先日、Lマウントの『Elmar50mm/f3.5』の試写レポートをお送りしましたが、今回はそのMマウント化されたモデル。『LEICA M3』の発売にあわせてMマウント版が発売され、設計の修正と硝材の見直しにより開放F値を2.8まで引き上げたレンズです。外観もM型ライカに合う様に一回り大きくなりましたが、絞りの操作もしやすくなり使い勝手はとても良くなっています。M9やM8などのボディでは注意が必要ですが、フィルムボディ等では沈胴してコンパクトに持ち運べるのも大きな魅力。描写もオールドレンズらしい軟らかな色合いで、常用レンズとしてもピッタリの1本です。
コントラストが強いレンズではないのですが、その素朴ながらしっかりとした描写は自然を撮るにも活躍してくれます。微妙なグレーの違いも描き分けてくれるので、水面の豊かなトーンをしっかりと写してくれました。
作られた時代が『LEICA M3』と同時期であり、その素晴しい仕上げも見所の一つ。クロームメッキの質も実に美しく、絞り羽根の枚数も15枚という贅沢さ。無限遠のロックもパチッと決まり、往事のライカ製品の美しさを見て取る事が出来ます。
ボケは光線状況によっては少々独特のものになりますが、ピント面の解像力はなかなかのものです。
強烈な逆光でのカットですが、ゴースト等も無くしっかりとした描写なのは驚きです。RAWデータで見ると暗部のビル壁面もしっかりと描写しており、その描写に改めて驚かされます。
ライカならではの独特なスタイルのレンズです。沈胴するとパンケーキレンズの様に薄くなります。しかし絞りの枚数の多い事…。こうした部分はもちろん写真と直接関係しないことですが、美しいと思える機材で撮影するのは楽しく、熱中できるもの。せっかく様々なレンズの揃っているライカですから、ぜひとも楽しんで頂きたいと思います。
※M9等の一部Mボディでは沈胴式レンズの沈胴を制限しています。 ボディを損傷する恐れがありますので、必ず伸張させた状態で使用して下さい。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.