高倍率のズームレンズを多く手がけるタムロンから、新たな一本が登場しました。『TAMRON 18-300mm F3.5-6.3 Di III-A VC VXD』の倍率はなんと16.6倍で、これはAPS-Cミラーレス一眼用ズームレンズとして世界初となります。35mm換算27-450mm相当のレンズなので風景やスポーツ、動物、ポートレート、スナップなどあらゆる撮影をこなせるでしょう。小型・軽量のボディに合わせてフットワーク軽くどこへでも出かけて、レンズ交換することなく広角から望遠までシームレスに撮影できるなんて夢のようです。発売されるマウントはソニーEマウント、フジフイルムXマウントの2種類。今回は『SONY α6400』と組み合わせて撮影してきました。
広い田んぼに稲がぎっしり並んでいました。周囲にあったビニールハウスや空をフレームアウトさせ、画面を稲で埋め尽くします。これまでこういった風景に面する機会がなかったのですが、実際に稲の前に立つとよい香りがするのだと知りました。
視界に何かキラリと光るものがあり、見ると透明のビーズが吊り下げられていました。2cm足らずのそれを望遠マクロで大きく写します。すると肉眼では気付かなかった田園風景が中に広がっていたのです。そんな発見があるのもマクロ撮影の面白いところ。
季節柄、バラはほとんど枯れてしまっていましたが、この1本だけが綺麗に咲いていました。花が終わったバラたちを避けて、青空に向かって凛と咲いているように撮りました。
見上げると葉に囲まれた素敵な窓がありました。「どんな人が住んでいるのだろう」「その人は何の本が好きだろうか」「窓から外を覗いたりしないかしら」……。実際には人が住んではいないのですが、そんな妄想をして遊んでみます。
木漏れ日がまばらに落ち、黄色い花に濃淡がついていました。風で枝や木の葉が揺れると影も揺れ、花を複雑に照らします。そのザワザワした様子が面白いと感じシャッターを切りました。
ビニールハウスに面白い影ができていました。骨組みの実体と影が入り乱れ、一見どれが本物なのかわからないなんとも不思議な光景です。ピントはビニールハウス内の網に合わせました。夕日が当たり網の繊維一本一本が輝いているのが見て取れ、当レンズの描写性能に唸ります。
この場から、自在に狙う。
視線を一点に集中させたとき、人の目は望遠レンズになったかのようにクローズアップして感じられることがあります。その意味でズームレンズは人の目に自然にフィットした効果を得られるとも言えます。当レンズは16.6倍という高倍率のズームレンズですからその最たるもの。あれを撮ろうと思う心に自然に寄り添うレンズなのだと思います。また高倍率の他にも高画質であることや、最短撮影距離がワイド端で15cmからであること、AFの速さといった特長もあります。撮影という行為が身体に溶け込むような感覚があるレンズです。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff