PENTAXHD DA★11-18mm F2.8 ED DC AW
今回のkasyapaでご紹介するのは、PENTAXブランドをその身に宿し、2019年、満を持して新たに展開されたDAスターレンズ。その名も、『PENTAX HD DA★11-18mm F2.8 ED DC AW』です。
11-18mmという焦点距離は、35mmフルサイズ換算で17-27.5mm相当の画角となります。最短撮影距離はズーム全域で0.3mとなり、被写体にかなりアプローチできるので、こと近接撮影においても、強力なパースペクティブを楽しむことが出来ます。
遠景から近景まで、どの絞り値でも破綻のない描写
超広角に分類される本レンズですが、上記の最短撮影距離と相まって、背景を入れれば、ボケを活かした撮影も可能です。インナーフォーカス方式を採用していますので、最短撮影時にもレンズの全長が変わらず、大胆に構図を追い込んでいくことが出来ます。
率直な感想として、広角レンズでぼかすということには不思議な感覚を抱く筆者ですが、なるほど、この描写を見ると、ボケも綺麗で、新たな表現ができそうだ、と感心いたしました。
広い画角を持つため、太陽などの強い光源が割り込むシーンが想定されますが、本レンズには反射率を従来比で約50%以下に抑えた高性能マルチコーティング“HDコーティング”が採用されています。光線状態の厳しい撮影条件下でのゴーストやフレアーの発生を効果的に抑えてくれました。
またカメラボディの便利なチルト液晶を活用してのローアングル撮影では、広角特有のパースを楽しむこともできます。
そのまま絞り込んで遠景に持って行けば、パンフォーカスで近景から遠景まで写しこむことも出来ます。諸収差は開放からかなり良好に補正されていますが、絞ればその描写はさらに磨きがかかります。
ズーム全域でヌケの良い画質。DA広角レンズの完成形
撮影を続けていると、日が少し傾き始めました。PENTAXボディの持つ豊かな発色能力と相まって、絶妙な夕焼けのグラデーションを写し取ることができました。ボディ側が写し取る明暗部それぞれの情報量もさることながら、レンズがそれぞれの階調でしっかりと粘ってくれます。
太陽はすっかり沈んで、今度は夜の撮影です。三脚を立てて、じっくりと構図を選んでゆきます。構図を絶妙に変え、焦点距離を変えながら追い込んで行きますが、どの焦点距離を選択しても、撮影者の意図に沿うようにして、レンズの性能がしっかりとついてきてくれているのを感じます。また、ピントリングに無限遠用のストッパーが設けられているため、誤作動なく撮影することが出来ました。
最後に、星景写真を意識したレンズですので、都内近郊ですが星がよく見えるお気に入りの公園へ足を運びました。今回は残念ながら雲が途切れることがなかったため、満天の星空を撮影することが出来ませんでした。しかし、かえって流れてゆく雲が、時間の移ろいを感じさせてくれるような写真を撮ることができました。
今、手にすべきPENTAX DA★レンズ
スターレンズと言えば、PENTAXにおける最上位ラインモデルです。描写もさることながら、レンズ鏡筒には一線を画す存在であることを示す、華やかな金の化粧リングが施されています。実は、筆者のファーストカメラもまた、PENTAXのものでした。当時学生だったこの身において、スターレンズといえば羨望の眼差しを向けるもので、なかなか容易く手に入れることはできませんでした。年月が経ち、今改めてそれらの優秀なPENTAXのレンズを手にしてみると、非常にコストパフォーマンスに優れたものであることを実感します。
今回新たに発売となった「PENTAX HD DA★11-18mm F2.8 ED DC AW」を手にすると、昔の自分が戻ってきたように、ワクワクしながら、撮影に没頭する感覚がぶり返します。写真の道へと駆け出した頃に垣間見た、PENTAXの誇りにかけた情熱の魂が、このレンズには、確かに宿っていました。
Photo by MAP CAMERA Staff