

SONY フルサイズ用Gレンズ単焦点のラインナップの中でも最も広角となる『SONY FE 16mm F1.8 G』が発売されました。フルサイズ用GレンズとしてはスーパーED(Extra-low Dispersion)ガラスを初めて採用、他にも高度非球面AA(Advanced Aspherical)レンズなどの効果的な配置により、画面中心から周辺部分まで高い解像性能を実現しているとのことです。最大径73.8mm、長さ75mm、質量約304gのコンパクトさで、超広角レンズながらφ67mmの偏光フィルターやNDフィルターをレンズ前側に装着することが可能となっています。「ブリージング補正機能」や「アクティブモード」にも対応し動画撮影時のジンバル装着時もバランスをとりやすく、「リニア・レスポンスMF」による精緻なピント合わせも可能とのことで写真・動画どちらにおいても活躍が期待されます。今回はコンパクトな「α7CII」と合わせて撮影を行ってきました。ぜひご覧ください。

ようやく桜が咲くかと思ったら桜流しの雨。ガラスに桜の花びらが張り付いていたので撮影しました。

平らな場所にカメラを置いたとき(フード装着)、出っ張る箇所がなく真正面を見つめることが出来ます。固定してスローシャッターを切るのが目的だったのですが、ふと気づくと気持ちのいい直線が生まれていることに気づきました。この天井は両壁までしかないのですが、ガラスに反射したことでまるで横一文字に繋がっているように見えていた、というちょっとした発見です。どの線も歪みがなくキレイです。

一日中、雨か曇り予報の中でひと時だけ現れた晴れ間。16mmの画角のおかげで青空の色を反射させる高層ビルの両脇に桜を添えることが出来ました。こう見るととても近い位置にいるような錯覚を起こしますが、この画を成立させることが出来たのは16mmという超広角だからこそだと思います。

最初の一枚を反対側から少し角度を変えて撮影しました。まさにこれぞ超広角だからこそ表現できるダイナミックさ、圧倒的な情報量でまるで色の雨が降っているよう。絞ったおかげで奥のほうまですっきりシャープに写っています。

突然現れたシルエットがちょうどいい位置にきたときに撮影。手前側の階段が大きく広がって遠近感が強調されたおかげで、よりシルエットが強調されました。

革の傷、木の彫刻の細かさなど質感をしっかり捉えてくれています。超広角の単焦点レンズというと難しいイメージがあったのですが、近接性能の高さやコンパクトで片手でも充分に撮影できる手軽さでそのイメージもかなり払拭されました。「α7CII」との組み合わせならハンドストラップにして散歩スナップのスタイルもオススメです。

最短撮影距離はAF時15cm、MF時なら13cm。このカットではAFで接写しています。ピント面の解像力もとても高く、点光源になるようなものが背景にあったので画の中に取り込んでみましたが、とてもキレイにボケてくれました。

レンズ補正を前提としますが歪曲はほぼ見受けられず、シンメトリーの構図で撮影することが出来ました。開放絞りですが全体的にピントが合っており、格子や装飾の細部のディテールまでしっかり描写されています。

メインの被写体にフォーカスを当ててもなお、周辺の情報量が多いのが広角レンズの特徴。たとえば広大な風景+被写体ならその場のスケールの大きさも一緒に伝えることが出来ます。さらに室内の暗い環境などではF1.8の明るさは非常に頼もしいもの。これだけの超広角域でF1.8の明るさはとても貴重な存在ではないでしょうか。

手すり部分の柵が手前に拡がっていく様子が広角らしかったので、少し中心からずらして撮ったカットを選びました。少しの傾きや角度で印象がガラッと変わるのも広角レンズの面白いところです。

情報が多そうだなと思って何気なく見上げると、その予想を超えた情報量が飛び込んできました。まじまじと見てみると細い枝の線まで繊細に描いてくれているのが分かります。なんでもない場所でもこれだけ写る。広角レンズが常用ではない方にこそ、さっとカバンに入れておいて昼夜屋外のシチュエーションを問わずに使えるこんな一本があると、とても便利だと思います。

棚のラベルにピントを合わせて解像感と奥行のボケ感を見てみました。木材の表面や、ラベルの劣化具合など質感をうまく捉えてくれています。背景ボケも何が描かれているか分かるようになっていて、一枚の画のなかでちゃんと繋がっています。

最後にもう一度スローシャッターで流してみました。ここではカメラは掴んだままで撮影をしています。コンパクトであるというのは、どうせブレてしまうかも…という無意識下での障壁をなくしてくれるので、色んな撮影にどんどんチャレンジしたくなってしまうのです。これってかなり大事なことだなと思いながら撮影を終えました。
ダイナミックをコンパクトに
超広角16mmで明るい単焦点というとフード一体型だったり、フィルターを装着するのに工夫が必要だったりするイメージがまだあるので、ここまでコンパクトに振り回せるということに、驚きというか技術の進歩をとても感じます。軽量なのでアングルやポジションを変えて撮影してもブレを心配することもありません。「FE 50mm F2.5G」など小型単焦点を普段使っている方なら、とても良いアクセントになる画角だと思いますし、「SONY FE 16mm F1.8 G」単体でもクロップして約24mm画角として使えば広角レンズとして幅のある撮影が可能です。なるべくコストは抑えて、明るい超広角レンズをレパートリーに入れてみたかったという方におすすめしたい一本。ぜひ使ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff