シグマからArtラインの広角単焦点レンズ4本が登場しました。その中から『Art 20mm F1.4 DG DN』のLマウント版をご紹介します。シグマの公式サイトには「究極の星景レンズ、登場。」と記載されており、さらには「持てる技術を全投入、最高の光学性能を発揮する『星景レンズ』の新しい基準」、「『20mm F1.4』を切り拓いたSIGMAが提案する星景レンズの決定版。」と力強い言葉が続きます。星景撮影といえばレンズに必要とされる要素が多く、高い性能が求められます。そんな分野においてここまで断言するということは、よほど期待してよいということでしょう。大は小を兼ねるように、当然ほかの分野の撮影においても高い描写性能、ユーザビリティ、ビルドクオリティが約束されます。そんな当レンズを『Leica SL2-S』と組み合わせて街撮りしてきました。フォトプレビューをどうぞご覧ください。
ガラス張りのビルの吹き抜けを見上げます。天気がよかったので格子がクッキリとしていて存在感があり、そこから落ちる強い影はただの日常をドラマチックに彩っていました。確かに広角にありがちな嫌な歪みがなく、ピシッと直線が連なっています。
吹き抜けの下には車がありました。ボンネットのカーブに合わせて編み込んだような面白い模様ができていたところを写し取ります。
外に出てみると空を見上げて指をさす人が。実はたくさんのトンボが飛んでいたのです。広角レンズなので見づらいかもしれませんが、クリックして拡大するとトンボの羽まで精細に写し出されていることがわかります。季節は止まることなく移ろっています。
川では犬が人間と一緒に水遊び中。犬が走ると白い小波が立って見た目にも涼し気です。警報が出るような暑い日でも川を撫でる風はちょっぴり冷やされて、風通しのいい河原は屋根がなくても意外と過ごしやすかったです。
夕刻。ビルの隙間を縫って太陽の強い光が射し込んできます。そこへ駆け込んできた男性をシルエットで捉えます。傾く陽と、走るオフィスワーカー。なんだか見ているだけで自然と気が急いできます。
川のそばに面白い形のオブジェが数本立っていたので、対岸にあるビルと組み合わせて撮ってみました。実際はオブジェは垂直に立っていますしビルは巨大なので、広角ならではの仕上がりです。
持てる技術を”全投入”した珠玉の一本
印象をひとことで言うならば、余裕を感じるレンズです。広い景色を余すことなく広いまま撮れて、後で見返したときに嫌な歪みがなく、クリアでシャープな画質で無理なくありのまま写すことができます。開放F値にも余裕があるおかげで、撮影時に明るさについて我慢することもありませんし、これだけの広角なのにボケ味を楽しむことすらできます。今回は天候もよく撮影地も街中でしたが、レンズヒーターを適切に装着するための「レンズヒーターリテーナー」が採用されているなど、もっと過酷な状況においても頼りになる準備ができているのです。シグマの思想を会津工場で高いレベルで仕上げた珠玉の一本。ぜひお手にとっていただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff