先日『Photokina 2012』からお送りしたLEICA社の新製品レポートですが、今回日本でもその新製品ラインナップのお披露目会が催されました。会場は銀座『Leica Professional Store Tokyo』。多くの関係者が集まる本発表会、その模様と追加の新情報が入りましたのでお知らせ致します。
新生『LEICA M』や『LEICA S』、『LEICA M-E』などなど、今年のLEICA社発表の新製品は話題に欠かないものが多く、会場も大盛況。各機種についての詳しいレポートはこちら>>をご覧頂ければと思いますが、改めて見ても圧巻のオールスターです。
満席となった会場、いよいよ新製品発表会のスタートです!Photokinaでも使用されたスライドショーを用いながら、各製品についての説明が行われます。今回の発表会にはドイツのLEICA本社から2名のプロダクト責任者の方が出席。こちらはMシステムやSシステムに関してご説明頂いたステファン・ダニエル氏。各プロダクトの目指す方向性について熱のこもった説明が繰り広げられます。
こちらはD-LUXシリーズやX2などのご説明を頂いたヘルムート・ハイラー氏。X2リミテッドエディションのデザインを担当したポール・スミス氏のビデオメッセージ等も絡め、会は進んでいきます。
今回は『LEICA M』用の新しいCMOS素子についてもより詳しい説明が頂けました。CMOSIS(シーモシス)社とライカ社で『LEICA M』専用に設計を行った『Leica MAX CMOSセンサー』。素子自体はダイオードとカラーフィルターの距離を可能な限り縮め、光量ロスやノイズの発生を抑えるなど各所に工夫を重ねた作り。LやMマウントだけでなく、今回はアダプターを介したRマウントの使用も前提に設計を行ったとの事で、その描写には大いに期待がかかります。
センサーの構成の違い、手前が『Leica MAX CMOSセンサー』です。奥に図示されている従来のものと比べ、カラーフィルタとダイオードの間が薄いのがお分かり頂けるでしょうか。また今回のセンサーは消費電力も大幅に下がり、そのお陰で発熱量も大変少ないそうです。連射に限らず、ライブビュー撮影や動画撮影時などにもボディが加熱する事を防いでくれそうですね。
『LEICA M-E』や『マルチファンクショナルグリップ M』についても説明があります。今回はストロボ撮影の重要性も考慮し、アクセサリーシューをEVFで塞いでしまっても『マルチファンクショナルグリップ M』の接点を使用すればストロボ撮影が可能。右の写真でダニエル氏が持っている様に、自由な角度からストロボ撮影が可能です。また新設のフィンガーグリップは想像以上に柔らかく手にフィット。サイズも手のサイズに合わせて『L・M・S』と3種類あり、ホールド感はしっかりと安定感のあるものでした。
『LEICA S』システムに関しては、前回レポート出来なかったクローズアップレンズ『LEICA ELPRO-S 180mm』が出品されていました。近接撮影には中間リングという手もありますがF値が暗くなってしまいます。『LEICA S』の機動性の高さを損なわない様、F値の変わらないクローズアップレンズを採用したとの事。ただし画質についても妥協無く、『LEICA APO ELMAR-S 1:3.5/180mm』専用設計とした事により高画質を維持できるとの事です。実際使用してみても40cmの最短撮影距離の差は大きく、マクロ的な撮影域までカバー出来るのは実に使い勝手の良いものでした。
そして、こちらは前回もレポートした『LEICA TS-APO-ELMAR-S 120 mm f/5.6 ASPH.』こちら前回ティルトレンズとしてご紹介してしまいましたが、実際はご覧の様にティルト、そしてシフトとも可能なレンズ。訂正してお詫び申し上げます。
LEICA社のご好意により、試作品での撮影をさせて頂きました。ボディは『LEICA S2』。レンズ自体は試作品ですので本来のスペックとはいきませんが、参考としてご覧頂ければと思います。このカットは通常状態での撮影。シャープに椅子の縫い目等も捉えています。
こちらがシフト、フォールした状態ですので一見アングルを変えた様ですが、レンズのパースが上方へ変化した状態です。もちろん撮影位置は同じです。
こちらはティルト。逆ティルトした状態ですのでボケの範囲が広く、ピント範囲が狭くなっています。被写体が少々分かりにくく恐縮ですが、3カットとも開放F5.6での撮影ですのでボケ量などの違いをご覧頂ければと思います。
外観を見てもかなり有機的な動きをするこのレンズ。各部動作は精密感を感じるしっかりとしたものでした。一般撮影向きとは言いがたいですが、商品撮影等に威力を発揮するテクニカルな1本でしょう。
被写体を変えて1枚。逆ティルトした状態でピント範囲を狭めています。実画像を見てもピントの薄さは驚くべきもので、解像力も非常に高い濃厚な写りです。ここから更に各部収差、描写力に手を加えブラッシュアップしていくとの事ですから、製品版の登場が待たれます。
説明会ではビデオにて『LEICA S』の使用風景も紹介。雪山での撮影など実に過酷なシチュエーションで使用されており『LEICA S』の想定しているフィールドの広さを感じさせます。
『LEICA S』より内部メニューの項目も変化。『LEICA M』と同じデザインのメニューが採用され、ジョグダイヤルの追加とあいまってより使い易いインターフェースを実現しています。
発表会が終了しても会場では多くの質問が飛び交い、LEICA新製品についての関心の高さが感じられます。また会場には実際に撮影された写真が多く飾られており、Photokina同様のLEICA社の写真と機材をトータルに捉えるスタンスが感じられました。
LEICA社の新製品については今後も情報が入り次第、皆様にお伝えする予定です。
Reported By MAP CAMERA Staff