パナソニックのLUMIX Sシリーズレンズは、表現者の想像を超える「質感描写」を得意としています。S PROレンズとSレンズの2つのラインがあり、今回はSレンズのひとつである『Panasonic LUMIX S 85mm F1.8』をご紹介します。Sレンズは高い光学性能のほか機動性などの使いやすさが考慮されているのが特長です。当レンズは開放F値1.8という大口径でありながら約355gと軽いので、持ち出す機会を得やすいでしょう。防塵・防滴のほかマイナス10℃の耐低温にまで対応しており、さまざまな面において撮影に集中できそうです。そんな当レンズを『Panasonic LUMIX DC-S5』に装着して、雨の街を歩きながら撮影してきました。ぜひご覧ください。
鳩とバチッと目が合いました。雨に濡れながらベンチに座っていたところ、背もたれのすぐ後ろにある手すりを鳩が歩いてきて、ちょうど目の高さが揃ったのです。「そこにいられると通れないんだけど。」そんな威圧感のある視線を投げかけられて、すごすごと立ち去ることにしました。
チョコレートでできたパンプス。しなやかな曲線を描くリボンとバラが添えられています。カッチリとした型で作られた靴に対し、リボンとバラは繊細な手作業で立体的に表現されています。うやうやしくガラスドームに入れられていることで、それが特別なチョコレートであることが伝わってきます。
紫色の壁に4つの丸い窓があり、向こう側が透けて見えます。しかし今回はガラスに反射したライトにピントを合わせました。美しいボケとそこに浮かび上がるカラフルな細いラインのコントラストが魅力的です。
裏路地の秘密めいたカフェに入ろうとしたところ、残念ながら”CLOSED”の板が出ていました。ドアの手前に置かれたトムソンのような背もたれの椅子が目に入ります。トムソン椅子は3本の木がはまった背もたれを持ち、ピアノを弾く人にはお馴染みのデザイン。2本や4本のものは見かけず、このように3本であることが定番なのです。
街中にはいろいろな文字が溢れていますが、突然アーティスティックにメッセージを投げかけられるとハッとします。日本語の部分は壁が削られていて、ドイツ語パートはネオン管になっており、それぞれが立体的に影を作り出しています。
瓶の中でゆっくりと揺れるベタ。頭を下げたことでヒレが広がり、逆光で透けている様が美しかったです。鎧のようなウロコは松ぼっくりを想起させ、まるでほの暗い中で月明りを受け光る植物のよう。
“撮ること”に夢中になれる中望遠
さまざまなシーンにおいて撮影に夢中になれるというのが、当レンズの一番の魅力です。雨やホコリの中、あるいは低温といったシチュエーションでも、気を遣うことなく挑むことができるのです。開放F値1.8という明るさもその要素のひとつであり、暗い場所での撮影や大きく美しいボケ味を求めたいときにも威力を発揮します。またピントが合った箇所の緻密な描写と、うっとりするようなボケ味の上品さに惹かれました。今回は叶いませんでしたが、次はポートレート撮影で使いたいです。パナソニックのSレンズのコンセプトをまさに体現する1本です。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff