待ち望まれた新作。ミラーレス専用“Artズーム”「SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN」の最新モデルが約4年半ぶりにリニューアル。“Artズーム”のフラッグシップ、かつ大口径標準ズームレンズの決定版でありLマウントアライアンスのカメラを持つ全てのユーザーにとっての福音『SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II』がついに発表されました。レンズ構成枚数15群19枚(FLD6枚、SLD2枚、非球面レンズ5枚)と枚数は変わりませんが、薄型かつ高偏肉という難度の高い非球面レンズを5枚も使用し、ズーム全域において諸収差を徹底的に抑制し、画面周辺部まで安定して高い解像力を達成しているとのこと。それでいて進化した光学設計により全長を短縮化。体積比約7%、重量比約10%の小型軽量化により質量745gという携行性の高さも実現させています。AFアクチュエータにはリニアモーター HLA(High-response Linear Actuator)を採用し、従来機種に対し3倍以上の高速化を達成。防塵防滴構造・撥水防汚コートやズームロックスイッチ、絞りリングの追加などあらゆるシチュエーションでの撮影において快適かつベストな撮影を行えるように設計・配慮がされています。今回Lマウントでは「SIGMA fp L」「Leica SL2」「Panasonic LUMIX S5IIX」の3機種で撮影を行ってきました。まずファーストカットに等倍データをご用意いたしました。新緑の山々を精細に写し出す「fp L」との組み合わせによる圧倒的な解像力、ぜひクリックしてご覧ください。
SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II
+ SIGMA fp L
まずは「fp L」との組み合わせからご紹介いたします。テレ端で絞って撮影しました。岩肌のゴツゴツした感じや澄んだ水の色、画面隅までくっきり解像してくれています。今回EVFは付けずに「ラージハンドグリップ HG-21」を装着しての撮影です。小型軽量化のおかげでグリップがなくとも手持ちで十分に持てるバランスですが、グリップによりホールド感がグッと増すのでおススメです。ボディ・レンズに手振れ補正のない組み合わせになりますが、快適に撮影することが出来ました。
ワイド端開放絞りで撮影。樹木のピント面の解像力の高さもさることながら、背景の細かい枝に色にじみが出ていません。背景ボケにするにはかなり意地悪な部類だと思うのですが、とても良好に抑えられていると思います。
川沿いの遊歩道を歩いていたら突然現れたビーチパラソル。木漏れ日の景色を広角端で撮影しました。中間域にあるビーチパラソルにピントを合わせてみると、情報量の多い広角らしい画の中でも被写体の立体感もしっかり感じることが出来ました。
建物などの質感描写はどうなのか。拡大して見ても、モアレが発生していません。人工的、金属の冷たい質感や硬さがしっかりと伝わる描写です。
ガラスを隔てた先にあるバスケットにピントを合わせ撮影したところ、ガラスに映り込んだ景色をボケとして活かした画を撮ることが出来ました。開放絞りでも口径食が出るのは点光源がかなり四隅にある時だけです。AF+MFに対応しているのはもちろん、フォーカスリングがかなりじっくり動いてくれるのでマニュアルフォーカスもとても使いやすかったです。
SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II
+ Leica SL2
次は「LEICA SL2」との組み合わせをご紹介いたします。ボディに手振れ補正が内蔵されている、かつ高画素機であること。この組み合わせも理想的な組み合わせではないでしょうか。とっさのシャッターに対するレスポンスも良好でとても快適な使い心地でした。「レンズ光学補正」対応、もといレンズプロファイルがちゃんと組み込まれるのでJPEG撮って出しでの撮影が可能です。
少しズーミングして撮影。煉瓦の質感、自転車の金属部分の質感。それぞれの特徴をとても正確に写し出してくれました。彩度はしっかりあるのに赤の発色もキツい印象がありません。
ビルに反射した光がコンクリートの地面に反射していた光景を24mmで全体的に写しました。クローズアップもスケール感のある画も一本で撮れるという万能感と安心感。これ一本だけあればほとんどの撮影シーンをこなせます。
30mmくらいの焦点距離での遠景の描写を見てみます。岩を立体的に写すだけでなく、しっかりと岩肌のディテールを精細に描いてくれました。
標準域で絞り込んで撮影しました。手前側からぼやけることなくハッキリと写ります。どの画角においても安定した写り。まさにフラッグシップの名にふさわしい描写力です。
SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II
+ Panasnoic LUMIX S5IIX
最後は「Panasonic LUMIX S5IIX」との組み合わせです。他2機種に比べると画素数に違いこそありますが、ボディ内手ブレ補正や高速のAF性能やタッチパネルによる操作、高感度耐性などオールシーンでのレスポンスの早い撮影を求められる場合など、撮影者の用途によっては最適解な組み合わせだと思います。ガラス越しのマネキンを撮影しました。ガラスが曲面になっているところから撮っているので反射するビルや背景のマネキンの顔が伸びています。こういう時はなるべくガラスの影響が出ないようにまっすぐ撮ろうとするはずですが、曲面になっていたことに気付いたのは撮影した後の今です。つまりそれくらい違和感を感じずに撮ることが出来たということ。マネキンがしっかり浮き立っていますし、解像感も申し分ありません。
テレ端開放でバラに近づき葉を撮影しました。もちろん花も撮りましたが、それ以上にこの距離間で葉脈をしっかりと描ききる解像力に興味が引かれました。
「夕陽が射し込む一角を走る自転車の影が伸びたタイミングを狙ってシャッターを切りました」と言えば恰好もつくのですが、実際には数枚シャッターを切った中からピックアップしました。ただ、レンズのオートフォーカスのレスポンスの良さを実感できた時間でした。もちろん同じことは他のカメラでも可能ですが、よりシビアに、瞬間的にフォーカスポイントを移動させて撮影したいという限定をするのであれば「LUMIX S5IIX」に軍配が上がりそうです。
夕暮れの空を映した全面ガラス張りのビル。光を反射したガラスの光沢感をしっかりと描写してくれました。この時間帯は刻一刻とかわる空の色を楽しむものとばかり思っていましたが、視点を変えればこんな景色が見えるのだという発見をすることが出来ました。
オレンジ、淡いピンク、ブルーへと空の色が変わっていきます。「Art 24-70mm F2.8 DG DN II」のグラデーションカラーの繋げ方がとても素晴らしく感じました。周辺減光がほぼないため、ただただ空の色の変化を楽しむことが出来ます。
全てにおいて満足できる標準ズームレンズ
このレンズのどこがダメなのかを考えるほうが難しい、と思うほどに全てにおいて満足できるズームレンズでした。同時発売のソニーEマウントで、接写時や絞ったときのボケ具合などを紹介しています。良ければぜひこちら「933:至高の標準ズームレンズ『SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II E-Mount』」も併せてご覧ください。全面的な進化を遂げた「SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II」はまさに至高の標準ズームレンズ。全てのユーザーに推して間違いなしの一本です。ぜひ最高の体験を。
Photo by MAP CAMERA Staff