本日いよいよ発売日を迎えた『SIGMA Contemporary 16-28mm F2.8 DG DN』。メーカーが掲げる「高性能なコンパクトズーム」という言葉通り、16～28mmという超広角をカバーしながら開放F値は2.8通し。優れた光学設計を盛り込みながらその質量は僅か450gというから驚きです。また、ズームしても長さが変わることのないインナーズーム方式を採用しており、ズーミングによって撮影中にバランスが変わることがありません。写真撮影だけではなく、広角を効果的に活かしたい動画撮影の現場でも活躍が楽しみなレンズに仕上がっています。今回は「L-Mount」バージョンを『SIGMA fp』に装着して撮影を行いましたので、その写真を是非ご覧ください。

雨天の日が続き、なかなか撮影に出られないと悶々していました。わずかに晴れ間が見えるかもという天気予報を信じて訪れたのは神奈川県の逗子。雲は厚いですが時折青空も覗いています。風向きと相談しながら縫うように撮影を行いました。真一文字にどこまでも伸びる水平線に思いを馳せ、果てなく続く海を広角で贅沢に切り取っていきます。

Artラインと同等の光学性能を持つContemporaryラインのレンズ。どれだけ軽量でもその描写に曇りはありません。出航の時を待ちわびているかのように佇んでいる三隻のボートに惹かれ、その様子を収めました。締まった印象を受けたためカラーモードをモノクロにしてみたのですが、しっかりハマってくれたようです。エッジの効いた写りはまさしくSIGMA。

開放から非常にシャープネスの高い画を得ることが出来ます。潮風を受けて錆びていったのであろう鉄柵に、ググッと寄ってみました。縦と横が交差する部分にピントを合わせてみましたが、塗装のめくれ具合のディティールまで詳細に写っていながらその前後はなだらかにボケています。開放F2.8と大口径なことに加えて寄ることも出来るので、広角ズームながらボケ味を活かした撮影も楽しめそうです。

自然界にある色の不思議さにいつも感動を覚えます。茎は濃いピンク、花びらは薄いピンクというギャップに感心しながらレンズを向けました。マニュアルフォーカスでじっくりと先端にピントを合わせ、一枚。F8まで絞り込むことでしっかり解像してくれており、不思議な立体感のある一枚になりました。

せっかくなので『SIGMA fp』の代表的なカラーモードである「ティール&オレンジ」を設定して撮影してみました。このような錆びや風化など時代を感じる被写体によく合う色だなと常々思っています。やや逆光のシチュエーションも相まってノスタルジックな写りとなり、個人的にですが非常に「fpらしい」カットになってくれたと思います。

超広角に自由を。

普段、風景写真を撮ることが多く今までも沢山の広角レンズに触れてきました。広大な景色や圧倒されるような建造物など、見事な風景撮影にはそれにふさわしい大柄なレンズが必要であると思っていました。しかし今回『SIGMA Contemporary 16-28mm F2.8 DG DN L-Mount』を使っていて感じたのは、広角はもっと自由でいいのではないかという事です。このレンズなら荘厳な風景はもちろん、そうではない日常の一コマ、何気ない旅の記録、そんなことにも超広角の画作りをどんどん盛り込んでいけるなと感じたのです。どこまでも身軽に、自由に。相方に選んだ『SIGMA fp』というコンパクトなボディも功を奏して広角ズームへの印象が変わるような体験をすることが出来ました。撮影者に翼を授けるContemporaryライン。今後も続々と増えるであろうラインアップが非常に楽しみです。こちらのレンズも是非沢山の方にお試しいただきたいと思います。

Photo by MAP CAMERA Staff