CanonよりRFマウントの新たな超望遠単焦点レンズ『Canon RF600mm F11 IS STM』が発売されました。DOレンズや筐体に樹脂部材を採用し、開放値F11の固定絞り構造やレンズを繰り出して撮影する沈胴構造にすることで、小型・軽量という従来の超望遠レンズの概念を覆す画期的なレンズが誕生しました。Lレンズである『Canon EF600mm F4L IS III USM』の重量は約3,050gに対し『Canon RF600mm F11 IS STM』は約930gと約70%も軽量化されています。超望遠レンズでありながら、一脚や三脚を使用することなく手持ちで撮影が可能となっており、気軽に撮影を楽しむことができる仕上がりです。キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ用に設計された超望遠単焦点レンズの作例、是非ご覧ください。
猛暑が続く中での撮影。思い返せば常にセミの鳴き声がしていたような気がします。鳴き声のする方にカメラを構えてみると、抜け殻が二つありました。『Canon RF600mm F11 IS STM』の最短撮影距離の4.5mまで近づいてみた一枚です。
600mmとなると観覧車の頂上もここまで拡大して撮影することが可能。ゴンドラの窓枠や金網など、線が線としてしっかり描写されています。
街を歩いていると、無数の提灯が吊るされた路地を見かけました。奥の方まで続いている提灯も、超望遠レンズで切り取ると詰まったような写真になります。
超望遠レンズでありながら重さは1㎏以下の軽量さ。たまに今装着しているレンズが600mmであることを忘れそうになるくらいです。地面に群生した花をローアングルで撮影しました。レンズ自体がコンパクトな設計なため、しゃがみながらバリアングルモニターで確認し撮影するという従来の超望遠レンズではできなかった撮影が可能になりました。
強い日差しと高い湿度に体力を奪われていた中でふと、噴水が目に入りました。見ているだけで涼しく感じた瞬間です。
高速道路が交差している場所。画面手前から奥へと大きなカーブを描いているのですが、圧縮効果により距離が縮まって見えます。また、熱気により陽炎が発生しているのもわかります。遠くの方に船も写っていますが揺らぎ、霞んで見えます。
高台から港まで降りてくると大型船が二隻停泊していました。夕日に照らされて僅かにオレンジ色がかった船体が印象的でした。
港をさらに散策していると、釣りを楽しんでいる人をちらほら見かけました。私も何度か防波堤釣りをしたことがありますが、魚が釣れた記憶がありません。ただ、防波堤釣りは魚を待つ間のゆったりとした時間を過ごすのも楽しみの一つであると思います。
日がさらに傾き、辺りが薄暗くなってきたころ、遊園地にて猛スピードで駆け巡るジェットコースターの撮影に挑みました。開放値F11の固定絞り構造により、明るく撮るにはシャッタースピードとISO感度のみの調整となります。ISO感度を10000まで上げましたが、想像していたよりもノイズが少ないように感じます。今回使用したボディは『Canon EOS R5』。高画素機でここまでISO感度を上げても耐えられる写真が撮れるようになったことに驚きました。
最後に撮影したのは東京タワー。展望台を狙ってシャッターを切ったのですが、展望台内が暗く、僅かに売店の光が見えるといった写真になりました。スポットライトなどの強い光源は街のあらゆる所に存在しています。そのような光源を探して日没後に撮影するのも楽しいのではないでしょうか。
新しい超望遠レンズの在り方
超望遠レンズは重たく気軽に持ち出しにくいという概念を覆す『Canon RF600mm F11 IS STM』。開放値F11の固定絞り構造により、撮影時に考える設定はシャッタースピードとISO感度の二つに限定されます。また、AFエリアは撮像面の中央の縦が約60%、横は約40%になります。正直なところ、一眼レフ機を使っていた私にとってあまり気になる点には感じませんでした。それ以上にコンパクトな設計や価格帯、描写力を考えるとそれらの利点の方が勝ると実感します。現在、RFマウントの超望遠単焦点レンズは『Canon RF600mm F11 IS STM』と『Canon RF800mm F11 IS STM』の二本が発売されています。より小型・軽量な『Canon RF600mm F11 IS STM』は通常のカメラバッグにもすっぽりと収納して持ち歩くことが可能です。超望遠単焦点レンズをより身近に、手持ち撮影で楽しみたいという方にはオススメの1本。ぜひ、超望遠の世界を楽しんで頂きたいと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff