2015年11月6日(金)に東京・港区にある虎ノ門ヒルズ・ピルエットにてライカの新シリーズである『ライカ SL(Typ601)』発表イベントが開催されました。今回のKasyapa for Leicaではその会場レポートをお送りいたします。
ビュッフェスタイルで行われる発表会の会場は、招待されたたくさんの来場者で埋め尽くされました。
『ライカ SL(Typ601)』とは一体どのようなカメラに仕上がっているのか、会場の熱気と期待が膨らむ中、ライカカメラジャパン・代表取締役社長 福家一哲氏(左)による挨拶から本イベントはスタートします。 昨年100年目を迎えたライカですが「これからの100年のスタートには とてもいい物ができた」と語る福家氏。ドイツより来日したライカのプロダクトマネージメントの責任者 ステファン・ダニエル氏(右)を紹介する際には冗談を交えながら会場の笑いを誘っていました。
続いてダニエル氏によるプレゼンテーション。はじめにスクリーンには『ウル・ライカ』の画像が映し出され「伝統と未来、これが今回お伝えしたいテーマ」という言葉から始まりました。
今回のライカ SLについて「デジタル一眼レフに変わるモデルとして登場したライカ SLは、時代の流れを変える先駆的なカメラ。最先端のミラーレス技術はプロフェッショナルの新たな基準を打ち立てるもの」と語られています。
こちらが現在発表されている新システムのレンズラインナップ。『ライカ バリオ・エルマリート SL f2.8-4/24-90mm ASPH.』は本体と同時に発売される予定で、『ライカ アポ・エルマリート SL f2.8-4/90-280mm』と『ズミルックス SL f1.4/50mm ASPH.』も今後登場予定ということです。
『ライカ T(Typ701)』と共通のマウント形状を持つライカ SLは既存のライカ Tのレンズを装着すればそのままAPS-Cサイズでの撮影ができ、マウントアダプターを介することでシネレンズを含む136本ものライカレンズを使った撮影が可能になります。(※発表されたSLレンズ3本含む)
魅力的なプレゼンテーションの後にはタッチ&トライの時間も。ライカ SLの周りには人集りができ、大勢の方が順番を待って行列ができていました。
私もその行列に並び、やっと手に取れたライカSL。手にした瞬間ひやりと伝わる金属の質感と、ズシリと感じる重量感。レンズとセットで2キロ近い重さは国産フルサイズ一眼レフと24-70mm/F2.8レンズの組み合わせ並みです。しかしこれはライカ SLが『ミラーレス=軽量化』という考え方で作られたものではなく『ミラーレスシステムがライカ SLにとって最良の選択』というコンセプトで作られた為だと思われます。
実際に手に取ると少し大柄でボディの剛性感をものすごく感じます。国産機とは少し違うスイッチやボタンなどのカッチリしたこの感じはなんだろうと考えた時、「なんかドイツ車っぽいな」と思いました。国産車からドイツ車に乗ると感じる「硬くてカッチリしている」ボディ剛性感。そしてステアリングの重さやフィーリング、ペダルのタッチ、足回り、室内に入ってくる音など「日本とドイツでは車に対する考え方が違う」と思うあの感じに良く似ています。
そして内蔵されている2400万画素のセンサーについてお話を伺ったところ、「詳しい事はまだわかりませんが、ライカ Q(Typ116)の物とは違うと聞いています」と答えてくれました。実際に撮れる画がどのようなのか非常に気になります。
ライカ SLを構えていただきました。82mm径の大きなレンズはミドルフォーマットのライカ S用レンズのような迫力です。
『ライカ アポ・エルマリート SL f2.8-4/90-280mm』も1本だけ用意されていました。撮影してみると開放からフォーカス部は驚くほどシャープながら後ボケはライカらしい柔らかさを持つボケ味のレンズです。発売が楽しみな1本です。
こちらのセットも手に持っていただきました。見た目以上に密度の高い重量感を感じます。
ライカ SLは本格的な4K動画撮影も可能なカメラです。プレゼンテーションを聞いて初めて知ったのですが、2015年のアカデミー賞10作品中、6作品がライカのズミルックスCを使用して撮られたという事。ライカ SLの登場でまた新たな映像表現が生まれるかもしれません。
タッチ&トライの後には写真家・安珠氏によるトークショーも。AFがとても静かでスーっとピントが合う感じを「まるでゴーストみたいと」と語っていました。木々の隙間にちょうど飛ぶ小鳥を写した写真などはライカ SLのAFとレスポンスの良さと、思いのままに撮影ができる直感性の良さをうかがわせる作品でした。
「普段はボケを生かした写真はあまり撮らないんですが、このレンズのボケ味があまりにも綺麗で・・・」とカメラだけでなくレンズの描写も大絶賛。これからライカ SLを使用する写真家が増えそうな予感がします。
今までM型ライカと国産フラッグシップ一眼レフとでは使用目的とニーズがうまく分かれていたように思えます。しかし、秒間11コマという高速連写と4K動画、ISO 50000という超高感度撮影も可能なライカ SLの登場によって、新たな時代が到来したと感じました。レスポンスと利便性にライカの描写を両立させた本機は、確実にプロカメラマンや写真家の心を捉える一台となることでしょう。ライカ SLの今後の展開や動向に注目していきたいと思います。