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PLAUBEL makina 67

[ Category: ヒストリカルピース|掲載日時:2009年04月30日 16時28分]

 90年代初め。写真家アウグストザンダーを特集した新日曜美術館にて。 20世紀の巨匠の写真を目の前にして荒木経惟曰く
  「フレーミングとかさ、かっちりしすぎだね」
  「あたしがいま使っているカメラ“マキナ”」
  「これがいいんだよ。フレーミングが適当だから、余計なものまで写っちゃう」
解説の飯沢耕太郎は苦笑。ひっきょうこの言葉はマキナ67を表す言葉として最も相応しいのではないかと思う。

  プラウベルマキナ67(ろくなな)。通称マキナは1979年日本のドイインターナショナルより登場。当時「カメラのドイ」の店舗でカメラ、写真用品を販売していたドイはドイツの「プラウベル」という老舗メーカーを買収しカメラの製造を開始した。こうして出来たカメラがマキナ67である。

  実はその元になったカメラがある。本家プラウベル社から1920年代から50年代にかけて作られていた「プラウベルマキナ」という名前そのままのカメラ。これにはジャバラをタスキで伸ばすというギミックが使われていた。ちなみにこの超クラシックカメラで撮影された写真展が2年程前にあった。田中長徳「プラハ」(バウハウス)である。ふたつの時代の異なるカメラをみて判るように、写真機の系譜としてプラウベルとは単にブランドが推移したのではなくしっかり意匠まで引継がれたということだ。

 プラウベルマキナ67には3種類のタイプがある。初代は1979年発売。今回の作例写真はこの初代67を使用した。続いて55mmF4.5のワイドレンズ搭載の「W67」。1983年には初代67をマイナーチェンジした「670」でシリーズは終了。当時のフィルムカメラとしてはなんとも短命に終わっている。670は220フィルムが使えるようになってボディに横しまが入ったのが特徴だ。そしてレンズは天下のニッコール。銘版のNIKKORの文字がひときわ目立つ。

  4月初旬、桜満開。快晴なのにちょっとかすんだ空が春らしさを伝えている。マキナについているニッコール80mmF2.8が被写体をシャープに斬ってくれとうずく。ボディに収まっているレンズを引き出し左手親指で絞りを決め、同じくひとさし指でシャッタースピードをセット。ファインダーを覗き右手の親指とひとさし指でピントノブをつまみ二重像を合致させる。シャッターはメカニカル。切れのいいシャッター音だ。慣れていないとなんとも使いにくい仕様だが慣れてしまうと感覚で操作できる。ピントノブはレリーズボタン、巻上げレバーと同軸になっていてつまんで回す。するとX字のたすきが伸びたり縮んだりしてレンズが前後するのだ。この操作がマキナ67のアクセントになっている。

このカメラの良さとは何なのであろうか。ファインダーが見づらい。二重像が合わない。蛇腹に穴がいた。コマ間がかぶる…等なんだかんだ言われつつ、いつまでたっても高額で取引されている。W67に至っては稀少の為プレミアが付いてしまったような価格だ。特に若い人たちのあいだでは絶大な人気を誇る。

 結局このカメラの良さとは「使いにくさ」であり万能なカメラではないことだと思う。仕上がりが予想できる一眼レフカメラではこうはいかない。フレーミング(特に周辺)が気になる。ピントを極限まで追込みたい。ボケの形を確かめる。そう変わらないシャッターチャンスをじっと待つ。写真撮影とは煩悩との戦いだ。その戦いに敗れ(いい写真が撮れない)、自分のウデのなさに絶望してしまうのである。マキナでの撮影はそういう「作品撮り」からはじめから開放されているのである。マキナにはスナップ撮影に必須の「気軽に撮れるカメラ」に加え「高画質」なフォーマット、そして自分の意識外のものが写り込んでくる面白さがある。それだけではない。画像が時空を超えて重なったり(コマ間かぶり)、幻想的な画像を結ぶ(蛇腹光線漏れ)可能性を孕むカメラなのだ。

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PLAUBEL makina 67
PLAUBEL makina 67 Nikkor 80mmF2.8
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