935:使い勝手の良さが魅力的『SONY FE 16-25mm F2.8 G』
2024年05月19日
先日発売された「FE 24-50mm F2.8 G」に続くコンパクトな超広角ズームレンズ「FE 16-25mm F2.8 G」が発売されました。F2.8通しで超広角域をカバーしながら約409gという軽さと最大径74.8mm×長さ91.4mmのコンパクトさを実現しています。エンジニアリングプラスチックを効果的に使用することで耐久性も高めているとのこと。ED(特殊低分散)ガラス3枚、ED非球面レンズ1枚を含む非球面レンズ4枚を効果的に配置し、色収差など諸収差を低減。フレア、ゴースト、色のにじみを効果的に抑えつつズーム全域で高精細な描写をするということです。「FE 24-50mm F2.8 G」で既に写りの良さは実証済み。今回は「α7C II」と組み合わせて自撮りやvlogでも活躍しそうな超広角ズームレンズでさっそく撮影してきました。
船体に積まれた荷も細かな部分まで描写してくれています。テレ端とはいえ25mm。ボケが出ているわけではありませんが船の立体感がしっかりとあります。細いワイヤーロープが無数に写っていますがパープルフリンジの発生もほぼ見受けられません。テレ端開放絞りでの撮影です。
次は広角側で絞って撮影をしました。この日は風が強く、白い雲はシャッターを切るたびに違う景色を見せてくれました。超広角域ならではの視界が開ける感覚はとても気持ちが良く、自然とシャッターを切りたくなります。画面中央に収束していくように引かれた壁のラインは歪むことなくすっきりと伸びています。
強風でゆらゆらと揺れ続けるハイビスカスを高速シャッターで撮影。全方位に揺れるハイビスカスを20枚ほど撮りましたが、最適化された2基のリニアモーターによるオートフォーカスは、的確に、素早く捉えてくれました。本レンズはα9IIIの最高約120コマ/秒の高速連写にも対応するトラッキング性能も有しています。
最短撮影距離はオートフォーカス時18cm-24cmでマニュアルフォーカス時には17cm-22cmとなっています。広角端の近接撮影でも塗装の剥がれや錆びの色付ききなどもリアルに表現されており、申し分ない解像力です。
晴れから一転、かなり強めの雨が降る中での撮影となりました。透明なビニール傘でカメラが雨に濡れないようにして片手での撮影です。ISO感度はあまり上げず、シャッタースピードが低速になりましたが軽量な組み合わせのおかげでブレずに撮影することができました。濡れた樹の質感を忠実に描写してくれています。
広角端開放絞りでの撮影。この光量の乏しいシビアな条件下でも周辺減光がほぼ出ません。絞ったときはもちろん、開放絞りでも様々ななシチュエーションで安心して撮影ができそうです。
ズーム域の中間あたりで雨に濡れたバラを撮影しました。接写時にはフードの影が写りこんでしまうくらい寄れるので外しておくのがオススメです。寄れ過ぎてどこかの水滴がレンズに当たってしまいそうなので今回はフードを付けたままでの撮影としました。
広角端の開放絞りで少し寄ったときのボケ感を見てみました。キリッとしたピント面からなだらかにボケていきます。ザワつくこともない柔らかいボケで、立体感と奥行きを表現してくれました。細かい木目やキズもしっかり解像してくれています。
テレ端でグラスのふちにピントを合わせ撮影しました。マニュアルフォーカス時の繊細なリング操作にもレスポンスよく反応する「リニア・レスポンスMF」を採用しているおかげで緻密なピント合わせが可能です。AF/MFの切り替えスイッチのポジションも実に良く考えられていて、一度慣れてしまえばとてもスムーズに切り換えができます。コンパクトなレンズでありながらマニュアルフォーカスの操作面まで配慮が行き届いていて頼もしい限りです。
葉の緑の重厚感色と暗闇に浮かび上がるようなピント面の立体感、重厚感のあるクラシックな画が撮れました。質感の異なる二つの被写体のそれぞれの特性を忠実に再現する描写力。Gレンズの高い描写性能を改めて実感しました。
使い勝手の良さが魅力的
撮影の大半が雨天だったため屋外では片手でビニール傘を差しながら撮影を行っていたのですが、もう片手でダイヤル操作を行いながら撮影を続けられる軽さとコンパクトさにとても助けられました。大きいレンズだと雨で濡れてしまうのが地味にストレスだったりするのですが、チャックをしめたレインコートの内側にカメラを隠しながら移動できるサイズのおかげでそういうストレスからも解放されました。雨の日の撮影にはこういうコンパクトなシステムが最適であることを改めて考えさせられました。
写真・動画どちらにおいてもこのコンパクトさはあらゆるシーンでメリットとなると思います。同じサイズ感で使える「FE 24-50mm F2.8 G」と組み合わせれば最小限のコストで撮影をできるのも非常に魅力的。16mmという超広角はスナップにおいても「気持ちのいい」体験ができる画角であり、25mmは日常のシーンをピックするのに十分な画角です。新定義となるズームレンズですが、一度使うとその手軽さが手離せなくなるはず。超広角をより身近な存在にしてくれた本レンズ。ぜひ一度お手に取ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff