LEICAS3
プロフェッショナルフォトグラファーからのフィードバックをカメラ開発に取り入れ、ユーザーのニーズを満たすミドルフォーマットのデジタル一眼レフカメラシステム。『Leica (ライカ) S3』をご紹介。ミドルフォーマットフォトグラフィーの定義を一新、新たな用途を切り拓くモデルとして生まれた「S(Typ007)」発売から約5年が経過した。プロフォーマットセンサー (45x30mm)もS(Typ007) 3750万画素からS3では6400万画素へ進化を遂げ、最高感度 ISO 50000、ミドルサイズフォーマットでシネマ4K動画撮影が可能という正常進化を遂げた1台。このハイスペックモデルをバッグに忍ばせ、夜の街に繰り出した。
都内の華やかな夜の街を歩く。ボディだけでも1260g(バッテリー含まず)と重量のある機種だが、手に馴染む形状のグリップと交換レンズのバランスは実に良好。「このカメラで撮りたい」「このカメラでなければならない」しっかりとボディを受け止めるべく自然と脇を引き締め、美しいファインダー像を眺めながら撮影のひと時がスタートした。ショーケース越しに目に留まったのは、実に美しい「クロコダイルレザー」のアイテムたち。その艶やかさとイタリアの製品らしい鮮やかなブルーに心を奪われ、シャッターボタンを押した。
続いて現れたのは1970年代スーパーカーブームが懐かしく思えるあのイタリアの名車。ホワイトやブラックの自動車を撮影するとき、私が一番気にするのが白とびや黒つぶれ。広いダイナミックレンジは、白飛びすることもなく美しいシルエットを見たままに写しだしてくれた。
賑やかな街並みに移動。美しいタワーを眺めつつ息をのみシャッターを切った。軽量なミラーレスカメラが増える中、賑やかな街の中 ひとり息を潜めて手振れしない様にシャッターを切る行為は、貴重な体験かもしれない。
すべてが機械任せではなく、大柄なボディと高性能なレンズをしっかりと自分でコントロールしている。そう言い聞かせながら遠くに居たタクシーがフレームインするのを待った。
ライカというカメラは不思議な力を持っている。ライカQを自ら購入した際にも同じ体験をしたが「スナップ=撮りに行くもの」という概念が撮り始めて10分で消えた。カメラを首からぶら下げて居ると、薄暗いバーの中から視線を感じ目を凝らしてみていると撮影して欲しいとこちらに合図をしている瞬間を捉えた。所有することに写りや性能だけでは言い表せない魅力を感じることができた。
ショーケース越しのマネキンを少しアンダーで撮影することで、背景の立体感を出すことに成功。今にもマネキンが歩きだしそうな雰囲気である。
翌日、早朝から車に乗り込み中央道から山道へとひた走る。少し休憩しようと山中の薄暗い路地から愛車を眺めた一コマ。黒いボディはしっかりと写すカメラが多いものの、陰になりやすいガンメタカラーのホイールが潰れず表現していることに驚きを隠せない。
マイナスイオンを身体で感じる、そんな神聖な雰囲気を写真に収めてみた。敢えて絞り込んで全体にピントを合わせず、前ボケを活用することで参道の雰囲気を表現。理想的な1枚になった。
ご神木の木肌、深い森の中に現れた鳥居を写真に収めた。三脚を持たず、ミドルフォーマットのカメラを安心して撮影できる。ISO感度を400に引き上げましたが、ノイズの少ない高画質に驚かされる。
青く晴れ渡る空にめがけて、ヒカンザクラ(緋寒桜)を収めた一枚。ソメイヨシノ(染井吉野)よりも濃く鮮やかなピンク色が美しく目を奪われた。
そして最後を飾るのは日本の心 「富士山」。少し靄がかかっていたが、晴れ渡る青い空とそのグラデーションを撮影。穏やかな湖と白く雪をかぶった富士山の光景は実に魅力的だ。
直感的に使えるミドルフォーマット
『Leica (ライカ) S3』と『ズミクロン S100mm F2.0 ASPH.』の組み合わせは重量2㎏を超えるカメラだが、プロフェッショナルのニーズを反映した「高性能 中判デジタルカメラシステム」と考えると実に魅力的。APS-Cやフルサイズなど一般的なカメラと操作性に違いはなく、中判カメラを初めて扱う私でも直観的にこの高画質を撮影することができた。夜間のシーンでは低速シャッターを多用しているが、ミラーショックが少なく手持ちで夜のスナップ撮影をしたい!そんなシーンでもオールマイティに熟せる、心強いパートナーになるシステムだ。
Photo by MAP CAMERA Staff