

リコーより発売されるハイエンドコンパクトデジタルカメラ「GR」シリーズの最新モデル『 RICOH GR IV 』のフォトプレビューをご紹介いたします。新型のイメージセンサーや画像処理エンジン、新レンズなどデジタルカメラのメインとなる要素が一新され、GR史上最速の約0.6秒の起動時間を実現。瞬間を切り取るスナップシューターとしての正統進化を遂げました。[シネマ調(イエロー)][シネマ調(グリーン)]を加えた14種のイメージコントロール、選べる新オートホワイトバランス。新型の液晶ディスプレイに53GBの内蔵メモリーと大容量バッテリーを搭載しました。これだけ性能を高めながらも、ボディは小型化と薄型化を実現した『 GR IV 』。またひとつ理想に近づいたスナップシューターはどんな風に世界を切り取ってくれるのか、早速撮影に行ってきました。ぜひご覧ください。
浅草・雷門の真下。多くの観光客が行き交う中、大提灯の底に施された龍の彫刻にレンズを向けました。周りの邪魔にならないよう、カメラを片手にノールックで何枚かシャッターを切ったのですが、しっかりと合焦してくれました。龍の鱗や髭の一本一本までを捉える解像力。新開発のGRレンズは最終レンズに大型の高精度ガラスモールド非球面レンズを追加しシャープネスをさらに向上。そして深みのある木の色と、鮮やかな朱色の「色のノリ」も見事です。

イメージセンサー前面のUV・IRカットフィルターを新規に開発。特に長波長側の透過率を高めることでR画素への入射光量を増やし、色再現性の向上を実現したとのこと。この色を見れば納得の一言です。

露出2段分のNDフィルターが内蔵されているので日中でもスローシャッターを楽しむことが出来ます。そして従来モノトーンでしか設定できなかった粒状感を[フィルム調][シネマ調]でも設定できるようになりました。粒状の大きさも調整可能です。

そして約0.6秒とさらに進化した高速起動は、カメラを持ちつつ電源ボタンを押し、撮りたい被写体に向けてシャッターを切る、という動作に淀みがありません。シャッターボタンを一気押しすることで、あらかじめ設定した距離に瞬時にフォーカスを移動できる[フルプレススナップ]機能や、設定したスナップ撮影距離と被写界深度で撮影できる[Snモード](スナップ撮影距離優先AE)で、撮影者にとって使いやすいGRにカスタマイズすることも出来ます。

最初は1秒のシャッタースピードで切ったのですが、誰もいなくなってしまったのが寂しかったので、シャッタースピードをわずかに早めて、残像が残るようにしました。大きなカメラだと、まずこの画を撮ることにエネルギーを消費してしまうところ、「GR」は手軽に撮ることが出来ます。この気軽さも「GR」の良いところです。

液晶モニターのタッチ操作でAF枠の移動やメニュー操作ができます。07のナンバーにピントを合わせておきたかったので、タッチパネルで設定して撮影しました。また、他にも再生時はピンチイン/アウトで拡大率を変更したり、フリック操作で前後の画像を確認したり、撮影時は、ダブルタップでAF枠を画像の中心に戻すことが可能です。

スポットライトを浴びたかのように、光が当たる部分の木の質感は驚くほどリアルに。そして、そこから闇へと溶けていくシャドウの沈み込みは、まさに完璧の一言です。映画の“ルック”をイメージした重厚な印象の「シネマ調(イエロー)」との相性が最高でした。

レンズ3本の画角を使い分けるクロップモードとマクロモード。マクロモードはマクロボタンを、クロップモードはfnボタンを押せばすぐに切り替えることが出来ます。クロワッサンを35mmにクロップしてマクロモードで撮影しました。カメラが小さいのでテーブルフォトも快適に撮れます。

頑張れば流し撮りも撮ることが出来ます。今回は流し撮りやスローシャッターなど試行錯誤が多かったのでシャッター回数がいつもより多くなりました。バッテリーの容量が増え持ちが良くなったことと、USB-Cで給電できることがとても助かりました。ただ給電しながらの撮影は人によってはケーブルが邪魔に感じるかもしれないので、予備バッテリーをひとつ持っておくのもおすすめです。筆者は移動中に給電する形でバッテリー1つで1日中撮影することが出来ました。

「GR」を使いこなすスナップシューターの偉人たちへの憧れでしょうか。「GR」を持つと普段とは違う視点で写真が撮りたくなります。見慣れた街が、本当にただ「見慣れてしまっていただけ」なのだと改めて気付かされます。

そして「GR」を使っているとモノクロームで撮りたくなる誘惑に駆られます。そんなユーザーが多いのかモノクロームの種類も豊富なのですが、個人的にはこの「ハードモノトーン」がお気に入りです。粒状感を足すかどうか迷いましたが、足さなくても程よい仕上がりです。

最後に2秒間のスローシャッターを手持ちで試してみました。体感的には1秒のスローシャッターはとても楽に撮れたためチャレンジしてみましたが、風がある中でもかなり綺麗に止めることが出来たのではないかと思います。1日中、様々な表現方法でスナップできるカメラです。
理想を形にしたスナップシューター
画質に関するすべての要素が進化し、スナップシューターとしての素質が磨かれた『 RICOH GR IV 』は間違いなく正統進化を遂げた一台です。さらに早くなった起動時間や[フルプレススナップ]機能が撮影者の撮りたい瞬間を逃しません。瞬間的に撮りたくなったときもスローシャッターが切れるのも個人的には非常に助かりました。「GR」らしさはそのままに、今まで「GR」では撮れなかった瞬間も撮れるように。ぜひこの進化を体験してみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff