854: 進化と個性『PENTAX HD FA 50mm F1.4 & FA 50mm F1.4 Classic』
2023年05月18日
ペンタックスからまたしても面白い製品が発表されました。1991年発売の絞り開放付近での独特の描写が味わえるレンズとして親しまれてきた『smc PENTAX-FA 50mm F1.4』をベースに開発した、異なる設計思想で描写の違いを愉しめる標準レンズ2本。虹色フレアが楽しめる『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』と最新の高性能マルチコーティング「HD コーティング」を採用した『PENTAX HD FA 50mm F1.4』の発表です。
『PENTAX‐FA 50mmF1.4 Classic』にはペンタックスレンズのデザインの特長である緑のレンズリングもあえて入れていません。フィルム一眼レフカメラ時代のレトロなデザインで当時このレンズを所持していたユーザーにとっても「懐かしい」の一言。一方で『PENTAX HD FA 50mm F1.4』には最新のDA、D FAレンズに合わせた見慣れたデザインになっています。撥水撥油効果が高く汚れを拭き取りやすいSP(Super Protect)コーティングはどちらにも採用されています。同じようで違う「個性」と「進化」の標準レンズ、比較も交えながら撮影に行ってきました。ぜひご覧ください。
『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』に付属されているレンズフィルター『LF-ND16 49mm』を使用して日中に開放絞りで撮影を行いました。50年以上前に設計されたオールドレンズで撮影したかのような描写が味わえるというのがコンセプトですが、ピントの柔らかさと背景ボケなどまさに「当時」のような描写に懐かしささえ覚えます。
虹色フレアが楽しめることが最大の特長という『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』。実際に逆光で撮影すると期待以上の綺麗な虹が出現しました。ほんの少し角度を変えるとフレアの出方が多彩に変化して面白かったです。『PENTAX HD FA 50mm F1.4』で撮影したカットとの比較を最後に載せていますので良ければぜひそちらもご覧ください。
「HD コーティング」を採用した『PENTAX HD FA 50mm F1.4』の開放絞りのカットですが、非常にシャープでヌケの良い描写で驚きました。
少し絞って使うと、より『PENTAX HD FA 50mm F1.4』の整った画を実感できます。もともと絞ることでキレのある画を見せてくれるレンズでしたが更に磨きがかかったように思います。
『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』と『PENTAX HD FA 50mm F1.4』の逆光の写りの比較をしてみました。とてもきれいに虹色フレアが出る『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』としっかりフレアを抑えた『PENTAX HD FA 50mm F1.4』の対比が面白い結果になりました。
次に『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』の開放絞りから段々に絞ってみたところ、絞るごとに一つ一つ明確な変化が起きました。絞りをF4以上に絞ることで、虹色フレアに加え通常のゴーストやフレアの発生を抑えたクリアな描写での撮影も可能ということです。
進化と個性
当時の『smc PENTAX-FA50mm F1.4』を所持していた私にとって今回の発表はとても衝撃的でした。実際にフォーカスリングを触ってみると当時を思い出して懐かしくなったり、APS-C機で使用していたので今回フルサイズ機で改めて使う機会に巡り合えて非常に嬉しくなりました。今回の特長の虹色フレアは逆光であれば接写でなくとも割とどんなシーンで撮っても発生するので、レンズとより親密になることで写真表現の一つとしてとても有用な特長になってくれると思います。比較してみて『PENTAX HD FA 50mm F1.4』の「HD コーティング」の効果もしっかり感じることが出来ました。
個性が炸裂する『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』と進化の『PENTAX HD FA 50mm F1.4』。どちらを選ぼうか悩んでしまうかもしれませんが、同じベースでも描写は全く違うレンズ。どちらも入手して描写の違いを楽しむのが正解というものかもしれません。今回は『PENTAX HD FA 50mm F1.4』をメインに紹介しましたが、また別の機会に『PENTAX FA 50mm F1.4 Classic』の紹介もしたいと思います。次々に面白い機材を出してくるペンタックス。次は何が出てくるのかを楽しみにしつつ、まずはこの2本をたっぷり楽しみましょう。
Photo by MAP CAMERA Staff