待望の『Leica Q3』が遂に登場。テーブルフォトからスナップ撮影、逃すことのできない決定的瞬間まで。あらゆるニーズに応えるライカ・Qシリーズもようやくそのナンバリングを「3」としました。画素数は6,000万画素にまで引き上げられ、8Kでの動画撮影も可能。『ハンドグリップHG-DC1』と併用することによるワイヤレス充電を実現した『ワイヤレスチャージャー XL』。従来比最大10倍の速度での高速データ送信もできるとなれば、これ以上何が必要でしょうか。
冒頭のカットはタルボサウルスの化石を写したものです。2億3,000万年前に誕生し、6,600万年前に巨大隕石の衝突によって絶滅したとされる恐竜ですが、今日もなお新しい化石の発掘が続いています。終わらない発見の連続はどこかカメラの進化に似ているような気も。新しい『Q3』は私たちをどこに連れていくのか、これから皆様が乗るであろう波の様相をご確認ください。
新しい『Q3』の大きな特徴の一つ、それが『Leica Looks』です。5種類からなる個性豊かな色は撮影後の編集作業を省略。撮って出しの色味が重要視される昨今のカメラ市場に向けたアプローチと言えるでしょう。Leica FOTOSで簡単にインストールすることができ、今後他の機種に対応することも予想されます。上の観葉植物は『CNT:Contemporary』で。ハイライトのメリハリがあり明るく爽やかな印象に仕上げることができます。先代もそうでしたが解像力は抜群、これで絞り開放。
ハイコントラストでフィルムライクな『CLS:Classic』。ライカの蒼を引き立て写真に深みを与える強い味方が現れました。これから迎える夏に向けて早くも楽しみが1つ増えたようです。流石は6,000万画素、はるか上空を横切るヘリコプターの輪郭までしっかり写っています。
最高秒間15コマの連射性能に加え、大きな進化であるチルト式液晶モニターの採用。これまでノーファインダーで四苦八苦していた瞬間も問題なし。お気に入りのカットをじっくり選ぶ余裕まで我々は手に入れたのです。
全く同じ色味のお召し物でしたのでつい撮ってしまいましたが、この質感描写には恐れ入りました。専用設計の『Summilux 28mm F1.7 ASPH.』の繊細かつ端正な描写は相変わらず。
『Blue』・『Selenium』・『Sepia』というカラーフィルターのような3つのルック。アンダー寄りのカットが続きましたが、質感描写に優れるレンズの良さをより引き出すことのできる頼れるルックとなっています。
冒頭に登場したハオルチアを、新たに採用された90ミリクロップモードとマクロモードを併用して撮影しました。マクロモードでは開放F値が2.8となるもののピントの浅さはこの通り。肉眼ではわからない花の表面のさらさらとした質感、いてはいけないアブラムシまで。本当によく写っています。
日常を、脚本に
今回選んだ被写体の多くは、普段通り過ぎてしまうような景色の数々。数日持ち歩いて感じたのは、ライカとの距離が近くなったということ。ライカというと我々カメラ好きにとってある種の到達点ともいえる存在。それゆえに1歩踏み出すことを躊躇う潜在的なライカユーザーも多いはず。マクロにチルトにクロップに。軽快なハンドリングから生み出される重厚な画作りは、あらゆるユーザーを納得させるライカ渾身の出来栄えと言えるでしょう。魅力的なカラー『Leica Looks』とデータの高速通信まで実現した『Q3』は使い手を選びません。写真を志すすべての人に、是非手に取っていただきたい1台です。
Photo by MAP CAMERA Staff