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759: 伸ばした手の先にある光を掴め『Nikon NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S』

759: 伸ばした手の先にある光を掴め『Nikon NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S』

2022年04月22日

絞り:F11 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:100
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

遂に発売されたZマウントの超望遠単焦点『Nikon NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S』。スポーツなど動体撮影を主としたプロの撮影現場ではフラッグシップボディと並んで絶対的性能が求められるレンズカテゴリーですが、今までの800mmの常識を打ち破った画期的なレンズとして登場しました。まず圧倒的に軽く、小さく、そして今までの800mmと比べて一桁も違うロープライスであるという事。800mmといえば夢のレンズというイメージがあったのですが、「これなら手が届く」という方も多いのではないでしょうか。今回はその驚きに満ちた1本、『Nikon NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S』をご紹介いたします。

今回撮影をしたレースは国内最速の王座を懸けて熱いバトルが繰り広げられるフォーミュラレース国内最高峰のスーパーフォーミュラ。様々なカテゴリーの中でも驚くほどストレートスピードやコーナリングスピードが速く、モータースポーツ撮影の中でも難しいレースです。ただ切り口を変えてみれば、レンズ性能を確認するには絶好の被写体であるということです。フォーメーションラップを終え全ての車両がグリッドに着き、レッドシグナルが点灯。シグナルがブラックアウトし全車一斉にスタートします。今回の撮影ではお気に入りのコーナーにて待ち構えていたため、この光景は見ることができませんでしたが、エンジンサウンドが遠くから聞こえてくるだけでもワクワクします。普段、市販車ベースの競技車両である箱車ばかり撮っている筆者はコーナーへの進入速度が非常に速いフォーミュラマシンを撮影するのが苦手なのですが、まずは何も考えずに流し撮りをすることにしました。不安など吹き飛ぶほどフォーカスの食いつきが非常によくテンポよく撮影ができるではありませんか。この性能ならばストレスなく流し撮りが楽しめます。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:160
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

普段はあまり撮影をしないバックショット。理由は非常に簡単で、一度決めた場所からあまり動きたくないから。機材が重く様々なコーナーへ向かうのが大変だからです。ですが『NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S』はPFレンズを採用することにより、重量約2385gと望遠レンズでありながら小型軽量。2kgと聞くと「いやいや、重いな」と感じてしまうかもしれませんが、同じ焦点距離の『AF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VR』は約4590g。約半分ほどの重さであれば軽快に撮影が楽しめます。上記の写真はその軽さを活かして手持ちでの撮影になりますが、70-200mmのズームレンズを持っているかのような感覚で撮影が楽しめます。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:500
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

こちらの写真は決戦が始まる前の1カット。撮影したメインスタンドの座席からピットまでは距離がありますが、800mmという焦点距離のお陰で容易に撮影することが可能です。またズームレンズと比較して、非常に高画質かつ抜けの良い描写でドライバーやメカニックの表情などをしっかり確認することができます。

 

絞り:F18 / シャッタースピード:1/200秒 / ISO:100
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

こちらのカットは2枚目の撮影場所とほとんど変わらない位置から、1コーナーの立ち上がりを撮影しております。距離にすると400mm以上離れた場所を狙っています。超望遠レンズというと被写体にグッと寄って撮影しがちですが、このように離れた場所からマシンを狙うのも撮影していて楽しくなります。

 

絞り:F32 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:3200
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

今回組み合わせた「Nikon Z9」は秒間約20コマの連写が可能なニコンのフラッグシップ機。また高画素機であるにも関わらず、書き込みで詰まることもなくストレスフリーでシャッターを切り続けることができます。加えて『NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S』の高速で高精度なフォーカシングも作用し、はためくフラッグとコーナーを抜けて行くマシンを撮影することができました。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:125
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

そして最後はレース終了後のゼブラ(縁石)を撮影。 ブラックマークからもわかる通り、熱い戦いが繰り広げられたコース。フェンス越しに撮影しておりますが、さすがは単焦点レンズ。開放での撮影であればフェンスが写りこむことなく、しっかりと描写できています。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:160
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

続いて羽田空港近くで撮影した写真をご覧ください。空港内に入らなくとも、飛行ルートによってはかなり近くで機体を見ることができます。800mmで構えると近すぎてはみ出してしまうこともしばしば。どう切り取ると迫力があるか嬉しい悩みを抱えながら撮影していきます。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:110
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

遠くに駐機している機体の尾翼たちを、超望遠ならではの圧縮効果を使って表現します。飛行機の写真はいずれも手持ち撮影です。その軽さに驚くのはもちろんのこと、続けて撮影していても疲れることなくしっかりハンドリングできます。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:400
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

衝突防止灯を赤く光らせ、勇ましい面持ちで離陸する瞬間を切り取りました。熱風で尾ひれのように揺れる陽炎がなんともかっこいいです。この距離だと800mm単焦点がぴったりです。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:280
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

まるで親子のように並んで飛ぶ2つの機体。背景が空だけでなく東京ゲートブリッジも写っているのがポイントです。2機はおそらく同じ大きさでしょうから、かなり離れて飛んでいることがわかります。しかし超望遠の圧縮効果で大小の機体が寄り添って飛んでいるように見えるから面白いです。

 

絞り:F6.3 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:560
使用機材:Nikon Z9 + NIKKOR Z 800mm F6.3 VR S

 

白い月が出ていたので撮ってみました。何の気なしに手持ちでレンズを月に向けシャッターを切りましたが、あとでじっくり見てみるとクレーターまで精細に写し出せていました。さすがニコンの800mmといったところです。肉眼ではわからなかった青と白の天体の世界がひろがっています。

 

伸ばした手の先にある光を掴め

まず目で見てその小ささに驚愕し、そして手にしたときには軽さに驚かされました。開封時、その場にいたスタッフがみな同じ反応を示したのです。フルサイズ用800mmが大きく重いというのは過去の話になったのだと悟りました。今回の撮影でフォーミュラカーやジェット機にレンズを向けているとき、周囲のみなさんの「バズーカ」と思わず比べてしまいました。一回り小さいからと侮ることなかれ。それはむしろ長所で、長時間手持ち撮影ができて、それでいて描写も素晴らしいのですから申し分ありません。車、飛行機、スポーツ、野鳥など、手を伸ばした先にある光たちをぜひその手で掴み取ってください。おすすめのレンズです。

 

Photo by MAP CAMERA Staff

 


 

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