736:新たな船出を見つめるPROレンズ『OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO』
2021年11月19日
コンパクトで軽くてタフ。マイクロフォーサーズの利点を最大限に生かした、アクティブなカメラ・レンズの数々を生み出してきたオリンパス。幾多のフォトグラファーに愛された同社がこの度、「人生にもっと冒険を」をスローガンに掲げて「OM SYSTEM」に生まれ変わりました。「OM」は「常に困難なことに挑戦し 新しいものを生み出す姿勢」を表しているそうで、変わらぬフィロソフィーを抱きながら唯一無二の顧客体験を提供し続けていくことをより追求していくとのこと。「小型化・軽量化」「高画質」そして「独創的な機能」という三本柱がより強靭になることで、これまで以上に写真と向き合える魅力的な機材が生み出されていくことでしょう。
そんなOM SYSTEMとしての記念すべき一つ目の布石。今回は来月の発売が待ち遠しい『OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO』をご紹介します。フルサイズ換算40mmの標準レンズに近い画角を持ち、さまざまな場面で活躍します。そしてPROレンズを冠しながらも非常に軽量設計となっており「気軽に高画質な写真を撮影したい」というまさにOM SYSTEMの理念そのものという存在です。『OLYMPUS OM-D E-M5 Mark III』と組み合わせて撮影を行いましたので、是非ご覧ください。
日陰となっている森の中、濃い黒の中で浮かび上がるようにこちらに手を伸ばしている枝葉を見つけました。肉眼で感じている僅かな気配をどう写真に反映させるか。難しい条件であることは重々承知でシャッターを切りましたが、思い浮かべたとおりの一枚になってくれました。
足を延ばして訪れた東京駅。モダンな駅舎は昼夜問わず被写体として活躍してくれます。「雲一つない空」のお手本のような様子に、駅を出て思わず口角が上がってしまいます。抜けた青の表現はオリンパス時代から受け継いでいるなと嬉しくなりました。
くっきりとした影に冬の到来を感じます。夕方の強い西日に照らされて、発光しているかのように明るさを宿す一枚一枚の葉。大都会の中でも、植物のたくましい生命力を感じることが出来ます。いくつか腰掛けるスペースがありましたが、訪れた方々は一様に木々の周りでくつろいでいました。
撮影に奔走した日の帰り道。時刻としてはちょうど、会社や学校から帰路に付く方の多い頃合いです。東京都内でも住宅街へ足を運べば自然と車通りも増えます。バイパスを上から見下ろせる歩道で行きかう車両を眺めていると、だんだんと車より車が放つ光の方が印象的に思えてきました。長秒露光でその光だけを画面に捉えます。
新たな船出を見つめるPROレンズ
今まで「17mm」や「25mm」のPROレンズが存在していましたが、まさにその間を埋めるような単焦点が誕生しました。換算40mmという画角は不思議な魅力を秘めています。広角のようにパースペクティブが活かせたり、望遠のように遠くのものを大きく写すことはありません。しかし、撮影者の視界と調和し、何一つ誇張することなくそのまま切り取ることが出来るというのが最大の武器と言えるでしょう。。「M.ZUIKO PRO F1.2」シリーズで培った高解像・美しいボケ味をしっかりと継承しつつ大幅な軽量化にも成功しています。新たな船出を切ったOM SYSTEM、その一本目は突飛なアイデアのものではありません。コンパクト・タフで高画質という根幹をより突き詰めつつ、過酷な現場はもちろん「日常の撮影にも寄り添いたい」というメッセージを感じました。本レンズを通して、どのような景色を見つめるのか。ぜひお手に取っていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff