シグマの“Art”シリーズのラインアップに「Art 28-105mm F2.8 DG DN」が加わることが発表されました。2024年9月10日予約開始、同26日発売となります。マウントは「ソニーE用/フルサイズ対応」と「ライカSL/TL用」の2種展開です。今回はEマウント用をご紹介します。
F2.8通しの標準ズームレンズというと70mmまでのものが多いのですが、本レンズは105mmまでとなっています。いままで手を伸ばしても触れられなかった「その先」に届く、いわば一歩先を行くレンズです。大口径FLDガラスやSLDガラス、非球面レンズ5枚を採用し、ズーム全域で優れた光学性能を発揮します。フレアやゴーストが発生しにくい設計のうえに、さらにナノポーラスコーティングやスーパーマルチレイヤーコートを施すことで極限まで高画質にこだわっているのが特長です。搭載されている絞りリングには、絞りリングクリックスイッチ、絞りリングロックスイッチも備わっており、意のままに描写を操れますから、クリエイティブな作品を楽しみたい方にピッタリと言えるでしょう。そして防塵防滴やスイッチ類など機能を詰め込んでいるにもかかわらず重量は1kgと抑えられているおかげで、高い機動力を手に入れることができます。
今回は本レンズに「SONY α7RV」と組み合わせて撮影してきました。その写りをどうぞご覧ください。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
赤と黒の世界という印象的な光景。日中ですが木が太陽の光を遮り、黒い影を落としていました。しっかり陽があたっているわけではない状況でも「Art 28-105mm F2.8 DG DN」の描写は美しく、たくさんの直線も自然です。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
窓際に向けて撮った一枚。布の質感がありありと伝わってきてハッとしました。そこで等倍で見てみると、その織り目のわずかな凸凹に光が当たったり影ができたりしているのが繊細に写っていたのです。さすがシグマの”Art”ラインの描写力です。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
今度は硬い質感のキラキラしたボールが目に留まりました。丸く加工された金属の板にはたくさんのスリットが入っていて、触れたわけではないもののその切れ目が鋭利なのではと想像します。スリットの鋭さや反射する周囲の景色の映り込みがやはり質感を如実に表しているのです。まっすぐ伸びる周囲の電飾や柱も素直な表現で気持ちがいいです。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
水滴がたっぷりとついた窓。向こう側がよく見えず、創造力を掻き立てられます。ふと等倍で見てみると水滴がひとつひとつ粒立っており、流れ落ちたラインとあわせて美しい模様を創り出しています。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
アミメグサの一種でしょうか。有機物ですが同じような模様がパターンとして繰り返され、それでいてひとつとして同じではないのですから芸術性を感じます。こう見るとボケのグラデーションが美しいことがわかります。また表面に光が反射しているのも見たままに写すことができています。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
望遠端105mm、最短撮影距離40cmで撮影した一枚。本レンズはマクロの名こそ冠していませんが、このように望遠マクロのような撮り方もできます。本レンズは105mmまで伸ばすことができるからこそ、撮影の幅が広くなるのです。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
合焦している花の部分が背景から浮き出て見えます。まさにとろけるようなボケ味で丸ボケも綺麗ですので、そのあたりにこだわりを持つ方にも納得してもらえる描写でしょう。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
薄暗くなってきた午後の光。そんな中でも樹の幹の解像感が素晴らしいです。表面に生えている苔や小さな芽もしっかりと写し出されています。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
クリックして拡大していただくと、まるで雫を捕まえているかのような葉の先が見て取れます。クリスタルボールのようになったその中には景色が映り込み、さらにはたくさんの丸ボケがファンタジックです。背景を緑色のボケでまとめたこともありどこか非現実的です。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
斜めの光が差し込む時間。ちょうど画面中央部に陽が綺麗に当たっていて、得も言われぬ立体感があります。都会の森の生き生きとした様に惹かれてシャッターを切りました。左奥のボートはシルエット、手前のボートは蛍光色のライフジャケット、そしてよく見ると木の下にもボートが一隻あるという対比も面白い光景でした。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
夏が終わって秋に向かう季節を感じられる雲の形。広角端で絞って撮影しました。28mmならではの空の広さ、そして“Art”レンズならではの雲の立体感とブルーの綺麗さに見惚れます。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 28-105mm F2.8 DG DN
金属、木、コンクリート、ガラスなどたくさんの素材が写っている中に、家路につく人々の姿もあります。一日で最も感動的な色合いに空が染まる時に帰れるのは、なんだかその日一日がんばったご褒美なのではないかと思えてきます。
撮影へのこだわりが“その先”まで届く。
こんな世界があったのか、と心躍る気持ちにさせてくれました。これができないと感じた場面はなく、思うまま快適に撮影できました。105mmまでというのは確かに便利ですがそれだけではなくて、全てに妥協がない光学性能であることが最大の魅力でした。それがいかにもシグマのものづくりらしいのです。ぜひお手に取っていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff