

本日はF1.4 L VCMシリーズ、5本目となる『 Canon RF85mm F1.4 L VCM 』のフォトプレビューをご紹介いたします。長さ約99.3mm、共通外装、同じ操作性を実現したレンズシリーズから、ついに中望遠レンズが登場しました。大口径中望遠レンズでありながら最大径76.5mmのスリムなコンパクトサイズ。なんと「EF85mm F1.4L IS USM」と比較すると約300gと大幅に軽量化されています。最短撮影距離も短くなり、0.75m/最大撮影倍率0.12倍の近接撮影が可能となりました。ブリージングの少なさ、シリーズ共通の「アイリスリング」などスチルと動画を撮るクリエイターのためにつくられたRFハイブリッドレンズ。「Canon EOS R5 Mark II」に装着して撮影してまいりました。ぜひご覧ください。

デュアルピクセルIntelligent AFや、デュアルピクセルCMOS AF II搭載の「Canon EOS R5 Mark II」などの組み合わせで高速・高精度なAFを実現しています。花壇に咲く花のなかから一本飛び出た花にフォーカスしましたが一回でスッとピントが合ってくれました。ピント面はもちろん前後のボケになっている花までしっかり色が乗っています。

赤い花が奥まで続く道。そのちょうど中間域にある星を狙って撮影。背景にも赤い花があてごちゃごちゃしたシチュエーションでも、正確に捉えてくれます。

F4の奥行きとボケ感。開放絞りから少しずつ絞っていってボケ量をコントロールしていきます。ピントを合わせたグラスの厚みが程よく写るように調整しながら、前後ボケ量のバランスもイメージ通りに撮ることが出来ました。

ほぼ最短撮影距離での撮影。手前のオレンジ色の花が、主役のピンク色を彩る前ボケになってくれました。こういう時に前ボケが綺麗に出ないと、画として成り立たなくなってしまいます。これだけ綺麗にボケてくれるなら、積極的に使っていけます。

障子紙を透過する柔らかい光に階調の豊かさを感じます。花器の艶やかな質感も見事です。こういう光は白飛びしてしまうことは避けたくて、RAW現像を前提にしてアンダーな露出で撮ることが多いので、その場の設定だけで撮りきれたことが驚きでした。

照明中央の赤い房飾り。少し絞ってみると組紐の複雑な結び目もシャープに描き出してくれました。背景ボケも滑らかで、立体感と奥行きもしっかり感じることが出来ます。1つ前ののカットでも感じましたが、ハイライトがよく粘ってくれます。

さらにもう1絞りしてカボチャを撮影。それぞれの持つ鮮やかで深みのある色や、硬質なヘタや表面の凹凸素材の質感を忠実に描いてくれました。

すっきりしない天気に日暮れが近づいてきたことが重なり、かなりフラットな光に。そんなシチュエーションでもドレスの模様やブーケの網目までしっかりと解像してくれました。

F1.4の明るさがあれば、夜でもいたずらに感度を上げることなく撮影可能です。風鈴に見立てたカプセルのなかで電球が光っていて、半透明な素材感によって光が拡散して、幻想的な雰囲気に。少し重なりあうように配置していますが、シャープなピント面と前後の豊かなボケで素晴らしい立体感を演出できました。

背景にたくさんのランタンがあるなかでもこれだけのボケてくれるのは素晴らしいの一言。このボケ味を活かした写真をたくさん撮ってみていただきたいです。
VCMシリーズ待望の中望遠
F1.4 L VCMシリーズ共通で感じる一番の魅力は高い解像力と色乗りの良さ。この条件でこんなに色が出るの?と驚いたのは数回ではありません。大口径中望遠レンズながらVCM(ボイスコイルモーター)によるオートフォーカスも非常に早く、近接撮影時や暗くなってきてからの撮影でもスムーズにピントが合っていきます。また中望遠ながら、F1.4 L VCMシリーズ共通で手振れ補正は非搭載となっていますが、ボディの手ブレ補正だけで問題なく撮影することが出来ました。シリーズを揃えるのが効果的ですが、この1本だけでも十分にF1.4 L VCMシリーズの魅力を感じることが出来るレンズになっています。シャープな写りと豊かなボケを楽しめる『 Canon RF85mm F1.4 L VCM 』。ぜひ使ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff