたします。
2010年に発売されたII型から約8年半、最新のコーティング技術を身にまとった『Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM』は、名玉として絶大な支持を得ているII型の弱点を克服すべくリファインされたレンズとも言えます。その描写を確かめるべく撮影へ向かったのですが、残念ながら曇天の空模様。何を撮ろうかと歩いていた時、突然前を歩いていたお父さんがポーンと子供を上に投げたので、その瞬間を収めました。このようなシチュエーションを撮るのはなかなか難しいですが、直感的にカメラを構えた時でも素早く反応してくれるレンズとカメラは流石キヤノンだと感じます。
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
組み立て中の野外ステージを撮影した一枚。解像感と立体感と伴う描写ながらLレンズらしい艶のある発色です。コーティングが新しくなったことによりファインダーを覗いた瞬間に抜けの良さを感じられます。
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
野性味溢れるソテツの葉を生き生きと捉えてくれた一枚。AF動作もスムーズで、静音性も含め70-200mmではトップクラスの性能だと感じます。
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
プロの要望に応える、新70-200mm。
世界中のプロカメラマンが愛用するキヤノンの70-200mm F2.8L。II型でもその写りは折り紙付きですが、唯一の弱点をあげるとすれば逆光耐性がありました。強い光源が入ると緑色のフレア・ゴーストが派手に出ることがあり、被写体に被ってしまうとなかなか厄介なことになります。撮り直しが効く条件ならば工夫次第で防げるかもしれませんが、例えば大光量のライトに囲まれたスタジアムやスポットライトが並ぶステージなどを撮影するプロカメラマンにとってはもっとも改善して欲しい点でした。
そこで『Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM』では垂直に近い角度で入射する光に対して威力を発揮するコーティング“ASC”を本レンズに採用。フレア・ゴーストを大幅に抑制できると共に、コーティング自体の強度も高いのが特徴です。さらにレンズ最前面と最後面にはフッ素コーティングを施してありますので、過酷な撮影条件でも優れたメンテナンス性を保持しているのが特徴です。
レンズ内手ぶれ補正機構“IS”の効果は約3.5段分。この数値を聞いて「おや?」と思われた方もいることでしょう。II型のカタログスペックでは約4.0段分だった補正効果がなぜ落ちたのか、その理由は『Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM』から検査基準が変わったのです。今まではキヤノン独自の測定基準によるものでしたが、今回から新たにCIPAが定める測定基準に変更されました。そのため記載上は0.5段落ちたような書き方になっていますが、実際に使ってみるとズーム全域で被写体がピタリと止まる強力な手振れ補正に気づかされるはずです。
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
『Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM』の最短撮影距離は1.2m。テレ側で近接撮影すれば想像以上にクローズアップすることができます。写真では咲き始めの曼珠沙華をアンダー気味で撮影したのですが、このコントラストと深みのある色の美しさは実にキヤノンらしい描写だと感じました。
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
使用機材:Canon EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS III USM
レインボーブリッジを下から見上げたカット。素晴らしい解像力ですが、なんと開放F2.8で撮影したものです。『Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM』は焦点距離とレンズの明るさの特性によりボケやすいレンズと言えますが、被写体の距離とピント位置によってはこのような撮り方も可能です。
すべてのキヤノンユーザーにとって、最良の選択肢。
『Canon EF70-200mm F2.8L IS III USM』はII型から着実な進化を果たした素晴らしいレンズでした。スペックシートだけ見るとII型と比べて変更点が少ないように感じますが、最新のコーティング技術によりクリアで抜けの良い描写と、従来と同じ感覚で使える操作系、そしてメンテナンス性の向上は、様々なプロカメラマンの意見を取り入れた結果だと思います。
最近ではキヤノン初のフルサイズミラーレス機『EOS R』の発表により世間の注目がそちらに向いていますが、同時に発表されたマウントアダプターを用いれば本レンズも使用可能です。まだまだレンズが出揃っていないRFレンズ群に対して、最新のF2.8通し望遠ズームレンズは撮影の幅を広げてくれることでしょう。一眼レフを使い続ける方にも、ミラーレスシステムを検討している方にもオススメしたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff