LEICA SUMMICRON SL50mm F2.0 ASPH.
2023年03月14日
ライカのLマウントに王道であるズミクロンが登場しました。その名は『Leica SUMMICRON SL50mm F2.0 ASPH.』。レンズ構成は8群9枚。しっかりとした金属鏡筒の中には3枚の非球面レンズや異常部分分散ガラスを使用した高画質の設計ながら、402gの小型軽量を両立させています。レンズ表面には疎水性Aqua-Dura(R)コーティングが施されていることに加え、優れた防塵防滴性能も実現。過酷な環境での撮影から日常のスナップまでズミクロンの写りを楽しむことが出来ます。また、新開発のリニアダイレクトドライブ方式により『Leica SL2-S』と組み合わせればスムーズなAFを使用した動画撮影にも対応できます。季節が春に近づき、服装も心も軽くなってきたこの頃。『LEICA SUMMICRON SL50mm F2.0 ASPH.』を連れてスナップ撮影に行ってきました。ぜひご覧ください。
最短撮影距離は45cmと接写能力も十分になる本レンズ。クローズアップして撮れば中望遠のような画にすることも可能です。フラットな光ということもありますがモノクロのトーンの上品さはとても気に入っています。開放では窓に反射したビル群は完全にボケきって見えなくなってしまったので、あえて少し絞って輪郭が分かるくらいに調整しました。
開放絞りの革の質感やボケ感がとても気に入っているカットです。ガラス一枚挟まった車内を写したのですが、革と金属面にそれぞれに反射した光の特徴の違いもしっかりと描写されています。前のカットと比べて少し強めの光の反射の違いもぜひご覧ください。
樹々が茂る仄暗い場所でのカット。頭上からの光はあまり期待できず、サイドから少し入ってくる光を頼りに高速シャッターでトーンを重めに撮影しました。期待以上の艶感と濃厚なトーンに仕上がってくれました。
都内で初めて「ラムサール条約湿地」に指定された公園の小さな島。実はここまで足を運んだのは初めてだったのですが前から来ていればよかったと後悔するほど穏やかな時間が流れる良いスポットでした。中間にピントを置きF8に絞って撮影してみましたが立体感もありつつ、はるか遠方の大きな橋まですっきり解像しています。
画面下にぼんやりと見えるゴーストがアクセントになっている一枚。逆光性能を確かめようとフレア・ゴーストが出るまで撮ってみた結果、空が完全に白飛びする露出まで上げなければなりませんでした。ちょっとやそっとの逆光では撮影に影響するネガティブな要素がほとんどない素晴らしい逆光性能だと思います。
水鏡にうつる余計な要素を極力なくすために、水面ギリギリまでカメラを近づけて、不安定な姿勢からのオートフォーカスで撮影。腕の力だけで支えなくてはいけないシチュエーションでしたが、ボディ内手振れ補正と軽量なレンズのおかげで、意外に苦戦せずに撮ることが出来ました。「アクティブに撮れるライカレンズ」というのは、なかなかに心躍るフレーズです。
開放絞りのボケ感に加えて樹は完全にシルエット化したくてシャッタースピードを早く切りました。この写真だけ見ていたら南国に行ってきたような気分になります。開放からシャキッとした画でメインの被写体と背景のボケのバランスが絶妙で惚れ惚れしてしまう写りを見せてくれました。
枯れた植物を見上げるように撮ってみると、とても美しいボケと夕暮れのグラデーショントーンが主役を引き立ててくれました。私が名前を知らないだけでこの植物にも名前がある。目線を変えることで見つかる世界、写真にとって光がどれだけ大事なものなのかを改めて実感します。
常にそばにズミクロン
「使いやすい」そして「使いたくなる」そんな一本でした。アポズミクロンとはまた違うマイルドな写りと小型で軽快に撮影できるこのレンズは、ハイスペックなレンズが揃うライカLマウントの扉を開ける良いきっかけになってくれそうです。同日に発売された『Leica SUMMICRON SL35mm F2.0 ASPH.』と併せれば、スナップ撮影では最高の組み合わせになると思います。第二工場である「Made in Portugal」で造られた本レンズは「ズミクロン」の名にふさわしい良いレンズでした。ライカLマウントデビューをしようと思っている方にもぜひおすすめしたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff