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Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:160 / 使用機材:M10 モノクローム + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

 

カラーフィルムが出始めの1950年代、カラー写真は商業用で、写真作品はモノクロでなければ認められない時代があった。裏を返せば、当時はカラーフィルムがまだまだ一般的ではなかったなど事情があったのだと思うが、写真界に名を残す著名なフォトグラファーや、歴史的な瞬間を写し出した報道写真など、印象深い作品はモノクロ写真が多いのも事実である。そしてフィルムからデジタルに変わり、自己表現の手段として写真が身近になった現代でも、黒と白の世界に特別なこだわりを持っている愛好家は多くいる。そのような方々に使っていただきたいのが、今回ご紹介する『Leica M10 モノクローム』だ。

『M10-P』をベースに作られたこのモデルは、今まで登場してきたMモノクロームとは少し違うカメラと言えるだろう。初代MモノクロームはベースとなったM9-Pの1800万画素CCDをモノクロにカスタマイズされたセンサーを搭載し、2代目のMモノクローム(Typ246)もベースとなったM-P(Typ240)の2400万画素CMOSをモノクロ化して搭載してきた。ところが3代目となる『M10 モノクローム』はM10のものではなく、新たに開発された4000万画素の高画素モノクロセンサーが採用されているのである。

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F8 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:50000 / 使用機材:M10 モノクローム + ズマロン M28mm F5.6

 

まず驚いたのがスペック上で示された上限ISO感度100000という数値。理論上、カラーノイズが発生しないモノクロセンサーではあるが、まさかここまでとは思わなかった。

上の写真は夜に訪れた室内施設の通路を撮影したのだが、ISO感度は上限の一歩手前、ISO:50000で撮影したものだ。輝度ノイズによる若干の滲みは感じられるものの、それはフィルムの粒状感にも似ており、写真の雰囲気を味付けしてくれている。

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F8 / シャッタースピード:1/12秒 / ISO:400 / 使用機材:M10 モノクローム + ズマロン M28mm F5.6

 

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F11 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:160 ※クリックすると元サイズで表示されます。 / 使用機材:M10 モノクローム + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

 

そして本機の特筆すべき点は、恐ろしいほどの解像性能だ。通常のカラーセンサーよりも先鋭感が勝るモノクロセンサーは、画素数以上の高精細な画を引き出してくれる。『M10 モノクローム』ではセンサーが4000万画素になったことで、その解像感は未体験の域にまで達したと言えるだろう。

上の写真は、美しい樹木の壁画のように見えた蔦植物のカットなのだが、是非拡大してご覧いただきたい。葉の葉脈だけでなく、ざらりとした壁の表面の一粒一粒まで確認できるはずだ。これは『アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.』あっての解像力ではあるが、レンズが持つ解像力の全てを引き出してくれている。

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F8 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:800 / 使用機材:M10 モノクローム + ズマロン M28mm F5.6

 

 

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F11 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 / 使用機材:M10 モノクローム + ズマロン M28mm F5.6

 

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:絞り:F8 / シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:160 / 使用機材:M10 モノクローム + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

 

高解像力が生み出す、表現の可能性

本機に限らず、高画素機が登場すると必ず論点になるのが「その画素数が必要か」という点だろう。機能的な話をすれば、トリミングでの自由度や大伸ばしにプリントしても画質が良い点など挙げられるが、実際に撮影をしてみて体感したのが、写真が持つ密度と力の違いである。

高画素機で撮影した写真は、一枚の中に多くの情報量を持っている。拡大しないと見えないような違いでも、それが写っているか否かで写真の密度が変わり、その写真から受ける立体感や印象が変わってくるのだ。そして、この『M10 モノクローム』も単純に画素数が大きいカメラではない。目に見えない物までも写真に表現することのできる、可能性に満ちた一台だと感じた。

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F2 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:200 / 使用機材:M10 モノクローム + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

 

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F2 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:1600 / 使用機材:M10 モノクローム + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

 

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F8 / シャッタースピード:1/750秒 / ISO:160 / 使用機材:M10 モノクローム + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

 

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム

絞り:F4 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100000 / 使用機材:M10 モノクローム + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

 

最後は上限であるISO:100000で撮影したスナップ。この時の時刻は確か午後8時半ごろ。直接照らす街灯はなく、周りのショーウィンドウやビルからの明かりが薄っすらと路面に反射している程度の光量だ。この高感度での露出がすぐ思い浮かばなかった為、絞りはF4にしつつ、シャッターダイヤルは「A」に。ファインダーを覗くと1/250秒というシャッタースピードが表示され、こんなに速く切れるのかと驚いてしまった。多少のザラつきは感じられるものの、粗めの粒子を纏ったモノクロ写真と思えば、決して悪い印象の写りでは無い。表現の一つとして実用範囲内と感じた。

 

Leica (ライカ) M10 モノクローム  

Leica (ライカ) M10 モノクローム  

デジタルモノクロームの極み

カラー写真をモノクロ化しただけでは不可能な、豊かな階調と先鋭な解像力を生み出す『M10 モノクローム』は、デジタルモノクロームの極みに達した機種だと言えるだろう。Kasyapa for LEICAの記事ではトリミングは行わないことにしているが、4000万画素の大きな画像から構図を切り出し、作品づくりのテクニックに活かせば、表現できる写真の幅は大きく広がるはずだ。

今や最新のデジタルカメラで撮れない写真は無くなってきているが、唯一あるとすれば、本当の黒と白の世界かもしれない。色補間を行わない『M10 モノクローム』は、カラーセンサーでは写らない全ての光を捉えてくれる稀少なカメラである。全ての人に受け入れられるカメラではないかもしれないが、デジタルでモノクロ表現を追求する方に是非使用していただきたい一台だ。

 

Photo by MAP CAMERA Staff

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