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LEICA趣味人 – 鉄道博物館 –

2014年06月13日

LEICA趣味人 - 鉄道博物館 -

LEICA趣味人 - 鉄道博物館 -

カメラ好きは機械好きである。そして金属好きでもある。機械にして、金属の塊であるのは鉄道。これは間近で見るとたまらない。今回は鉄分補給と鉄道への郷愁を求めて大宮にある鉄道博物館へと向かった。鉄道博物館へは何度も足を運んでいるのだが、行くと決める度に、子供の時の遠足のように、前日からわくわく、そわそわして盛り上がる。いくつになっても男は子供なのだと実感する。

今回ライカM9Pに装着して、鉄道博物館のお伴をしたのは、MSオプティカル(宮崎光学)の『Sonnetar50mm/f1.1』。何と開放f値が1.1である。ライカの純正レンズにもf0.95のノクチルクスという銘レンズがあるのだが、まるでレンズの塊のように巨大であり、いかんせん値段が高くてなかなか手が出せない。ところがこの『Sonnetar50mm/f1.1』は、なんと190gと超軽量。大きさもズミクロン並で、f1.1をいつでも気軽に持ち歩ける。これぞ究極の標準レンズと言ってもいい。f1.1の開放での写りが気になるところ。さて『Sonnetar50mm/f1.1』は鉄道の金属感と情緒をどう切り取ってくれるのか?興奮を抑えながら鉄道博物館のゲートに向かった!

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm / f1.1

10時の開館30分前には、ゲート前の広場はすでに長蛇の列。広場には蒸気機関車の先頭の部分や大きな車輪が置かれている。早速『Sonnetar50mm/f1.1』で撮影開始。絞りを4での撮影だが、金属の質感と存在感。そして後ろのボケもなかなかのもの。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

ゲート前広場には、車両の台車や実車を輪切りにした展示がある。おじいちゃんと孫が旧式の座席に座って鉄道の絵本を見ている横を、子供がはしゃいで駆け回る。『Sonnetar50mm/f1.1』は小型軽量で、ヘリコイドにはレバーがあり、慣れると咄嗟のピント合わせも快適だ。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

いよいよ館内に入り、まずは2階に上がって、鉄道車両が並ぶ1階のメイン広場を俯瞰する。ターンテーブルに乗ったC57を中心に昭和の憧れの鉄道車両達が集結する。暗い館内なので、ISO感度を上げつつ、絞り2.8で撮影。シャープな写りと色の乗りは感動ものだ。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

絞り1.1開放でC57の顔を撮影。プレートの光のにじみ加減が何とも味わい深い。被写界深度は1.1の割には意外と深い。すべて開放で撮影しても面白いかもしれない。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

金属の質感と存在感もばっちり写し込んでくれる。蒸気機関車のアナログの機械の動きは、どこかライカのフィルムカメラと似ている。『Sonnetar50mm/f1.1』は『M3』でも撮ってみたいレンズである。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

開放1.1のボケ味は美しい。最短距離での撮影では前後に大きくとろーんとボケる。この味わいこそ、このレンズの真骨頂である。さすがに被写界深度は浅く、モニターでチェックしながら、体を前後に動かして、ピントを追い込む。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

昭和30年代生まれの私には、新幹線といえば、この「0型」に止めを刺す。この先端の曲線と速さに憧れて、将来の夢は?と問われて「新幹線の運転手」と答える子供が多かった。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

コンテナを台車に固定するパーツをアップ。鉄道車両は全体にも惹かれるのだが、パーツの形状や色の組み合わせも面白い。50mmの画角だからこそ見えてくるものもある。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

鉄道博物館には親子連れが多い。しかも子供はもちろん、親の方が夢中になっている。暗い館内なのだが、やはり開放1.1の威力は凄い。昼間の屋外の感覚でスナップができてしまう。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

『Sonnetar50mm/f1.1』は設計者の宮崎さんのこだわりのゾナータイプ。レンズの構成枚数は少なく4群5枚。6面マルチコート+2面単層コーティングのお陰で発色と光の表現が美しい。レトロな雰囲気も良く出ている。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

開放1.1を意識すると、いろいろな情景が見えてくる。窓に映った2階のふたり。パンタグラフと天井の梁の形状の面白さ。そしてひさしのある窓に映るふたりの会話が聞こえてくるようだ。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

上野駅の昔の情景を復元した模型を絞り開放で撮影。ファインダーで覗いて感動し、写し出されたモニターを見て、1.1のボケの情緒に感動した。普段使っているズミルックスの1.4との表現の違いに驚いた。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

鉄道博物館の中で出会うシーンにもそれぞれドラマがある。電車に乗り込もうとしている老夫婦と横を歩く若い親子。そして電車の中でも子供の視線が見える。それぞれどんな鉄道への思いがあるのか?考えるだけでもわくわくする。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

開放1.1は光に対する撮影者の感度も高めてくれる。場所や角度によって、美しい光を見つけることができる。金属に写し出される光がまるで、一つ一つ粒のように感じる。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

懐かしの昔のつり革。まだ届かないのに、背伸びしてつり革にぶら下がった記憶が蘇る。開放での撮影は過去への一瞬のタイムトリップをさせてくれる。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

館内にはいくつか作業している人形が置いてある。昔は特急のプレートは毎回人の手で外して入れ替えた。50ミリでのスナップは乗ってくると面白い。被写体との間合いが適度にあり、自然なパースが心地よい。

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

LEICA M9-P + Sonnetar50mm/f1.1

『Sonnetar50mm/f1.1』は光の面白さを存分に楽しませてくれる素晴らしいレンズ。ボケ味や色の乗り、そして小型軽量と設計者の宮崎さんの徹底したこだわりが良くわかる。またこのレンズを持って鉄道博物館を訪れたい。次はどんな光と出会えるか?また前日は興奮して寝られないのだろう。

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