今回は『Nikon NIKKOR Z 24-120mm F4 S』をご紹介します。ニコンの高品位レンズシリーズ「S-Line」に属し、焦点距離は5倍にあたる24−120mmを網羅、開放F値4通しです。それでいて重量はクラス最軽量レベルの約630gですから、携行性にも優れます。また「ナノクリスタルコート」に加え「アルネオコート」も採用することでゴーストやフレアを低減し、よりクリアな描写を実現しました。これ一本で何でも撮れるのではという期待を胸に街を歩いてきましたので、どうぞご覧ください。
何度か訪れている馬舎。このご時世なので立ち入ったり馬と触れ合うことはできず、外から覗き込むのみです。普段は馬ばかりに注目しがちですが、外にいると馬舎のデザインが優れていることに気づきます。デザインが細部までこだわられていると知り、気分が上がりました。
住宅街を歩いていると突如視界が開け、煙がもくもくと出ている煙突が現れました。しっかりした厚ぼったい煙はとてもインパクトがありました。こんな場面でも当レンズは120mmまでありますから、煙突を大きく切り取ることができます。煙に惹かれて撮った写真をあとで見返してみると、煙突の階段やハシゴの一段一段まで描写されていることに気づき唸ります。
なんとも目にも鮮やかな車が止まっていました。何台か並んだ旧車の中でもこちらのブルーの一台が印象的です。あえて車体の端を画面から飛び出させ、こちらまで大きくせり出しているような表現をしてみます。
奥から夕日が差し込んでビルの吹き抜けを照らします。横切る人のシルエットをポイントにして、日の流れ、時の流れを感じられるような一枚にしました。
建物に日が差し込む時間帯。その光がオレンジっぽく色づいていることから、夕日であることがわかります。夕日のオレンジと日陰のブルーのコントラストがこのメローな時間を彩ります。
「灯滅せんとして光を増す」──。太陽が消える直前に一瞬燃え上がったかのような強烈なオレンジが、街を影絵に変身させます。写真ではオレンジと黒の2色の世界でも、肉眼では影に潜む様々なものが見えていました。「写真」は「真を写す」と書きますが、肉眼で見たままではなく、意図を加えた表現であることを改めて実感します。
機動力を手に入れたS-Line
優れた描写性能を誇るニコンのS-Line。これまでフルサイズ対応のS-Lineに、当レンズのような高倍率ズームレンズはありませんでした。機動力を手に入れたS-Lineはまさに「虎に翼」。純正へのこだわりがある方をはじめ、すべての方にとってどこへでも連れていける相棒としてふさわしい要素を兼ね備えています。また今回使用した『Z7II』のような高解像度のボディと組み合わせれば、気兼ねなくDXフォーマットを使用して180mm相当まで使うことができ、さらに死角がなくなると言えるでしょう。ぜひお手にとっていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff