ライカブランドの大口径望遠レンズの筆頭に挙がるのが、このズミクロン90mmでしょう。特にこの第2世代のズミクロンは、クロムメッキの質感やローレット、絞りの美しさなど、ライカ黄金期の手間を惜しまない造りのよさを実感できるレンズです。それでは、その実力の程はどうなのか。 撮影をしてみるとこの描写。最短1mとはいえ、90mmではその被写界深度は驚くほど薄くなります。ピントが立ちながらフレアがかかり、ボケも美しい円形で、とても柔らかな印象に仕上がりました。
こうした淡い色彩と、滑らかな表面を持つ被写体はこのレンズの真骨頂。トーンの再現も美しいものです。
強い日差しを受けて輝く葉々の細かいラインを綺麗に写し取ってくれました。柔らかさと繊細な描写を併せ持つレンズゆえ、こうした動植物や人を被写体にするのにとても向いているレンズです。細かな葉脈までしっかり描写しつつ、瑞々しい印象を与えてくれます。描写のコントラストもこの条件にしてとても良く、さすがはズミクロンの名を持つレンズだと思わせるものです。
レンジファインダーで90mmはどうも人気の無い焦点距離ですが、一眼レフと違って被写体がボケてしまわず、構図をしっかり取って撮影できるなど、撮影していて魅力の大いにあるものです。また最短撮影距離が1m近いレンジファインダー機でクローズアップ撮影がしたい時にもオススメしたい焦点距離です。
見れば見るほど美しく、しっかりとした造りのレンズです。絞りの見事さは正に工芸品とすら言いえるもの。フードも内蔵式の立派なものです。外見も美しく、描写も良いこのレンズ。ライツ黄金期の輝きをぜひ、ご覧いただければと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.