パナソニックの「F1.8単焦点シリーズ」の4本目がついに登場です。同シリーズは描写性能・サイズ・操作性などが統一された焦点距離の異なる4本のラインアップで、これまで24mm、50mm、85mmがリリースされていました。今回登場した35mmは、人間の視野角に近い使いやすい焦点距離です。自然な描写はもちろん得意ですが、なにを強調するかによって広角レンズっぽくも標準レンズっぽくも撮ることができる「いいとこ取りレンズ」とも言えます。大口径を活かした大きなボケ味、暗所での撮影でも活躍するでしょう。今回は「晩秋の里山での暮らし」をテーマに当レンズで撮影してきました。ぜひご覧ください。
人が住んでいない古民家を生垣の外から覗くと、風通しのよい昔ながらの家ですから視線もよく通ります。視線の先には素敵な番傘が飾られていました。
玄関には2足の下駄。格子戸と太陽が美しく影を描きます。冬至も近いこの時期は日中でも太陽が低いので、このように影が長くなります。今の季節が表現された一枚です。
機織りをしている女性に「何ができるのですか」と声をかけます。そこまで長くない布を織っていると教えてくれました。「これが着物用の反物だと何メートルも織らなければならなくて大変なの」と朗らかに笑います。
嗅いだことのない独特の匂いが風に乗って筆者の鼻に届きました。誘われるように匂いのする方へ行ってみると、掘られた床が藍染めの液で満たされています。絵具を溶いた水とは異なる艶のある液体で、どこか宝石のよう。外には個性的な柄が染められた手ぬぐいが風で揺れていました。
大根が並んでぶら下がっていました。先日スーパーで大根を買い、自宅のキッチンで常温保存していたら傷んでしまいました。このように風に当てておけば長持ちするという先人の知恵にただ感心します。
太陽が低い時期ですが、陽が落ちる直前には光がより斜めになり、強く当たった場所は輝いて見えます。落ち葉すらもドラマチック。その様子を地面すれすれまでカメラを下げて撮影しました。
人の目に馴染む一本
取り回しのよさが魅力の「F1.8単焦点シリーズ」で予告されていた最後の一本です。シリーズを通して共通する魅力は、自然な描写。中でもこの35mmは人間にとってナチュラルな画角なので、より自然さを強く感じました。スナップショットから風景、ポートレートまで、見たままをまっすぐに切り取れます。開放F値1.8というのも作品や撮影シチュエーションの幅を広げてくれます。人の目に馴染むこの一本。ぜひお手に取っていただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff