CanonEF85mm F1.4L IS USM
キヤノンの『EF85mm F1.4L IS USM』は、F1.4という明るさとそれによる豊かなボケ味を有しつつ、Lレンズならではの精細な描写性能を誇るレンズです。そのバランスの良さとふり幅の大きさは、そのまま撮影者の自由度に直結すると言えるでしょう。そして4.0段分の手振れ補正機能が付いているのも、さらに自由度が広がるポイント。そんなボケもシャープも思いのままの当レンズを携え、撮影に出かけました。
スペックを説明されながら当レンズを渡されたら、まずポートレートを思い浮かべる方が多いかと思います。しかし筆者はリスを撮りに行こうと決めました。リスのサイズ感とキャラクターが、85mm F1.4のLレンズにぴったりだと考えたからです。
カメラでリスを追っていると、突然柔らかそうなお腹を見せて立ち上がったので、すかさず撮影。何とも言えないかわいらしいポーズが撮れました。小さなモデルさんの瞳にピントを合わせて開放F値1.4で撮ったところ、その黒い瞳にはケージの骨組みが綺麗に映っていました。背景が美しくとろけている点にもご注目ください。
メニューの写真を見て一目惚れした「ぞうさん弁当」です。注文すると少し待つよう言われ、しばらくすると熱々のお弁当をトレーに乗せて渡してもらえました。恭しく竹の皮に包まれており、開くとぞうさんが現れます。かわいらしいデザインで量も少ないので子ども用だと思いますが、喜んでいただきました。
四肢を折りたたみ、リラックスして丸太に座るヤギ。こちらに笑いかけているようなその表情に癒されます。目にピントを合わせ、F1.4の解放でポートレート風に撮影してみました。
マリーナに移動すると、船用のガソリンスタンドを発見。こちらはハイオクで他に軽油もありましたが、レギュラーは見当たりません。四隅まで精細に解像されているのを見て、さすがLレンズだと唸りました。
古いはしご車が停まっていました。赤と銀のカラーリングが何とも少年心をくすぐります。この銀の部分は形から想像するに水を出し入れする装置でしょうか。用途がわからなくてもなぜかかっこよく思えてしまうから不思議です。
夕方になると、植物園の建物のシルエットが浮かび上がります。この瞬間を待っていました。光を通す建物のちょうど向こう側に太陽があるのですが、まるで内部が発光しているかのような、近未来的な写真が撮れました。特殊コーティング技術「ASC」を採用したキヤノンのLレンズですから、ゴーストは出ていません。
解放からやや絞ってランプをふんわりと撮影。背後に綺麗な丸ボケがいくつも浮かび上がりました。とても描写が綺麗なレンズな上に、イメージスタビライザーも搭載されているので、夜のポートレートなど様々なシーンで試したくなります。
ボケもシャープも思いのまま
このレンズを使用しての一番の感想は、美しいボケもシャープで精細な描写も、撮影者の思いのままに表現できるレンズであるということです。解放F値1.4と言われるとつい解放でのボケを期待してしまいますが、ボケはもちろんのこと、ピントのキレのよさも非常に印象的で、どちらも得意な素晴らしいレンズなのです。ピント合わせの際にレンズの全長が変わらないのもよかったです。最短撮影距離が0.85mと比較的短いため寄れるのですが、そうして小動物を撮る際にも驚かせないですみます。また、ゴーストに強いのも魅力です。ポートレートはもちろんのこと、標準レンズとはひと味違うスナップ写真など、様々なシーンで活躍してくれるレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff