待望の最新機はその人気の高さから未だ品薄の状態が続いており、なかなか手に入らない状態です。
今回はライカカメラジャパン株式会社様のご協力を頂き、夢のような機材で試写をさせていただきました。
とても高価な機材なので、おっかなびっくりの撮影でしたが撮れば撮るほど伝わってくるライカの魅力。
とにかく特筆すべきはやはりその画像の美しさ。便利で高性能な一眼レフが次々と登場する現在にあって、「ライカでしか撮れない写真」と言う言葉が存在するのが少し分かった気がします。それだけ驚愕の描写と解像力でした。
■ 伝統のデザインを継承したシンプルデザイン
正面の「M9」のロゴを見ないと見間違えてしまうほど、今回もM型ライカシリーズの外観デザインを見事に継承し てきました。フィルムのM型と比べ、フィルムの巻き上げレバーや巻き戻しクランク、撮影枚数を表示する窓が無 くなった分、さらにシンプルに仕上っていると言えます。
背面のボタン配置も、先代の「M8」とほぼ同様の配置となっており、操作性を含めたデザインコンセプトがしっか りとした信念のもと作られているんだと改めて感じさせられます。
恥ずかしながら筆者が、ライカを本格的に使用するのは今回が初めて。持った瞬間は、フィルムM型ライカより厚みの ある本体に若干の握りづらさを感じました。指の掛かるところの少ない平面的なボディは手から滑り落ちそうになる のです。高価な商品というのが常に頭の片隅にあるため、余計に怖く感じたのかもしれません。しかしレンズを装着 することによって、そんな不安も一瞬にして消え去りました。コンパクトながらしっかりと固定されるMマウントの レンズが、しっかりホールディングをサポートしてくれるのです。
さらに驚いたのがメモリーカードと電池を入れる底蓋の部分。
フィルム時代、ボディ剛性を高めるために採用された底蓋からの複雑なフィルム装填。この煩わしい作業もM型ライカの特徴的なものでした。そしてその名残を残したかのような底蓋パーツからは、デジタルになってもライカらしさを残しているというアピールが感じられました。 |
■ ライカ判のライカデジタル
「M8」から「M9」への進化にあたり最大の特徴と言えば、やはり撮像素子の大きさが35mmフルサイズ(36×24 mm)になったことでしょう。この35mmフィルムの一般的サイズは、ライカが一般的に広めたことから俗に「ライカ判」 と呼ばれており、M8ではAPS-Hサイズを採用したライカでしたが、M9で再び正当な大きさに戻ってきてくれました。 「ライカである以上、撮像素子の大きさもライカ判であって欲しい。」そんなユーザーの気持ちに応えてくれたモデルです。 35mmフルサイズで1800万画素という高解像度のCCDセンサーを搭載したM9は、フィルム時代から受け継がれている 多くのレンズの魅力を余すことなく引き出してくれることでしょう。
■ 豊富なレンズ群を楽しむ優れた互換性
ライカの魅力と言えばやはり圧倒的な描写力を持つレンズ群。半世紀以上の永い歴史を持つMマウントのレンズは、本当に 沢山の種類が存在しています。これらのレンズに6bitコードと呼ばれる白黒の印を付ける改造(一部不可)を施すと、 カメラ側でレンズの種類を認識し周辺光量補正など、そのレンズに最適な画像補整を自動で行ってくれます。またそのレンズ 情報は撮影データのExifに記録され、後のデータ管理に非常に役立ちます。
今回は広角レンズと標準レンズの2本で撮影を行いましたが、いずれも周辺光量の低下はほとんど感じられず、その補正効果 の高さが伺えました。
残念なことに筆者はある失敗を犯してしまいました。Exif記録機能があるからと、カメラ任せに撮影をしていたのですが、6bitコードにはあくまでレンズの種類を伝えるためだけのもので、レンズ絞り値の設定まで はExifに記録されません。作例写真にもF値の記載が無いものが生じてしまいました。初めて使われる方はご注意ください。
■ 改めて感じるレンジファインダーライカの魅力
ライカの触る度に感動するのが、クリアーなファインダーの存在。ボディが厚くなった分、ファインダーの倍率がやや低めの0.68倍に なってしまった為、高倍率派の筆者は、少しピント合わせに苦労しましたが、それでも明るく透き通るファインダーは暗い場所でもしっかりと 目標を捉えることができました。オートフォーカスでは味わえないこの苦労も写真を楽しくさせてくれるのかもしれません。
レンジファインダーは全てのレンズの画角に対応することができません。実際今回使用したレンズにも対応しない商品が含まれていました。 本来なら外付けファインダーを使うべきなのでしょうが、そこはデジタルの特性を最大限に活かし、撮影後にモニターでチェックする 方法をとりました。ライカでは邪道と言われるかもしれませんが、やはり撮影した後にすぐ映像が確認できるのは大きな魅力です。
神経を集中してピントを合わせ、ファインダーの外と周りの雑音が気にならなくなった瞬間にシャッターを切る…。ミラーショックの無い静かなシャッター音の後に周りの風景が戻ってくると、「よし撮った!」という充実感がこみ上げてきます。
この充実感がこのカメラの、ライカで写真を撮る醍醐味と感じました。簡単操作のオートフォーカスカメラと比べ手間が掛かる分、より自分の 作品に愛着が湧いてくるのではないでしょうか。
最近は小型軽量のミラーレスのデジタルカメラが流行し、その中で電子ファインダーが注目されるなど、ファインダーの見え方にも注目が 集まりつつあります。その中で、最高峰の光学系を持つレンジファインダーを継承したM9は、まさに究極のミラーレスデジカメと言えます。 そしてこのコンパクトボディーは35mmフルサイズデジカメでは世界最小という大きな魅力を実現しました。
スナップ撮影に最適な携帯性、見やすいファインダー、豊富なレンズ群、そして抜群の描写力。歴代ライカの魅力を余すことなく取り込んだ M9は、まさにデジタルライカの完成型と呼ぶに相応しいモデルです。
■作例1
使用機材:Leica M9 + ノクティルックスM f0.95/50mm ASPH.
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■作例2
使用機材:Leica M9 + ズミルックスM f1.4/21mm ASPH.
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