『ライカ SL2』とライカレンズで写す。今回は『ズミルックス R50mm F1.4 (ROM)』をご紹介いたします。「2-CAM」「3-CAM」「R-only」「ROM」と作り続けられ本レンズの「ROM」は電子接点が付いた最新の型になります。当時の製造型番としては厳密にいうと「I型」「II型」に分かれており、今回使用したレンズはその「II型」に分類されています。
1997年に1000本製造された内の1本。今ではマップカメラでも滅多に姿をみることがなくなった希少なレンズ、ぜひその写りをご覧ください。
意図的に中間に合わせたフォーカスにより前後にほど良い滲みを出しています。その滲んだ光が作用したのか気持ちのいい「晴れ感」が色に出た気がします。
年代を感じる建築物を見かけると、ついつい撮りたくなってしまいます。F5.6まで絞りモノクロで現像したのですが、開放絞りの時とはガラッと変わりコントラストが気持ちいいシャープな画になりました。筆者は「ズミルックス」銘だと開放絞りが多いのですが、このレンズは絞って撮りたくなるレンズでした。
道端に少し咲いていた彼岸花。毎年、観にいっているスポットに行けない寂しさを晴らしました。発色がとてもクリアですし、絞った画の引き締まり方は見ていてとても気持ちのいいものです。
筆者はこの木のプールに入ったら激痛で一歩も動けなかったので後日、青竹踏みを買いました。様々な種類の木材で出来た木の球の木目までびっしり解像しています。
夕暮れ時は陽と陰のコントラストが激しく、普段見慣れた景色も違って見えます。木の葉にフリンジが発生しておかしくないシチュエーション。絞り込んで撮ってみたところ、ほぼ見えないレベルまで抑えられました。
開放絞りでの接写撮影。ピント面からたちまち融けていくレンズですが、背景のボケ方は非常に美しいと感じます。ロウソクの灯りがあればいい、とする「ズミルックス」。僅かな光を元に照らすように写し出す画はさすがの一言です。
光源にむけてレンズを向ければ溢れ出るフレアゴースト。この時代のレンズを使うなら表現としてあえて出す、というのは筆者も含めて大勢いらっしゃると思います。つまりこれはご褒美のようなものです。
あえて低速で撮った水溜りを踏んだ瞬間、ライカのレンズに写る水の色気のようなものを毎回感じます。やや現像時にフィルムライクな味付けをしていますが、その味付けが実によく合うレンズだとも思います。
夜間の撮影をしながら、開放絞りでありながらなんと発色の良いレンズだろうと感じました。もしかしたら開放時のピントの線なんてないのではないかと思う薄いピント面だからこそ、輪郭をなぞる光が重なった時に生まれる立体感はたまらないものがあります。
豊色に見惚れる。
『ライカ SL2』に純正の「Rレンズアダプター」を付けて装着したのですが、正確なF値がたまにズレてしまうことがありました。アダプターのファームウェアを最新にすることで改善するということなのでEXIFを気にされる方はファームウェア更新をお勧めいたします。
さて今回この「ズミルックス」を使ってまず良いと思ったのが発色の豊かさです。ただベタッと色が濃く写るのではなく、光を感じることができる透明感のある発色に惚れ込んでしまいました。絞り込んだ画も現代のレンズに見劣りしない解像感。オールドレンズのような味わいを楽しみつつ、シャープな画も求める方にとてもおすすめな1本です。今では希少なレンズとなってしまいましたがぜひ手に取る機会があれば、この豊かな色を味わってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff