超広角レンズ『Canon EF11-24mm F4L USM』が世に登場したのは2015年。約8年半以上の時を経て、またしても「世界初」となる超広角ズームレンズ『Canon RF10-20mm F4 L IS STM』が発売されました。単焦点レンズとしてはフルサイズ対応の9mm,10mmも他社レンズに存在しますが「AF対応のフルサイズ対応ズームレンズ」としてはまさに世界初。広角の1mmの差には圧倒的な差があり、たとえば10mmと14mmのたった4mmの差で、写る範囲は約2倍変わるそうです。その貴重な1mmを広げただけでなく『EF11-24mm F4L USM』と比較して質量約1/2(レンズ単体)。約570g、全長約112mmの小型軽量化。非球面レンズ、スーパーUDレンズなど効果的に配置し同等以上の高画質も実現させているとのこと。
さらにキヤノン初「周辺協調制御」を搭載。レンズ単体でも5段分の手振れ補正効果がありますが、レンズ内ISとボディー内ISの協調制御で広角レンズ特有の周辺ブレを改善する機能も搭載されています。さらにさらにレンズフィルターを差し込めるホルダーをレンズ後部に装備。NDフィルターやカラーフィルターなど、ユーザーがカットした任意のゼラチンフィルターを挿入することが可能になりました。これ以上ないというほどにあらゆる点が進化した超広角ズーム『Canon RF10-20mm F4 L IS STM』。レンズ単体で持ったときの「軽い!」はきっと誰もが思うはず。かぶせ式キャップは外れてしまったりすることがあって多少注意が必要ですが、かさばりすぎなくてグッドです。それではフォトプレビューをご覧ください。
10mmの超広角で撮ってみたいものといったらやはり室内撮影。縦構図で奥行きを強調しました。船内などさらに限られた空間ではこの超広角が大活躍しそうです。既に足を運んだことのある場所へもまた改めて行ってみたくなりました。なにはともあれ、超広角スナップを楽しんでみます。
広角端でAFポイントが反応するギリギリまで寄ってみました。ディテールもしっかり出ているし10mmの超広角と寄りでここまで写るなんてさすがはLレンズ。本のタイトルもしっかり読み取ることが出来ます。見た感じではそんなに近くなくとも、実際にはかなり近くまで寄っています。机や物に当たらないように気を付けながらモニターで撮影しましたが、レンズ自体が小柄というのはこういう時にも良いです。
ズームの中間域でも一定以上の画質をキープしてくれます。逆光ではフレアゴーストも発生しますが、この画角のズームレンズでここまで抑えられているということのほうが驚きです。
1枚目でも沢山の樹がある場所で上を見上げる。というのはやっているのですが、縦構図でもご紹介させてください。周辺部スレスレの細枝まで滲まずブレずに写っていて凄いの一言。写真で見て上の方に陽があるので白くなって中央部で色が深くなって下に向かってまた明るくなっています。
今度はテレ端20mm最短撮影距離での撮影。最大撮影倍率は20mm時「0.12倍」になります。発色もいいしとてもシャープに写ります。20mmって本当は超広角域なのに10mmと使い分けていると、たまに「狭い」と感じてしまうから恐いです。このレンズを使ったあとの私の画角の感覚はどうなっているのでしょうか。まぁそんな個人的な不安はさておき。超広角ズームレンズを持ちながら、身近なものも撮影できるのがこのレンズの強みです。
10mmだとほぼ目の前にある被写体でさえ一定の距離感が発生します。もともと写真にとって一歩は構図を決めるうえで大きな意味を持ちますが、10mmにおいてはもはや別物になるといっても過言ではありません。一歩の調整どころか上体を少し反らすだけでも違いが出てきます。手振れ補正もばっちり効きます。
この画角でスナップを撮ろうと思うと、またしても発想の切り替えが必要になりそうですが、新しい扉が開けそうな気がします。膨大な情報量の中でどう主張を目立たせるのか、想像してみたらワクワクしてきませんか。外ガラスの色被りが床に反射していますがその色使いがとても綺麗だったのでご紹介させていただきました。
人口的な歪みのない直線を硬い質感とともにカッチリ描いてくれました。中心部の強めのハイライトのなだらからグレースケール。このレンズ、モノクロも良きです。使っていてだんだんと10mmの感覚が馴染んできたかなと思ってもまたイメージを越える画を見せつけてくるのがずるいです。
超広角のAF対応「ズーム」レンズであるということもこのレンズのアピールポイント。超広角は「10mmで撮りたい画」「11mmで撮りたい画」と1mmずつ劇的に画が変わるのでズームするだけで解決できる問題ではないかもしれませんが、どうしても入れたくない要素というのはどのシーンにもあってそんなときにその場で画角整理できるのはやはり便利です。
手振れ補正オフでカメラを固定してスローシャッターで撮影しました。三脚はなかったのでその場で固定できそうなところを探して撮ったのですが、こういう時にもレンズが大きくないことに救われました。見事な空のグラデーションと柵の間まで滲まず写すシャープな解像力。10mmの超広角だから出来る情報量の多さに撮影が楽しくなります。
世界がまた見違える
いざ超広角の世界を味わったあとに外観を改めて見ると、よくこのサイズに収めたなという驚きが増します。そしてさすがはLレンズ。10mmという超広角レンズでありながら画質においても非常に満足できる写りでした。『EF11-24mm F4L USM』がフード部分からぼこっと出ているのに比べて『Canon RF10-20mm F4 L IS STM』はフラットな形になっているので超広角レンズを携帯しているときの、何かの拍子でぶつかってしまうのではないかという不安も少なく、肩に掛けながらの移動も気楽です。年々、新しいレンズが増えていくと思うのですが、10mmスタートの超広角ズームレンズという存在は誰にとっても希少な存在だと思います。このレンズでしか見れない世界、もう見慣れた景色にまた新しい発見が見つかること間違いありません。手に入れるハードルは決して低くありませんが、そのハードルを飛び越えてぜひこの超広角の世界を体験してみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff