LEICA SUMMICRON M28mm F2 ASPH. 11618
2024年01月31日
ついに最短撮影距離40cmに対応する『SUMMICRON M28mm F2 ASPH. 11618』が登場しました。寄れる28mmを待ち焦がれていた方も多いはず。今までの寄れる単焦点シリーズと同様にライブビュー対応のカメラやビゾフレックス2などを用いて撮影が可能です。レンズフードははめ込み式だった『Summicron 28mm/f2.0 ASPH.』から限定レンズ同様に組み込み式になりました。スナップ用の画角としてとても人気で、使いやすい広角レンズの定番として愛され続けてきた28mm。「寄れない」ことがネックになってしまっていたユーザーがいたならまさに朗報。もしかしたらライカレンズの焦点距離のラインナップの中で最も寄れるようにしてほしかった画角ではないでしょうか。では実際の使い心地はどうなのか。撮影してまいりましたのでぜひフォトプレビューをご覧ください。
28mmの良さの一つとして「ラフに撮れる」というのが個人的にあって、とっさにシャッターを切りたい瞬間があった時にはカメラを構える前からピントリングを無限遠付近に回しておいて、すかさず撮れるのが魅力かなと思います。もちろん厳密に合わせられればそれが一番ですが、ラフに撮ってもボケすぎることもなく写真として成立する可能性が高いのが魅力です。スナップ用の画角として愛されるのも納得です。
28mmは広角域ですが開放F2ともなるとしっかりボケます。設定はスタンダード、コントラストも高く撮って出しで見栄えのある画が撮れます。
ピント面の立体感や陰影のつきかた、本当に素晴らしい写りです。このコンパクトなレンズがなぜこんな写るのか、高い光学性能というだけでは説明できない魔法みたいな力があるのではないかといつも不思議に思います。
最短撮影距離の40cmで一休みのひと時を俯瞰で撮ってみました。ピントは泡に合わせています、滲んだりもせずシャープな写りです。28mmの画角でこの対応力。日常のワンシーンを切り取りたいときにこれだけ寄れてしっかり写るというのはとても便利だなと思います。
空のほうを見てもらうと分かりますが、すこし雲が多くなってきてイマイチの光環境に。ただどこかの壁に反射した光が酒樽を明るく照らしていたので撮ってみたところ、とても良い写りをしてくれたのでセレクトしました。
少し日が落ちてきた時間帯。開放絞りだとまだ明るい時間帯でも周辺減光がありますが、絞って撮影すればかなり改善されます。それにくわえて画面端までぼやけずシャープに写ります。
次は最短撮影距離付近で逆光とボケの感じを見てみます。広角レンズですが開放値F2の最短撮影距離だけあってとても大きくボケます。ボケ感もうるさくなく綺麗で、コントラスト、色ノリも良好です。逆光時に大きく光を取り込むとフレアゴーストが発生しやすくなりますが、軽減効果もあってか目立たせなくすることも可能です。
驚きました。これだけの遠景でも夕陽に照らされる橋のディテールがしっかり描かれているんです。もちろんそれなりにしっかり写っていてほしいという願望もあり「このシチュエーションでそこまで高望みするのは酷というもの」と思っていたのですが、求めていたクオリティより数段高い写りを見せてくれました。
マジックアワーのグラデーションカラーもこの通り。美しい色合いです。
もはや万能的
レンズフードも組み込み式になって普段使いで使うサイズとして丁度良くてスマートで、写りはシャープで高解像。なんというかこれだけで「これぞズミクロン」という感じなのですが、それに加え寄れてボカしたい時にはボカすことも出来る。いやはや、もはや万能的。この完成度で画角が28mmというのがまた良いです。これ一本あれば大抵のシーンはカバーできてしまいます。スナップを愛する方なら永い付き合いができるレンズです。ぜひお手元に。
Photo by MAP CAMERA Staff