ニコンZシステムの登場から約3年。高性能なF2.8通しズームや、F0.95をフラッグシップに置く単焦点レンズなど、20本近い充実したレンズラインアップへ成長しました。そして今回新たに加わったのが小型軽量な単焦点レンズ『Nikon NIKKOR Z 40mm F2』です。
40mmというスナップに最適な画角と、開放から安心して使用できるF2始まりの本レンズ。面白いのはそのレンズ構成です。非球面レンズを2枚採用した4群6枚の変形ガウスタイプなのですが、注目するのは一番後ろの大きな非球面レンズ。マウント内ギリギリと思えるほど大きな後玉は大口径マウント優位性を唱えるZマウントらしい設計であり、前に登場した『NIKKOR Z MC 105mm F2.8 VR S』にも共通する思想なのではないかと思いました。
全メーカーの中でも最高峰のコストパフォーマンスだと感じた今回の『Nikon NIKKOR Z 40mm F2』。ぜひその写りをお楽しみください。
おそらくエントリーユーザーからベテランまで幅広いターゲットを狙って作られたのであろう本レンズ。今回はカッチリしたスナップから、光の柔らかさを感じるような様々な撮り方で臨みました。秋を象徴するコスモスの花をあおり気味で撮影した一枚。開放絞りらしいボケ味と柔らかさが写真を包み込みます。
続いてはしっかりと構図を決め、カーブしてきたアウディを狙ってのスナップ。冒頭の写真もそうですがF5.6まで絞るとシャープネスが増すだけでなく、解像しつつも浮かび上がるような独特の立体感が出てくるように感じます。
「ミューリーグラス」と呼ばれる植物をふんわりとした雰囲気の写真に。ピンク色の細い穂がとても綺麗です。このような雰囲気や空気感優先の撮り方も◎。使い方次第でどんな風にでも撮れるレンズといった印象です。
昼食時に撮ったテーブルフォト。最短撮影距離は0.29mなのでマクロのような撮り方はできませんが、普段の撮影で不自由を感じることはないと思います。
昼食を終えて外に出ると、空は雨模様。この状況だから撮れる写真をと思い、濡れたウッドデッキの写り込みを利用してスナップしました。約170gの軽量レンズなのでローアングルでもハイアングルでも自由自在に振り回せます。
最後は夜の中華街にて。レンズ自体に手振れ補正機構(VR)は搭載していないのですが、レンズがコンパクトなのでボディ内の手振れ補正だけでも十分に低速シャッターが切れます。そしてこの光量でもこの解像力。さすがニッコールレンズと言ったところです。
定番こそ、最高の写りを。
正直、想像以上と感じた『Nikon NIKKOR Z 40mm F2』の描写力。様々なシチュエーションの撮影で十分過ぎる性能と汎用性を見せてくれました。同じような価格帯のレンズだと周辺に何からの弱点を感じるのですが、本レンズは開放から四隅の甘さを感じさせない高画質。光学メーカーらしいものづくりと言いましょうか、コストなど厳しい制約の中で最高のパフォーマンスを実現させてきたと思います。
誰しもが使うことのできるレンズこそ、誰しもがいい写真を撮れるものでなくてはならない。『Nikon NIKKOR Z 40mm F2』からは描写力の素晴らしさと共にメーカーの粋な生真面目さを感じました。全てのZマウントユーザーにおすすめしたい最高の常用レンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff