Select Language

FUJIFILM GF670とFUJIFILM GS645

[ Category: ブローニー|掲載日時:2009年12月24日 18時52分]
GF670 GS645

向かって右のカメラは、2009年4月下旬 に発売された、もっとも最新の中判カメラ、FUJIFILM GF670。
レンズを折りたたんで収納することができるので、中判カメラの中では携帯性が高く、中判でブラ撮りスナップや山岳写真をされる方には大変に人気が高い機種となっています。同種の人気機種には、以前にもこのコーナーでご紹介した「マキナ67」を挙げることができるでしょう。「マキナ67」も折りたたみレンジファインダー中判カメラという同じ構造を備えており、いままでこのジャンルでの人気No1はマキナ67シリーズの独壇場でした。しかし、マキナ67は、もう30年前に発売されたカメラですので状態の良いものは希少ですし、レンズも往時の設計ですので、現代のものとは描写に違いがあります。そのあたりはユーザーの好みになる部分でもありますが、もしキリリとした現代的なレンズ描写がお好みなら、最新のEBCコーティングによるGF670をおすすめです。

そして、今をさかのぼること1983年、同じくFUJIFILMからGF670と同じ構造のカメラが発売されていました。それが向かって左の、蛇腹付の中判フォールディングカメラ「GS645」です。
こうして並べてみてみると、レンズの収納方式、レンジファインダーなど同じ構造を持ったカメラであることがわかります。中判でありながら小型で携帯性がよく軽快な撮影ができた逸品でしたが、それだけに愛蔵されている方が多いのか中古でも滅多にお目にかかりません。

さて、これらのカメラでは、「中判フィルム」という規格のフィルムを使用します。中判フィルムはブローニーフィルムとも呼ばれており、ひょっとしたら、もうホルガなどのトイカメラで使ったことがある人もいるかもしれません。ちょっと、ここでは中判フィルムについて、説明をしたいと思います。

普段一般的に良く見慣れている写真用のフィルムは、両側にコマ送り用の穴が連続して開いており、幅が35mmとなっていいることから「35mmフィルム」と呼ばれています。これに対して中判フィルムは幅が約60mmもあり、同じ一コマで撮影した場合、約4倍もの面積で撮影をすることができます。これにより、大きく引き伸ばしたときに細部まで克明な描写をすることができたり、同面積中の粒子の数が多いので諧調を豊かに表現することもできるようになっています。簡単にいえば、サイズが大きな分、良い画質で撮影ができるフィルムといえるでしょう。※詳しくはこちら「なめらかな色表現と超高解像度! ~ 中判カメラのススメ」をご覧ください。

中判フィルムには、フィルムに遮光用の裏紙が全面についた「120」と呼ばれるものと、フィルムの巻き数を増すために裏紙を廃してフィルムの先端と後端にのみ遮光用の巻紙をつけた「220」と呼ばれるものの、おもに2種類があります。120フィルム使用でGF670は、6x7cm判で撮影したとき10枚、6x6cm判で撮影したとき12枚、GS645は6x4.5cm判で16枚の撮影が可能です。220フィルムを使用したときには、それぞれ倍の枚数の撮影が可能ですが、35mm判カメラに比較して1ロールあたりの撮影枚数の少なさは中判カメラの弱点でもあります。

その他、一般に中判カメラの弱点は、フィルムサイズが大きくなるのでカメラもそれにつれて大きくなり、かさばるということがありました。中判フィルムは先出の通り、幅が約6cmあり、1コマあたりの面積が35mmフィルム (24×36mm) と比較して約4倍あり、高精細で豊かな諧調が得られるのが特徴です。しかし、そのフィルムの大きさから標準レンズの画角を得るために必要な焦点距離は、97mm《長辺換算で≒50mm(35mmカメラ標準レンズの焦点距離)/36mm(35mmフィルム長辺)x70mm(6x7判フィルム長辺)》となり、35mmカメラでいえば望遠レンズに相当する焦点距離を必要となります。トイカメラなどはレンズの明るさや光学的な性能はさほど求められませんので大きなレンズはついていませんが、普通に中判カメラのレンズとして使用するレンズを装着するとしたら、レンズ部がボディから相当突出することは構造的に不可避で、どうしても大型化はまぬがれないところとなります。

GF670 GS645
GF670 GS645
しかし、GF670ではレンズ鏡胴に相当する部分をを蛇腹とし、ピント合わせをミラーが必要な1眼レフ方式でなくレンジファインダーとすることにより高いレンズ性能のまま優れた携帯性を実現しています。GS645も前蓋を閉じるとほぼ平らになり、よく言われているような「お弁当箱」スタイルとなります。

実は、 カメラの歴史を振り返れば、このようなスタイルのカメラは1920年代ごろの昔から存在していました。それらはスプリングカメラというカテゴリーに分類されるものになります。最新型の中判カメラで蛇腹なんてずいぶんクラシカルにも見えるのですが、21世紀になった現在においても、レンズの伸縮を幅広く行なう機構としてこれに代わる新たな機構がでていないところを見ると、出現した時点でそれだけ完成度が高かったアイデアということなのでしょう。

GF670 GS645

GF670 GS645

さて、GF670と、GS645をさらに比較してみると、本体から前蓋、前蓋からレンズへとかかるタスキの構造は殆ど同じということがわかります。この部分は、レンズとフィルム面の並行を保ちつつ前後に移動しピント合わせをするため、高い精度と強度が求められる部分です。(先出のマキナ67では、タスキがX字状になっておりこれとは異なる機構となっています。)
GF670とGS645と、ともにレンズの中にシャッターを持つ「レンズシャッター」式ですが、GF670は電池の必要な電子式シャッター。GS645は電池がいらない機械式シャッターとなっています。電源の確保が難しい山などでGS645を使う人が多いといわれてきたのもうなづけます。しかし、GF670で電池が必要といっても、デジカメのように多くの電力を使うものではありませんので、バッテリー切れの心配は殆ど必要ありません。
電源の確保がまったくできないようなところでも撮影ができるのが、デジカメにはないフィルムカメラの利点です。

GF670 GS645 GF670 GS645
GF670 GS645

GF670(左)もGS645(右)も、開閉の仕組みは同じです。一動作でカッチリ固定される様は高い精度が伝わってきます。

ちなみに、レンズをしまうときには両方とも決まりごとがあり、必ず無限遠にしなければなりません。GS645ではさらにシャッターをチャージした状態でないとたたむことができません。それをうっかり忘れてしまって無理やり閉じようとすると故障のもとになることもありますので、要注意です。

GF670 GS645 GF670 GS645
前蓋を閉じたまま裏蓋を開けてみました。枠の大きさがそのまま撮影されるサイズになります。GF670(左)は6x7判と6x6判の切替が可能。この写真では6x7判での撮影モードとなっています。6x6撮影時には枠の左右にマスクがかかり、フィルムの巻き上げの長さが変化します。

GS645(右)は、6x4.5判の撮影が可能。カメラを普通の位置で構えると、一般的には横位置となりますが、このカメラの場合は縦位置となります。縦位置で撮影することが多い人物撮影をするときになど、持ったそのままの位置でフレーミングすることができます。現像したフィルムに、縦構図の写真が横並びになるというのも、面白さの一つです。

GF670 GS645

フォールディング式中判カメラ
『FUJIFILM GF670』 (現行品
)
形式 6×7cm判距離計連動式、蛇腹折りたたみ式カメラ
画面サイズ 6×7cm、6×6cm判画面サイズ切り替え式
実画面サイズ:6×7cm判 56×69mm、 6×6cm判 56×56mm
使用フィルム 120&220ロールフイルム
撮影枚数 6×7cm判 120-10枚撮り、220-20枚撮り
6×6cm判 120-12枚撮り、220-24枚撮り
撮影レンズ EBC FUJINON f=80mm 1:3.5 4群6枚構成 最短撮影距離:0.9m 絞り:F3.5~F22
対角線画角 6×7cm判 57°(135mm判40mm相当) 6×6cm判 53°(135mm判44mm相当)
焦点調節 手動式直進ヘリコイド(全体繰り出し)
ファインダー 二重像合致式距離計内蔵採光式ブライトフレーム
6×7cm、6×6cm判画面切り替えでブライトフレーム自動切換え
ファインダー倍率:0.7倍 基線長:37.0mm (有効基線長:25.9mm)
距離計連動:0.9m~∞ パララックス自動補正 視野率 3m 88%
ファインダー内表示 適正秒時、連動範囲外警告、バッテリー電圧警告
シャッター 電子制御式レンズシャッター  バルブ、4秒~1/500秒(絞り開放およびF4の時:1/250秒 F5.6以上の時:1/500秒)
シンクロ X接点 全速同調 シンクロターミナル、ホットシュー付
露出制御 中央部重点式外部測光 受光素子:SPD 連動範囲:EV0.5~18(ISO100)
撮影モード 絞り優先式AE&マニュアル露出、シャッターボタン半押しでAEロック
露出補正 1/3ステップで±2EVの補正
フィルム感度 手動セット ISO25~3200(1/3ステップ)
フィルム装填 手動
フィルム送り ノブ式巻上げ
フィルムカウンター 機械式カウンター、裏蓋開で自動復元、圧板スライドで120/220カウンター自動切換え
6×7cm、6×6cm判画面切替えでカウンター自動切換え
電源 リチウム電池CR2(3V) 1本
外観・デザイン 本体:アルミダイカスト、外観部品:マグネシウム合金
その他 三脚ねじ穴 ケーブルレリーズねじ穴 フィルムインジケーターポケット
サイズ 178(W)×109(H)×138(D)mm  折たたみ時:64(D)mm
重量 1000g(電池なし)

※ 仕様・性能は、予告なく変更する場合がありますので、ご了承ください。



FUJIFILM GF670の在庫状況は>>こちら!

[ Category: ブローニー|掲載日時:2009年12月24日 18時52分]

面白いと思ったらコチラをClick!360票


null

希少品!「フォクトレンダー ベッサ R2S NHS モデル」【本館地下】[2013年04月15日]

今回紹介するのは、「フォクトレンダー ベッサR2S NHS special」です。 2005年にアメリカに本部があるニコンの愛好家組織「NHS (The Nikon Historical Society )の要望により 500台限定でつくられたモデルです。 ボディは、2002年に発売された「ベッサR2S」(ライカMマウント互換のベッサR2を ニコンSマウント仕様にしたもの)を母体としています。 セットのレンズは、2001年に発売された「ベッサT...
続きを読む
null

Awesome! Leica①[2012年11月14日]

写真を撮るという行動は突如その衝動に駆られるときがあります。 目の前にとても美しいと思える光景と出会ったときであったり、 自分が持つイメージが突然目の前の光景と重なったときであったり。 そんな時には、さっとカメラを構えて、ファインダーを覗きシャッターを切るのか、 それともさっと立ち去るのかはカメラのコンパクトさというのが大事だという経験があり 以前から気になっていたライ...
続きを読む
null

CZJ Pancolar 50mmf1.8 , 80mmf1.8[2010年10月18日]

Carl Zeiss Jena Pancolar 80mmf1.8 , 50mmf1.8  パンカラー。  M42マウントレンズに触れたことのない方には馴染みのないレンズ銘だと思います。  一般的に「カラー」と呼称されてはいますが、つづりは「colar」であるので、「パンコラー」とか「パンコラール」と呼ばれることもあります。  カール・ツァイス・イェナ、つまりは東西分断期における東ドイツ側カール・ツァイスの一眼レ...
続きを読む
null

SUN ZOOM 38-90mm F3.5 MACRO[2010年05月27日]

SUN ZOOM 38-90mm F3.5 MACRO  個人的嗜好により、ズームレンズをほとんど使わない生活が続いています。  普通の人が一生のうちに手に入れるであろうレンズ本数……の何倍ものソレをすでに所持していますが、ズームレンズに関しては、デジカメのキットレンズという位置づけの平凡なものがポツネンと一本あるのみです。  ……というような冒頭では、一見どう膨らみようもなさそうですが、...
続きを読む
WELTBLICK 135mmf1.8 , 35mmf3.5

WELTBLICK 135mmf1.8 , 35mmf3.5[2010年04月17日]

WELTBLICK 135mmf1.8 WELTBLICK 35mmf3.5  前回に引き続きの作例チャレンジです。  「ウェルトブリック」と読むと思うのですが、まったくもって詳細不明のレンズで、胴部に白文字で「MADE IN JAPAN」とあるからには日本製なのでしょうが、明らかなのはこのことだけです。  M42世間……というか、いっそのことこう呼びますが、「M42宇宙」には、こういった正体不明のエイリアンレンズがご...
続きを読む