2023年6月に待望の新製品『Q3』が発売。2015年に待望のデビューを果たしたフルサイズセンサー搭載コンパクトデジタルカメラQシリーズは、約4年の周期で性能のブラッシュアップが図られてきた高い人気を誇るシリーズ。
今回ご紹介する『Leica Q2』は2代目として2019年3月に発売されました。「ズミルックス 28mm F1.7 ASPH.」の明るく高性能なレンズを搭載し、高速なオートフォーカスシステム、革新的な有機EL電子ビューファインダー、そして最も注目すべきは当時 この機種のために新開発された「有効4730万画素 35mmフルサイズセンサー」によりクロップでのより高画質な撮影が可能となったことで、新たに「75mm 相当」の画角でも撮影することが可能となりました。
28mm(クロップなし)、35mm、50mm、75mmの4つの画角を1台で本格的に活用できれば、これからの行楽シーズンこの1台で「旅カメラの決定版」となること間違いありません。LEICA Q2 Part2はクロップ撮影にスポットをあててご紹介いたします。
先ほどまで降っていた大雨が噓のよう。青空と太陽が降り注ぐなか、咲き始めたばかりの桜に多くのカメラマンがにこやかにカメラを構えていました。レンズのモードをMacroモードに切り替え35mmクロップで撮影。背景のボケも美しく実に自然、ボタン一つで好みの画角に切り替えることができるのはとても便利です。
石のオブジェに囲まれた植物に恵みの雨が降り注ぎます。75mmクロップに切り替え、雨のしっとりとした表情、圧縮効果を活用してイキイキとしたその光景を表現しました。約660万画素相当とはなりますが、拡大しても十分な画質が得られていることが良くわかります。
鳥居の隙間から差し込む太陽の光を50mmクロップで撮影。手前の鳥居にピントを合わせ、F2.8まで絞ることで光の優しさと強さを同時に表現いたしました。色再現はライカらしく実にナチュラルで色飽和することなく写しだしてくれました。
遠景での画質はどうなのか。35mmクロップでは約3000万画素となり、十分な画質と共に、立体感を感じることのできる描写性能。レンズの性能はもちろんですが、組み合わされる画像処理エンジン「LEICA MAESTRO II」の処理性能の高さが大きく貢献してくれているのでしょう。
菜の花畑の美しさに目を奪われていると、一匹の蜂が菜の花にとまりました。カラーモードをVIVID、75mmクロップ、Macroモードに切り替え速写。もしコンパクトデジタルカメラではないレンズ交換式カメラを使用していたら、このシャッターチャンスに間に合わなかったことでしょう。
大通りを歩いているとオシャレなレストランを見つけました。日頃 標準単焦点レンズを好んで使っている筆者、50mmクロップに切り替えてF値をF2.0にすることで前ボケはどのような表現をしてくれるのか期待しシャッターを切ります。ライカのカメラを使って思うことは距離感、1枚の写真から奥行きをしっかりと感じ取れることの素晴らしさ。目で見たままを写しだしてくれるのです。クロップ撮影ではどうしてもノッペリとした絵になりがちですが、しっかりとライカの持ち味を活かした1枚となりました。
同じクロップ撮影でもカラーとモノクロームではまた印象が少し変わるかもしれません。そう思い2つの画角で撮影をいたしました。とある運動公園、木漏れ日の差し込む林の中でゆっくりと時を待ちます。遠くのサイクリングロードにロードバイクが到達した瞬間にシャッターを切りました。絞りをF8まで絞り込むことで解像感とロードバイクの走り抜ける光景を表現した1枚となりました。
運動公園ということもあり、バスケットボールを愉しむ人もいればスケートボードをする人、運動をした後にひと休みする人。伸びやかな階段でそれぞれのひと時を愉しんでいる。そんな光景を中央の自転車にピントを合わせ撮影しました。ライカのカメラが写し出すモノクロームは言葉では言い表せない魅力、それはクロップ撮影でも健在でした。
夜の帳が降りる頃、日中とはひと味違ったナイトスナップが魅力的に感じる時間。75mmクロップでの撮影は少々描写が甘くなり始めます。夜のスナップにおすすめできる画角は28mm(クロップなし)、35mm、50mmが性能を存分に活かせる画角であると感じました。
広すぎず、狭すぎず。旅で実は一番使いやすい画角ともいえる35mm画角で美しい建築物を撮影。ぜひ拡大してご覧ください。装飾の1つ1つがとても美しく再現されています。
5年後の真価
発売から5年が経過した『Q2』、筆者は初代『Q Typ113』を長い間愛用しておりましたが2400万画素から4730万画素にグレードアップしたことで驚くほど繊細な描写に。初代モデルではクロップ撮影は日中の35mmクロップまでが筆者の限界。
そう思い、非常時以外は28mm(クロップなし)、35mmの2つの画角で使っていました。しかし『Q2』ではこの1台で痒い所にすべてに手が届く。夜間の撮影では75mmクロップのみ描写の甘さやノイズ感を感じる結果となりましたが、28mm(クロップなし)、35mm、50mmはいつでも切り替えて思う存分撮りたいを実現してくれる心強い1台。
その魅力は5年経過した今でも、ライカ製品の魅力を心から感じることのできる素晴らしい写りで撮り手の心を満たしてくれることでしょう。色褪せないこの魅力、新製品『Q3』の登場でお求め易くなった今、ぜひライカのコンパクトデジタルカメラを手に取ってみてください。
他にも「Leica Q series Kasyapa for LEICA」も公開しております。よろしければ合わせてご覧ください。
Photo by MAP CAMERA Staff